シムニードの日誌七日目:祭
名前:シムニード
職業:魔法使い
流儀:正天秤三角呪法
技量:八
体力:一七/一五
運勢:一三/一一
装備:背負い袋、金貨一七枚、ブリム苺の絞り汁(戦闘中以外に飲むと、体力三回復)、竹笛、蜜蝋、蜂蜜、宝石、膠、鼻栓、玉石四つ、水晶の滝の通行証、剣、金縁の鏡、羊皮紙の巻物
祝福:正義と真実の女神の加護
行く手から大勢人が集まっているらしき騒音が聞こえてくる。どうやら、祭りか市でも立っている様だ。直進すればその現場へ行けるが、左への脇道もある。
祭にしろ市にしろ、情報収集にはもってこいかもしれぬ。ひとつ覗いてみるか。
「またさっきみたいな事にならないか、私は心配ですよシムニード」
「女神よ、貴女は客の」
「うえ~ん」
うむ、使えるかもしれぬ。
先へ進んで角を曲がり二〇〇ヤード程行くと、大勢の人やそれ以外の種族が道に広がっている。幾つも天幕が張られ、天幕と天幕の間には旗が張り巡らされている。やはり、何かの祭の様だ。どれ、どんな祭か見物と洒落込むか。
人混みの間を抜けて、どんな見せ物があるか見て廻る。数人の楽師が、踊り子の一団の為に陽気な曲を奏でている。また、ドワーフが熊に紐を付けて、引き回している。地面に円を描き、帆布を屋根代わりにした闘技場では、怪しげな男が自慢の選手に挑戦する者はいないかと呼ばわっている。
さて、無論ただ純粋に祭を楽しむのが目的ではない。北門開門の為の呪文の手掛かりを得るのが目的だが…正直、直接的にそこに通じていそうな見せ物はないな。当然といえば当然だが。ふむ、片っ端から、回れるだけ回ってみるか。では、まず踊りでも見物してみよう。
人垣に加わると、楽師の調べに合わせて入り乱れる踊り手の舞いに見入る。曲がだんだんと早くなり、それに合わせて見物客も手拍子で参加する。巧みな踊りに見入る内に、いつしか私も手拍子を打ち、足拍子を踏み始めていた。これだけの踊り手は、アナ国にもそうはいない。実に見事だ。辺境も、馬鹿にしたものではないな。
※体力:一五→一六
踊り手達は観客の周りを回り、何人か踊りに引き込み、爆笑が広がる。私の傍に来た踊り手が私の手を取り、輪の中に引っ張り込んだ。
「何をす…」
一瞬無礼を咎めそうになったが、素早く考えを巡らせる。彼等は旅芸人だろうか? もし違うなら、仲良くしておけば、街の情報を得られるかもしれぬ。そうでなくとも、これだけ盛り上がっている流れをぶった切れば、周囲の反感を買うだろう。目立つのは得策ではない。ここは、流れに身を任せてみるか。
「踊りたいのなら、素直になっても良いのですよシムニード♪」
「あんさんはだぁーっとれいpart3“城砦都市”の祭典」
「私女神なのにしくしく」
やたら絡んでくる様になったな。シャムで助けを呼ばなかったのを、根に持っているのかもしれぬ。
何とか踊り手の動きについていこうとするが、流石にそう簡単にはいかぬ。だが、この熱気に身を任せて体を動かすのは、なかなか楽しい経験ではあった。
※体力:一六→一七
うむ、楽しい。楽しいのは楽しいが…一体、いつまで続くのだ…? 荷物が…重いな…。何せ長旅だ。殊に私には魔法の触媒が大量に必要になる。これを担いだまま踊るのは、流石に、堪える…! だが、この街で迂闊に荷物を下ろせば、忽ち盗人の餌食になるだろう。
※体力:一七→一二
私はへとへとになって地面に倒れ込み、見物人の手で輪の外へ引っ張り出された。皆笑って私の肩を叩くが、すぐに踊りの方へ注意を戻す。何という事だ。無駄に疲れただけか。
「素敵でしたよシムニード。まるで嵐に舞う、木の葉の様でした♪」
