道中にて2
その日はシウルとの出会い以外は何もなかった、
日が完全に沈むとシルフィード一行は道端で野宿の準備を始める、
シルフィードはキツネ耳と尻尾を出して収納魔法でいろいろな物を取り出す、
シウルはシルフィードの収納魔法を見て驚く、
見たことがないとの事で、
マクスウェルとアレクは見慣れているためシウルの反応を見て初めて収納魔法を見たときの自分を思い出していた、
テキパキと準備をしているとシルフィード、
アレクも思い出したかのように準備を手伝う、
野宿の準備を終えてシルフィードが料理をしようとしたときに、
「シウルは何を食べるの?」
シルフィードはシウルに聞いた、
「我は肉だ、
生でも焼いたものでも大丈夫だ、」
シルフィードはそれを聞くと肉を取り出して焼く、
「まずこれを食べてみて、」
シルフィードは焼いた肉を皿に乗せてシウルの前に出す、
シウルは一口で食べる、
「どうかな?」
シウルは一言、
「生でも焼いても変わらんな、」
その瞬間シルフィードの何かに火をつけた、
「わかった!
おじいちゃんとアレクさんの料理を作ったら絶対に美味しいって言わせるから!」
シルフィードはそう言って2人の料理を作る、
それを見ていた幽霊さんは、
(なんだろう、
これに似たようなものを昔見たような、)
と昔を思い出していた、
(マスター、
芳賀月さんです、)
氷龍が幽霊さんに伝える、
懐かしい名前が出てきたため幽霊さんは空を見上げてしまった、
(あれから9年経ったな、)
(そうやな、
初めはどうなるかわからんだけどな、)
思い返している幽霊さんと氷龍と虎炎、
シルフィードは肉に茹でたり切れ込みを入れたり味付けをつけたりしている、
そして、
「シウル!
これならどう!?」
シルフィードはシウル前に手を加えた肉を出した、
シウルは一口で食べる、
そして一言、
「先ほどより良くなったがまだ上にいけるはずだ、」
シルフィードはムムムと言いながらまた作る、
(マスターと芳賀月さんですね、)
(そうやな、
毎日美味しい手料理を作ってきてもらってマスターはそっけなく普通と言ってたなー、)
幽霊さんは視線を明後日の方向に向けて苦笑いをする、
その後、
シルフィードは3品手を加えた料理を作ったがシウルは満足しなかった、
夜、
見張りの順番を決めてマクスウェルとシルフィードが先に見張りをすることになった、
アレクは自分がすると言うが護衛の数が少ない為マクスウェルは断った、
いざという時に戦える人が戦えないのは辛い、
「おじいちゃん、」
シルフィードはマクスウェルに話しかける、
「なんじゃ?」
「なんで獣人は問答無用で奴隷になるの?」
マクスウェルは髭を撫でながら説明する、
「100年前の魔王との戦いを知っておるな?」
シルフィードは頷く、
(確かにマクスウェルも参加した戦いだな、)
「そうじゃ、
わしも参加して今では英雄と言われておる、」
「魔王と何か関係あるの?」
「あるのう、
当時の獣人は2種類に分かれておった、
魔王に加担するものと戦いから逃げるもの、
獣人は力と速さが他の種族より上での、
わしらも苦戦したわい、
そして魔王との戦いの後、
その力が危険ということで獣人を強制的に奴隷にする決まりになった、
獣人はそれを免れるために人里から遠く離れたところに集落を作っておる、
人に見つかると奴隷にされるからのう、
シルフィード殿も街中で獣人を見たことがあるかの?」
シルフィードは首を振る、
「獣人は大きな街には来なくなったの、
小さな村ですらも来なくなった、」
「ひどいよ、
もう100年も昔のことなのに、
戦いに参加してない人もいるのに、」
「わしも10年前にもう良いと思ってやめるように各王に頼んだんじゃが誰も聞く耳を持たんくてのう、
唯一話を聞いてくれたのがレイクリードの王じゃ、」
「それじゃあ、
今回の依頼って、」
シルフィードが期待の視線を向ける、
「それもあるが今回はただの世間話をしにいくだけじゃ、
レイクリードは先々代の王からの付き合いでの、」
マクスウェルはホッホッホッと笑う、
「獣人に関してわしが生きているうちになんとかしよう、
シルフィード殿は何も心配しなくてもよい、」
「うん、
頑張ってね、」
(マクスウェル、
俺からも聞いていいか?)
幽霊さんがマクスウェルに声をかける、
「なんじゃ?」
(狐族は珍しいのか?)
「そのことか、
狐族はわしが生きてきて指で数えるほどしか会っておらぬ、
狐族の魔法はわしより洗練されておる、
だが魔王との戦いには参加してなかったのう、
過去にわしが出会った狐族はこう言っておった、
平穏が一番と、」
(シルフィが耳を出しているのはマズイか?)
「そうじゃな、
バークリートではまだ大丈夫じゃろう、
しかし他のところではどうかわからんのう、
それと来年から学園に入ると何かしら起きるかもしれん、
学園には貴族が多く入ってくるからのう、
シルフィード殿を取り込もうとするかもしれぬ、」
(貴族か、
裏で何をするかわからんな、)
「否定はできんの、
わしは1人の生徒を贔屓出来んからのう、
わしが頼み込んで入学を進めた手前、
できる限り力になれるようにするがのう、」
(俺もできる限りの事をしよう、
だがシルフィの味方をしてくれる生徒がいればいいがな、)
「それはシルフィード殿に頑張ってもらうしかないのう、」
(そうだな、)
シルフィードを置いて話を進める2人、
シルフィードは話がついていけずに火に薪を入れるのであった、




