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道中にて1

シウルが同行することになり旅を再開したシルフィード一行、


シルフィードは馬車の横を歩き、


その反対側にシウルが歩く形になった、


馬は怯えながらも馬車を引いている、


アレクも無意識のうちに手綱に力が入る、


マクスウェルはシルフィードのことで慣れたのか馬車の中でくつろいでいる、


「シウルは神様になんで会いたかったの?」


シルフィードはいつも通り感じでいる、


その無邪気さをアレクは羨ましく思っている、


「先ほども言ったがあの者に恩がある、

その恩を返すために探していた、」


シウルは顔をシルフィードの方に向けながら器用に歩く、


アレクは心の中で他の馬車に出会わないよう祈っている、


「よければわしも会話に参加しても良いかの?」


突然マクスウェルが馬車の天窓から顔を出してきた、


「問題ない、」


シウルは即答する、


だがマクスウェルはシウルをジッと見ている、


「どうした、

我は人々の英雄に見つめられることはしていないが、」


「そこまでわかっているのならひとつ聞いておきたい、

わしを恨んでおらんのか?」


「それは同族のウルフを殺したことか、

それとも魔王を討伐したことか、」


「両方じゃ、」


シウルはため息を吐いて呆れたように言う、


「同族を殺したことについては特に何も言わん、

我は少し長生きした狼よ、

神でもない、

そして魔王を討伐したことについても恨んではおらぬ、

逆に感謝している、」


「感謝かね?

できれば聞かせてくれぬかの、

予想外の答えが返ってきての、」


「そうだな、

我ら魔物は魔王に従っておらぬ、

魔族が魔物を操るからそう見えてしまう、

今更魔王と関係ないと言っても昔から根付いた人々の思い込みは払拭されぬ、」


「確かに、

わしが生まれた頃から魔物は魔王の配下と教えられておった、」


(何百年前からそう人々は思っていたんだな、)


幽霊さんは2人の話を聞きそう思う、


シウルは話を続ける、


「魔物は基本本能に生きる者だ、

食べて寝て子を作る、

そのために他の魔物や人を襲う、

街を襲う者もおるがその者は実力の差を知らぬ愚かな者だ、

この話を聞いたからといって魔物を殺すなとは言わん、」


(魔物にも3代欲求はあるのか、

シルフィ、

ちゃんと聞いておけ、

他では聞けない話だ、)


(はい、)


幽霊さんとシルフィードがそうやりとりしている、


シウルはさらに続ける、


「当時の魔王は魔物を自分の駒としか思っておらんかった、

強い者に従わせる、

力の差を見せつけて屈服させる、

そうやって魔物を操ってきた、

我の一族もそうやって操ろうとしたが我の一族は何者にも屈服せぬ、

そして魔族に立ち向かった、

そして我だけ残して全滅した、」


衝撃の事実にシルフィードは驚いた、


シウルはシルフィードが驚いたことに気づいて安心させるために言う、


「安心しろシルフィード、

全滅したのは我が一族、

人で言う家族、

シルバーウルフが絶滅したわけではない、」


シウルはそう言うが逆効果だ、


シルフィードは泣きそうな顔をする、


「でも家族を殺されたんだよね、」


「そうだ、

我も皆の後を追うと思っておった、

だが助かった、

9本の尾を持つ狐族の女に、」


「キュウビさんだ、」


「魔族は狐族の女により殺された、

それも一瞬でな、

我の傷も癒し、

何を言っているかわからないと言い我を人の言葉が話せるようにさせて、

最後に一言だけ言って去っていった、

助けられなくてごめんと、」


(あいつらしいな、)


「それがあの者を恩人と呼ぶ理由だ、

そして魔王が討伐されたと聞き我は一族の屍の前で泣いた、

だからマクスウェルよ、

我は感謝をすれど恨むことはない、

だから言わせて欲しい、

ありがとう、」


「そうか、

その感謝の言葉、

確かに受け取った、

それを聞けてあの旅は無駄ではないと実感できるのう、」


マクスウェルとシウルの間に絆が芽生えた、


シルフィードは無言でシウルに近づいてその背中にまたがり背中から強く抱きしめる、


「シルフィード、

どうした?」


「シウルは寂しくなかった?」


シウルは少し立ち止まりそして言う、


「さみしいといえば嘘になる、

しかしそれは過去の話、

シルフィードが気にする必要はない、」


そう言って納得するシルフィードではない、


「私、

シウルの家族になる、」


シウルは動揺する、


「シルフィード、

我は従者で十分だ、

その気持ちだけで十分だ、」


「ヤダ、」


「子供のような事を言うな、」


「子供だもん、」


「マクスウェルよ、

助けてくれ、」


シウルはマクスウェルに助けを求めるが、


「受け入れればよかろう、

シウル殿も嫌ではなかろう、」


「嫌ではない、

だが我を家族と言うとシルフィードが変な目で見られぬか?」


「そんな小さな事をシルフィード殿は気にせんよ、

この子なら全ての障害を振り払うじゃろう、

種族と言う障害すらも、」


シウルは小さくため息を吐きシルフィードに向かって言う、


「わかった、

シルフィード、

家族としてよろしく頼む、」


シルフィードは満面の笑みを浮かべて、


「うん!」


頷くのであった。

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