「…光栄です、女神よ」
こうしていても仕方がない。息が整うのを待つと、私は踊りの輪を離れた。
何の収穫もなしに祭を離れるのも不愉快だ。闘技場の方でも覗いてみるか。
円形の闘技場の中に、山師の声が響く。
「さあさあッ、お客さんッ、挑戦者が出たよッ。白の陣地にいる蛮人レヴナに拍手ッ!」
見物客の歓声が轟く。
「そして黒の陣地はッ、“城砦都市”の乱闘選手権ッ、前回優勝者である怪力の鬼ッ、“脳天割り”の渾名で知られるッ―銅山窟のウーガクだッッ!」
再び歓声が沸き、禿頭の巨大な怪物が姿を現した。ほう、相手は鬼か。銅山窟は、アナ国の北東、シャムの城壁沿いにある鉱山だ。普通に考えれば、素手で人間が鬼に敵う道理はないが、蛮人には上背があり、リーチでは勝っている様だ。賭けが始まっている。観客は賭けに白熱しており、情報を聞き出すどころではない。ここでやれる事は限られている。闘技の勝者への賞金は、金貨一五枚だという。この試合の後に、挑戦者として名乗り出るという手も、選択肢としてはある。
賭け事など、非生産的だ。誇りあるアナ国人が、耽溺すべき事ではない。賭け事で懐を潤そうなどという事は、愚か者の見る幻だ。
「ちなみに、どちらが勝つと思いますかシムニード?」
「鬼ですな」
「絶対ですね~?」
「貴女はどちらだと? 女神よ」
「私は正義と真実の女神ですよ? どちらが勝つかは知っています♪」
「ああ、そういえばそうでしたな」
「…最近、貴男からの信仰が少ない気がするのですがシムニード~?」
「とんでもありませぬ。正天秤三角呪法は、正義と真実の法。私は貴女の忠実なる僕にして、剣でございます、女神よ」
「ああ♪ 改めて言われると、嬉しいものですねシムニード♪」
女神に対して、チョロいという言葉は使うべきではない。私の魔法は、女神への確固たる信仰に基づいている。アナ国の平和の為、真実に基づいて正義が断行されるべきだ。ただ、ここのところのお戯れが過ぎると感じているだけの事。
「それはそれとして、どちらに賭けます? シムニード」
「賭ける事前提ですか」
「うふふ♪ さあ、貴男の判断は当たっているでしょうかー?」
女神が楽しそうで何よりです。
予想屋が傍を通ったので、声を掛ける。
「倍率はどうなっている?」
「今日はツイてる気分なのかい?」
「余計な事は言わずに、訊かれた事に応えろ」
「へいへい。挑戦者が勝てば三倍、前回優勝者が勝てば三分の一さ。どっちにする?」
つまり、蛮人に賭ければ金貨一枚につき三枚、鬼に賭ければ金貨三枚につき一枚戻ってくるという事だ。
「鬼に三枚」
「はっ、しみったれてるね」
「本当、しみったれていますねシムニード」
貴女には味方でいて欲しいのですが、女神よ。
「さあッ、世紀の一戦が始まりましたッ。実況は私ッ、“城砦都市”の山師ガロウデンでお送りいたしますッ。そして解説はこの人ッ」
「この世界の隠れアイドル♪ 正義と真実の女神でぇす☆(キラッ)」
…一体、何をしている、あの女神。誰も変に思っていないのは、魅了と幻術の応用か。山師のテンションもおかしい。いい加減、運命の女神に灸を据えられるぞ。
「とうとう始まりましたねッ、女神様ッ。“城砦都市”の路上の地獄ッ、乱闘選手権を制するのはッ、荒野の蛮人レヴナかッ!? それともッ、銅山窟の屠殺人ッ、人喰いウーガクかッ!?」
「鬼の渾名が変わってますよ? そういうのどうかと思う、正義と真実の女神的に」
「どうでもいいツッコミッ、誠にありがとうございますッ。さあッ、両者ッ、リング中央に躙り寄っていきますッ。先に血の華を咲かせるのはッ、クラトの英雄レヴナかッ、豪腕無双ウーガクかッ!?」
