表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/152

説明ってめんどくさい

マクスウェルと出会って一月が過ぎた、


雪が降り積もる、


シルフィードは屋敷で筋トレをしている、


腕立て伏せ100回、


腹筋100回、


スクワット100回、


それを朝と夕に一セットずつ、


その他はシャドウボクシングを30分と色気のない生活を送っている、


もちろん勉強もしている、


(シルフィ、

休憩にしよう、

何か甘いものを作るよ)


汗を拭きながらシルフィードは幽霊さんの言葉に頷く、


幽霊さんは少し休んだシルフィードの足と手に取り付いて厨房に向かう、


使用人達は厨房に向かうシルフィードに対して特に疑問を持たない、


よく厨房に来るため慣れてしまったのだ、


初めは断られていたが密かに潜入していたら諦められた、


それにシルフィードの作るものが珍しいためたまに覗きに来る人もいる、


(プリンでも作るか、)


幽霊さんは氷龍の力を使いプチ冷蔵庫を作る、


色々とかき混ぜて型に流し込んでプチ冷蔵庫に入れる、


できるまで時間がかかる、


幽霊さんはシルフィードに聞いた、


(できるまでここで待ってるか?)


シルフィードは頷く、


シルフィードはしゃがみ込みながら出来上がるまで待っている、


しばらくして、


「シルフィード、」


後ろから男が声をかけた、


誰かが近づいてきていることを気付いていたが男か女かわからなかった、


シルフィードは首だけ動かして後方を見る、


「お父さん?」


そこにはオルソンが立っていた、


その顔は複雑そうな顔をしている、


「話がある、」


そう言うと手招きする、


シルフィードは立ち上がりオルソンのあとについて行く、


しばらく歩きある部屋の一室に着いた、


オルソンの執務室、


オルソンは扉を開けてシルフィードを招き入れる、


シルフィードは部屋に入るとオルソンは椅子に座るように進める、


シルフィードは椅子に座る、


それを確認するとオルソンも座る、


なにを話すかわからないため落ち着かない様子のシルフィード、


一番可能性があるのは身売りの話、


だがどうもそのような顔ではない、


少しして、


「話というのはこれのことだ、」


オルソンは懐から小さな袋を取り出した、


袋の紐を解いて中を見ると中には金貨が何枚も見える、


よく見ると白金貨も見える、


しかし、


幽霊さんは金貨より袋を見た、


その袋はガルドからお金を受け取る時にお金を入れる袋だからだ、


「この金はお前の部屋にあった、

どういうことか説明してもらうぞ、」


(シルフィ、

お前置きっぱなしにしたな、)


幽霊さんがジト目でシルフィードを見た、


シルフィードは滅多にかかない汗をかいた、


説明に困る状態だ、


子供が金貨や白金貨を持つことはあまりない、


更にこの家は金貨はあっても白金貨はないためオルソンはシルフィードを呼んで話を聞くことになったと思われる、


説明に困っていると、


「シルフィード、

俺はお前が何か訳あってこの金を持っていたかもしれない、

だがお前のやらかしたことに罪を問わなければならない、」


会話の雲行きが怪しくなってきた、


「子供とはいえ盗みは罪に問われる、

正直に話せばできるだけ罪を軽くしよう、

それが親としてできることだ、」


(完全に誤解してる、)


金の出所を調べてないから間違える、


元の世界の警察がいかに優秀かわかった瞬間だ、


(とりあえずシルフィ、

自分の言いたいように言ってみろ、

嘘つかずに本当のことを言えばいい、

もし叩かれても言い続ければいいさ、)


(叩かれるですか?)


(もしもの話だ、

叩かれても屈せず本当のことを言い続けろ、)


(わかりました、)


シルフィードは呼吸を整えるように何度も息継ぎをした、


そして口が動く、


「そのお金は街にある酒場で働いて貯めました、」


オルソンはそれを聞き険しい顔つきになる、


「シルフィード、

俺は正直に話せと言ったんだ、

それにそれが真実でもこんなに貯めることはできない、」


冷静に言っているが嘘をつかれていると思いイラついているようだ、


「嘘じゃないよ、

それに酒場のお仕事だけじゃなく森で魔物を倒してそれもお金にしたの、」


「いい加減にしろシルフィード、

お前のような子供が魔物を倒せるわけがないだろう、

お前は何でそんな嘘をつく、」


「嘘ついてないもん、

私が頑張って貯めたもん、」


そうシルフィードが言った瞬間乾いた音が部屋の中に響く、


オルソンがシルフィードを叩いた、


オルソンの手は震えている、


シルフィードは叩かれた頬を押さえ涙目ながらオルソンを見る、


「シルフィード、

もう一度だけ言うぞ、

どこから盗んだ、」


「私は盗んでないもん!

