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運命の出会いってこのことを言うの?

(どれくらい経ったのだろう?)


彼は目を閉じたままそう思った、


体の周りの重力が無くなったようにフワフワしている、


その慣れない浮遊感を感じながら


(もう開けていいよな?)


そのようなことを考えていた、


彼はゆっくり目を開けた、


(・・・・・・・・・え?)


まず驚いたことが2つある、


その一つが10割中9割を占めている、


(俺、浮いてる?)


目の前が床なのだ、


決して頭が下を向いている訳でわなく、


真っ直ぐ前を向いている視線が床を見ているのだ、


はじめは天井を見ているのだと思っていた、


しかし、


家具が、机や椅子が見えたため違うとわかった、


だが、頭はなおも今の状況を受け入れ難いのか思考が回らない、


(落ち着け、

俺は今浮いている、

うつぶせのまま浮いている、

だから床が見える、

ここまでいいか?)


誰かに説明している訳でなく、自分に言い聞かせるように言っている、


(普通、異世界に行ったらなんか強い力が手に入れたり、

王様らしい人が世界を救えと無茶振りを頼んだり、

はたまた、

人外に転生して第二の人生を送るものだろ?俺、なんで浮いてんの?)


長い自問自答っぽいものが終わり目覚めて初めて自分の体を調べる、


(・・・・・・・・・・・・え?)


彼は自分の手を見て固まった、


自分の手の向こうに床が見えていた、


そう、手をすり抜けて向こうの床が見えていたのだ、


手だけでなく足、体、服が透けている、


(俺、幽霊になった?)


すぐにその答えが出た、


(俺、死んだのか?)


魔方陣に乗って死ぬ話は聞いたことがない、


むしろ自分が初めて魔方陣に乗って異世界へ来た人だと思う、


事例がないためなんとも言えない、


(ここにいても仕方ない、

とりあえず誰か人に会おう、)


彼、改め幽霊さんは別のところに行こうとする、


しかし、足をばたつかせたり、腕を鳥のように上下しても降りたり前に進んだりできない、


(アニメとかで出てくる幽霊ってどうやって動いてるんだ?)


幽霊さんは腕組みをして考えた、


(鳥のように飛ぶわけでもない、

だからって泳ぐようにするわけでもない、

となると、もしかしてあれか?)


幽霊さんは床を見て、


(ゆっくり降りる、)


そう思うとゆっくりと床に体が降りていく、


(やっぱり、

あれと同じか、

次は床に立つ)


幽霊さんが思うとゆっくりと体が起き上がり足から床に着いた、


しかし足から何も感覚が伝わってこない、


(いずれはあれと同じようにすぐに行動できるようにしないとな、)


幽霊さんはそう思いながらあたりを見渡した、


(しかし、現代と比べてこの壁とか古いな、

ちゃんと掃除とかされているから古い空き家ではないな、

やっぱり異世界って科学文明が遅れてるのか?)


驚いた10割中1割がそれ、


今時ランプや暖炉を使う日本人はいない、


彼はそう思っていると壁の向こうから数人の足音が聞こえてきた、


なにやら慌ただしい様子、


(人かな?行ってみるか、)


幽霊さんは扉がないかあたりを見渡そうとしたが、


(あ、俺幽霊だから壁抜けできるんじゃないか?)


試しに壁まで移動してゆっくり手を壁に向かって差し伸べる、


何の抵抗もなく幽霊さんの手が壁に吸い込まれていく、


(移動が楽になる♫)


幽霊さんは楽しそうに壁をすり抜けた、


(壁の中って暗いな、)


初めての壁抜けを成功させて廊下らしき所に出る、


メイド?らしい女性と男性が走っている、


幽霊さんは女性の後をついていく、


(気付いていない、

本当に幽霊になったんだな)


幽霊さんはそう思いながらついていく、


少ししてある部屋の前に来てノックもせずに扉を開ける、


「奥様!旦那様を連れてきました!」


メイドの女性が大きな声で早口でそういった、


幽霊さんは扉の向こうを覗いてみた、


そこには老婆とメイドが二人、


二人の女の子、


そしてベットに女性が横になっている、


しかし、苦しそうに顔を歪ませている、


原因はおそらく女性のお腹にある、


大きいお腹、


(出産か・・・)


