白銀の狼
マクスウェルの護衛当日、
シルフィードは朝一にギルドに来ていた、
キツネ耳を出して収納魔法で収納している物の確認をしている、
ウインドウルフが47体、
未だに腐敗をしていない、
新鮮そのもの、
果実が数種類、
デザートを作ろうと幽霊さんが買い込むよう頼んだ、
傷んでなく腐ってもいない、
それでジャムを作ったりしている、
木の実が数種類、
果実同様デザート用、
更にジャムも何個か製作した、
野菜数種類、
果実同様痛んでない、
塩と胡椒と砂糖、
サッカーボールくらいの大きさの壺に入っている、
現在醤油を作り中、
かなりの試行錯誤を繰り返している、
味噌は醤油を作ってから取り掛かる、
マヨネーズとケチャップ、
ケチャップはウインディア領にいた頃にできた、
そのおかげでオムレツの評価が上がった、
マヨネーズもウインディア領にいた頃に完成していた、
アリサやターニャが美味しいと絶賛したが太ると説明したら週に一回ぐらいしか食べなくなった、
魚の干物15枚、
川で釣った魚を宿屋の屋根を借りて作った、
生より長く保存がきくが収納魔法で収納するから意味がない、
生魚5匹
収納魔法を使用しているため腐らない、
パン24個、
固いパンから柔らかいパンと集めた、
サンドイッチ用など、
小麦粉、
自分でパンやケーキを作る用、
たまになんちゃって米を作るよう、
調理器具、
フライパンから包丁までなんでも、
食器、
盛り付けは重要だよ、
フォークやスプーン、
最近箸を練習している、
(見事に食いモンやら食事関係だな、)
幽霊さんは荷物を見ながら言う、
シルフィードは更に取り出す、
テント、
簡単な三角ばりのやつ、
水筒、
小さいのから大きい物まで4本、
水の入った樽、
樽は酒場からもらった、
水は井戸の水、
燻製器、
幽霊さんの趣味で作った、
色々な物を燻製した、
アレクやバーボルトに密かに人気、
訳を聞くと今までにない味とのこと、
着替え、
夏服冬服、
下着まで入っている、
薪、
近くに燃やすものがない場合に使用、
「食べ物ばっかり、」
シルフィードが苦笑いを浮かべる、
(そうだな、
それとウルフの解体を少しずつやっていこう、
腐らないとはいえいつまでも持っておいても意味がない、)
「そうですね、
近々解体します、」
ギルドには1人しかいないがその人も奥で本日張りだす無期限の依頼をまとめている、
シルフィードは荷物を戻す、
耳を消して椅子に座る、
そのまま瞑想に入る、
何も考えずにただ瞑想をする、
ギルドに人が出入りしてきた頃、
「シルフィード殿、」
シルフィードを呼ぶ声がした、
シルフィードはゆっくりと目を開ける、
「待たせたのう、」
マクスウェルがいた、
その後ろにアレクが控えている、
「大丈夫だよ、
それよりいけるの?」
シルフィードはマクスウェルに尋ねる、
その顔は散歩を楽しみにする犬のようだ、
「大丈夫じゃ、
昨日のうちにやることをやっておいたからのう、」
マクスウェルは顎に手を添えながらそう言う、
「それじゃ受付してくるね、」
シルフィードは紙を取り出して受付に向かう、
「サーシェさん、
今から行ってきます、」
受付にいたサーシェに依頼の紙を見せる、
サーシェは印を押してシルフィードに返す、
「行ってらっしゃい、
シルフィードちゃんは強いけど無茶したらダメだからね、」
娘を送り出す母のような心境なのだろう(サーシェはまだ20代だが)
「大丈夫です、
何かお土産買ってきますね、」
シルフィードはマクスウェルの元に向かうとマクスウェルとアレクはそのままギルドの扉を開けて外に出た、
門まで向かっているとアレクがシルフィードに話しかけた、
「シルフィード殿、
今回の依頼についてもう一度説明しておく、
依頼は北の方角にある隣国のレイクリードまでの護衛、
片道10日以上かかる、
依頼料のほか最低限の食料と寝床はこちらが提供する、
途中で何回か村による、
食料の買い出しはこちらで行うが最低限のものしか買わない、
ほしいものは自分で買ってほしい、
また、
道中に出てくる魔物や盗賊は討伐したら全てシルフィード殿に渡す、
いらないかもしれないが引き取ってほしい、
盗賊に関しては私と学園長が証人になるから罪に問わせない、
以上だが他に聞きたいことはないか?」
「ずっとおじいちゃんのそばにいないといけないんですか?」
「ずっととは言わない、
お手洗いなどあるだろう、
だが道中はあまり離れないでほしい、
今回は雇ったシルフィード殿以外に私しかいない、
何かあったらのために極力そばにいてほしい、
村に着いたら学園長を宿にいるように説得します、
その間は自由行動してもいい、」
「わかりました、
もうひとつですがレイクリードのお城に着いたら私は宿屋で待機すればいいですか?」
もうひとつの質問に今度はマクスウェルが答えた、
「わしが入れるように交渉しよう、
じゃが王との会見じゃがおそらくわしとアレクの2人だけじゃろう、
その時は立ち入り禁止区域以外の散策をさせてくれるように言ってみようかのう、」
(大丈夫なのかよ、
シルフィみたいな子供が城の中を散策させて、)
幽霊さんはマクスウェルに言う、
「別に城を破壊するわけではなかろう、
それに世話になっているからのう、