お父さんこそ何で信じてくれないの!?」


オルソンはシルフィードをキッと睨みつけてさっきとは逆のシルフィードの頬を叩く、


シルフィードは一筋の涙で頬を濡らす、


「シルフィード、

部屋で頭を冷やしてこい、

当分部屋から出てくるな、」


オルソンはシルフィードにそう言い部屋から出て行った、


「ヒック・・・ヒック、グスッ」


オルソンが出て行った後シルフィードは涙を流しながら静かに泣いた、


親に叩かれる誰かに殴られるより辛いことだからだ


幽霊さんはそんなシルフィードを見て屋敷から飛び出して行った、


数時間後、


ウインディア家の扉をノックする人物がいた、


「はい、

どちらさまですか?」


メイドが扉越しから声をかける、


「突然の訪問失礼します、

私はマクスウェル・メーテル・ホール、

中央王国バークリートの魔法学校の校長をやっているものです、

付き添いで私の護衛の者もおります、

本日はこの家にいるお嬢さんにご用があり訪問させていただきました、」


メイドがマクスウェルの肩書きを聞き慌ててオルソンにこの事を伝えに行った、


すぐに2人は屋敷の応接間に通された、


椅子に座って待っているとオルソンが入ってきた、


「お待たせしました、

私はこの街の領主のオルソンと言います、

娘を今読んでいますので少しお持ちください、」


少ししてメイドが少女を2人連れてきた、


「長女のカリンと次女のフィンです、」


2人はマクスウェルとアレクに向かいお辞儀をする、


マクスウェルは2人を見て微笑み軽く頭をさげる、


そしてすぐにオルソンを見て言う、


「もう1人おったとおもんじゃがのう、」


それを聞いたオルソンは渋い顔をした、


「シルフィードの事をご存知でしたか、

あの子は今謹慎中です、」


オルソンが言った言葉にマクスウェルは首を傾げた、


カリンとフィンも驚いた顔をする、


「謹慎かの?

あの子が何をしたのかのう、」


「マクスウェル様、

それは私達家族の問題です、」


「それはすまないのう、

しかし昨日まで元気に酒場で働いている子が時間になっても来ないとなるとわしは少し心配になってのう、」


オルソンは驚いた、


「酒場で・・・働いている?」


「そうじゃ、

マスターも喜んでおったのう、

子供の面倒を見て奥さんが働けぬからのう、」


オルソンは一筋の汗をかいた、


「さっきまで酒場で食事をしていたのじゃが、

今日も繁盛しててのう、

早く来て欲しいそうじゃ、」


「そ、そうですか、

しかしあの子は罪を犯しました、

それを正直に話すまで私の権限により謹慎としています、」


冷静さを失ったのだろうか、


オルソンは普段言わなくていいことまで口にした、


「罪かの?

できれば聞かせてくれないかの、」


「盗みです、

シルフィードの部屋から大金が見つかったので聞くと嘘をつきました、

それで本当のことを言うまで謹慎とさせていただいています、」


まだ冷静さを失っているのか言わないことまで言っている、


「嘘かの?

何といったのじゃ?」


「酒場で働いていることはマクスウェル様から今言われましたのでそれは信じましょう、

しかし魔物を倒したと言われると嘘としか思いません、」


「そうか、魔物をのう、

しかし残念ながらそれも本当のことじゃ、」


オルソンは目を見開き驚きの顔をする、


「本当だと、」


「そうじゃ、

ウインドウルフを楽に倒しておったのう、

酒場の店主が仲介してギルドに密かに売っていたのう、

それをわしとアレク、それに酒場の店主が証言しましょう、」


オルソンは冷や汗をかき目を泳がせていた、


すると黙っていたカリンが口を開いた、


「あの、

シルフィードは何でそんな危険なことをしているんですか?」


もっともな意見だ、


子供が働いたり魔物を倒したりと子供がするには危険なことだ、


カリンはその疑問を口にしたのだろう、


「それは領主殿が一番知っているはずじゃ、

これはわしの口からでは言えぬのじゃ、」


マクスウェルはそう言いオルソンを見る、


オルソンは渋い顔をしている、


「どこでそれを知りましたか?」


「シルフィード殿からです、

あの子は知っていました、」


「そうか、」


オルソンはそう言い視線を床に落とす、


「シルフィードの無実は証明されましたか?」


マクスウェルが言うとオルソンは小さく頷く、


「なら後は家族の問題だからのう、

家族で話し合うといいじゃろう、」


マクスウェルはそう言い屋敷から出て行った、


その後、


カリンに説明を求められたオルソンは家族揃って説明した、


メリアは知っていたため何かを口にすることはなかった、


フィンは衝撃的な告白のあまり口が開かなかった、


カリンはオルソンに食ってかかる、


妹が自分の知らない間に売られると知って激怒している、


その姿は意地悪をしている姉ではなく、


妹を心配する姉の姿であった、


そしてシルフィードはマクスウェルから出された提案を口にした、


冒険者になること、


お金を貯めて魔法学校に行く事、


誰も反論しなかった、


オルソンとメリアは自分達のせいで不幸にさせてしまうところだったため何も言うことはないと言っていた、


カリンとフィンはシルフィードの苦労に気付けないから自分達からは何も無いと言っていた、


その後オルソンとメリアから頭を下げられた、


すまないと、


シルフィードは気にしてなかった、


そして言った、


「私は不幸じゃなかったよ、

お父さんにお母さん、

お姉ちゃん達がいたから不幸じゃ無いよ、」


シルフィードは恨んでなかった、


誰も恨んでなかった、


両親は涙を流した、


姉達はシルフィードを抱きしめた、


そしてカリンも謝った、


カリン曰く、


風の加護を持ったシルフィードが羨ましく、

更に両親から必要無いと思われていると勘違いしてしまったと言う、


シルフィードは意地悪されてると思っていないため気にして無いと正直に答えた、


幽霊さんはそれを見て満足そうにうなずいた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