幽霊さんはゆっくり部屋に入る、


誰も幽霊さんに気付いていない、


「あなた・・・」


女性は男性を見てそう言う、


「メリア!頑張れ!」


男性は女性、メリアに近づいて彼女の手を握る、


(すごい瞬間に立ち会ったな、

生命の誕生に立ち会えるなんて、)


幽霊さんは部屋の隅でそっと見守る、


「う、ぐぅぅぅ!」


メリアがお腹を押さえて呻きだす、


どれほど時間が過ぎたのだろう、


1分が1時間に感じる、


幽霊さんは知らず内にメリアに近づいていた、


そして、


「おぎゃー!おぎゃー!おぎゃー!」


室内に赤子の産声が響く、


「おめでとうございます!

元気な女の子です!」


老婆が男性に向かってそう言う、


幽霊さんはゆっくり近づいて顔を覗き込む、


顔はしわくちゃでお猿にも見える、


その子がゆっくりと目を開けて幽霊さんの方を見て、


「きゃっ!きゃっ!」


満面の笑顔を浮かべる、


(見えてるのか?)


幽霊さんが思っていると後ろから


「メリア、この子、俺の方を見て笑ったな、」


「はい、あなたを父親だとちゃんとわかっているのですよ」


(お父さんを見て笑ったのか、)


幽霊さんはその場から少し離れて微笑ましく見守る、


「お母様、カリンにも抱っこさせてください」


「私も!」


ベットのそばにいた二人の女の子がメリアにそう言う、


(子供が3人になった)


幽霊さんが思わず吹き出しそうになる、


これから母親は大変になるだろう、


「メリア、明日教会に行って祝福をもらってこよう、

名前はその後、役所に出そう」


「えぇ、この子が元気な子になるように、

できれば風の祝福も授かればいいのですが、」


メリアがそっとこぼした、


「メリア、そのことは忘れよう、

俺らの間に男の子ができなかった、

ウィンディア家は長女のカリンが継ぐ、

この子とフィンはただ元気に育ってくれればいい、

それに、家計が苦しいかもしれないがカリンが当主になるまで俺らがここを支えなければならない、

この子達に過ごしやすいように、

それに風の祝福はこの子らも授からなかった、

きっと今回も駄目だろう、」


(なんかよくわからんが風の祝福ってファンタジーっぽい、

明日付いて行こう)


この世界のこともよくわかっていない幽霊さん、


密かについていくことを決める、


その夜は家族5人で寝ていた、


幽霊さんは屋敷の中を散策していた、


すこしして


「このお屋敷は大丈夫なのかしら?」


使用人室から声がした、


幽霊さんは壁抜けで部屋に入る、


「どういうことですか先輩?」


そこには3人のメイドがいた、


「私、10年前までお城に勤めていてね、

そこの財務の人とは仲良かったのよ、

その時にこの辺りのことを聞いたのだけれど、

当時、旦那様と奥様はかなり豪遊していて先代の蓄えを半年もかからずに全て使い切ったって話、

幸い借金はしていないものの今の状態までになるまで5年は経ったと言われているは、

自業自得とはいえ苦労されていたらしいは、その上3人の子供までできてさらに家計が苦しくなるは、」


先輩メイドが二人にそう言う、


「あの旦那様らが信じられないは、」


「今では一生懸命仕事をしているけどいずれは潰れると思う、この屋敷、」


「そうなる前にやめたほうがいいかな?」


メイドらがその後も雑談していた、


幽霊さんはそっとその場から離れた、


そして、メリア達のところに戻る、


(あ、)


部屋に入ったら赤子が起きていた、


(あらら、目が覚めたんだな)


幽霊さんは赤子に近づいて子守唄を歌う、


赤子は幽霊さんを見て笑顔で歌を聴く、


(この子、俺が見えているんだ、)


幽霊さんはそう思いながら子守唄を歌った、


笑顔だった赤子も徐々に眠たくなり眠ってしまう、


(おやすみ、)


幽霊さんはそっとつぶやき朝まで見守った。

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