これくらいはさせてくれぬかのう、」
(そこまで言うならそうさせてもらうか、
シルフィもお礼を言って、)
「おじいちゃん、
ありがとうございます、」
マクスウェルは満足そうな顔をする、
話しているうちに門についた、
「今馬車を取ってきます、」
アレクは門近くの小屋に行った、
そして一頭の馬を連れてきた、
「あの時のお馬さん、」
シルフィードがそう言うと馬はシルフィードを視界に捉えると嬉しそうに駆け寄った、
アレクは落ち着かせようとしたが意味がなかった、
シルフィードは馬に顔中を舐められていてくすぐったそうにしている、
この馬はバークリートに来る際にシルフィード達を乗せた馬だ、
シルフィードは瞬間記憶能力のおかげで覚えていた、
幽霊さんは残念ながら記憶になかった、
例え馬のことを覚えていてもこの馬とはわからない、
「シルフィード殿はすごいな、
ここに来た時の馬のことを覚えていたのか、」
アレクはシルフィードと馬を見てそう言う、
「今回もよろしくね、」
シルフィードは馬に言うと馬は嬉しそうにシルフィードに頭をこすりつけた、
小屋の反対側に置いてあった馬車を馬につないだ、
馬車の中の荷物をシルフィードが全て収納しておく、
「これなら予想以上に早く着くのう、」
マクスウェルは馬車の中を見ながらそう言う、
マクスウェルが馬車に乗り、
アレクは馬を操り、
シルフィードは馬の横に立っている、
シルフィードが馬車に乗らないのは前回馬車に乗っていて盗賊の歩く振動を感じ取れなかったためである、
馬車に乗っていると馬車の振動で人の歩く振動がかき消される、
そのため前回は幽霊さんしかいち早く気付けなかった、
シルフィードは反省して走って行くことにした、
アレクが馬を歩き出させる、
シルフィードはその横を歩く、
荷物がないため馬は上機嫌で歩みを進めている、
街から少し離れたところで、
「アレクさん、
止まってください、」
シルフィードはアレクにそう言うとアレクはすぐに馬を止めた、
シルフィードは目を閉じて集中する、
進行方向より少しずれた位置にある森からウルフのようなものがすごい速さで近づいてきていた、
しかし振動がウルフの数倍あるためウルフより大きい魔物とシルフィードは思っている、
マクスウェルが馬車から降りた、
アレクも馬車から降りて剣を抜刀できるように手を添える、
シルフィードは集中することを止めて拳を構える、
シルフィードの足裏に振動が来る、
少しづつ近づいてくる、
シルフィードの拳に力が入る、
そして、
森からそいつは飛び出してきた、
そいつはすごい速さでシルフィード達の前にやってきた、
美しい白銀の毛並みに包まれた大きな狼、
その狼の紺色の瞳はシルフィードを捉えていた、
シルフィードは初めは警戒していたがいつまでたっても何もしてこないため警戒を解いて狼に近づく、
「狼さん、
どうしたんですか?」
シルフィードは狼に問う、
狼は特に反応を見せずにシルフィードを見ているがやがて口を開いた、
「小娘よ、
お前は何者だ?」
その声は男か女かわからない不思議な声だった、
マクスウェルとアレクは狼が喋ることに驚いている、
シルフィードはキュウビやら風精霊やら氷龍やら虎炎やら色々と会っているから驚いていない、
「私はシルフィードだよ、」
「ではシルフィードよ、
お前は狐族か?」
シルフィードは顔色変えずに答える、
「私は人だよ、」
「そうか、
お前からは恩人の匂いが微かにしている、
過去に狐族にあったか?」
「去年私の故郷で会いましたがそのあと私の師匠から死んだと聞かされました、」
「死んだ・・・か、
そうか、」
狼は悲しそうに顔を下げる、
シルフィードはキツネ耳と尻尾を出して狼に近づく、
狼はその尻尾を見て驚く、
「その尾は、
あの者と同じ、」
「この力はその時に出会ったキュウビさんにもらった力なの、
でも私は人だよ、」
「授かった、
我が獣人の神から授かったのか、」
「神様だったかわからないけどもらったものだよ、
お礼だって言ってた、」
シルフィードは耳と尻尾を消した、
「そうだったか、
・・・シルフィードだったか、
頼みがある、」
シルフィードは狼の瞳を見た、
「我をお主の従者にしてくれぬか、
あの者から授かった力を持ったものがいる、
これも何かの縁だと我は思っている、
頼めぬか?」
シルフィードは困った顔で幽霊さんやマクスウェル達の方を見る、
幽霊さんは自分が決めろと言わんばかりの視線を投げる、
マクスウェルとアレクもそのような顔をしている、
シルフィードは視線を狼に向けると、
「いいよ、
でも狼さんのお名前を教えて、
私だけ自己紹介するのは不公平だよ、」
「それはすまない、
だが我には名前はない、
行ければシルフィードよ、
名前を授けてくれぬか?」
シルフィードは難しい顔をした、
その顔も可愛く思える幽霊さん、
そして、
「シウルでいいかな?
見た目がシルバーウルフだから、」
「それでも構わぬ、
これから世話になるぞ、
シルフィード、」
白銀の狼改めシウルが言う、
「うん、
これからよろしくね、
シウル、」
シルフィードは優しくシウルの頬を撫でた。
今回は何度考えてもうまくまとめれなかった気がする、
もしかしたら書き直すかもしれません、