「だから渾名が」
蛮人:技量七,体力八
鬼:技量九,体力一二
「おおっとッ、先に動いたのはウーガクッ! 突き放そうとするレヴナの拳をものともせずッ、強ォ~烈な左フック~ッッ!」
「うわ、痛そう」
蛮人:体力六
「そのまま一気に決めたい前王者ッ、右を強振しますがレヴナッ、これをかわして顎をかち上げるゥゥ~ッッ!」
「貴男、ちょっと声が大き過ぎませんか? 耳が痛い」
鬼:体力一〇
「効いたァ~ッッ! 効いてしまったッ! 膝の落ちる王者ッ、そこに挑戦者の右がジャストミィ~ットッッ!」
「あらあら、元々酷い顔なのに」
鬼:体力八
「勝機とばかりにダッシュしたレヴナッ、ウーガクに向かって身体ごとぶつかっていくッ! ああっとッ、しかし腐っても前王者ッ、ウーガクッ、そのまま砲弾の様にレヴナの腹に頭突きだァァ~ッ!」
「ッが多いですよね、貴男。何処の訛ですか?」
蛮人:体力四
「しかしここで根性を見せるレヴナッ、痛みを堪えて両拳を固めッ、ウーガクの頭上に振り下ろすッ! これは効いたぞ王者ッ!」
「結構時間掛かりますね、これ。剣で刺した方が早くないですか?」
鬼:体力六
「しかしッ! 倒れないッ! 倒れないぞ前王者ッ! そのままレヴナを抱え上げてッ、ほッ、放り捨てたァァァ~ッッ!?」
「あ、これ食べても良いですか? 何げに地上に移し身を出すの久しぶりで。うまし♪」
蛮人:体力二
「レヴナ朦朧としているッ! レヴナ朦朧としているッッ! さあッ、ここで決めるか前王者ッ、既に怒りというゲージはMAXまで溜まっているッ! 腕を大きく回してッ、出るか怒りの超必殺技ッッ! でッ、出たァァ~ッッッ!! 超・必・殺ッッ! 脳ッ! 天ッッ! 割りィィィ~ッッッ!!!」
「あっ、それ、技の名前だったのですか? それは気が付きませんでどうも」
蛮人:死亡
かなりの接戦になったが、やはり試合を制したのは鬼の方だった。岩の様な拳が、蛮人の頭蓋を打ち砕く。無論、こんな賭け事の八百長如きに、魔法を使う気はない。
「けけけけ決着ゥ~ッッッ! 荒野疾風レヴナッ、善戦しましたがッ、惜しくも銅山旋風ウーガクに一歩及ばずッ! 銅の拳で血の海を渡りましたァァァ~ッッッ!!」
「また違う渾名になってる~」
全く解説になってなかったな。本当に、何がしたかったのだあの女神は。
「ほれ、配当。まあ、当たり前といえば、当たり前の結果だったがな」
金貨:一七→一八枚
女神のおふざけも終わったし、こんな野蛮な見せ物はもう沢山だ。
立ち去ろうとして、ふと思い付く。結構盛況な賭け事の胴元は、それなりの資金がないとできぬ。その胴元と接触を取れば、街の有力者の情報を得られはしまいか? 客として会いに行ったところで、あしらわれるのがオチだろう。では、闘技者として賞金を受け取る立場なら? 強さを見せ付ければ、向こうから接触してくるかもしれぬ。それならば、この馬鹿騒ぎに付き合うのも、悪くはないか。
「さあッ、ウーガクの快進撃を止めようという勇者はいないかッ!? 新しい英雄はッ、新しい伝説は生まれないのかッ! 目覚めよッ、その魂ッ!」
「待て、私がやってみよう」
山師に声を掛け、白の陣地に入る。
「おぉ~っとッ!? ここに無謀な挑戦者の誕生だッ! しかしッ、戦わなければ生き残れないッ! 生まれ持った男の本能がッ、若者を死地に駆り立てるのかッッ!」
何を言っとるんだこいつ。
「きゃ~っ♪ 頑張ってシムニード~っ♪」
…女神が楽しそうで、本当に何よりです。というか、貴女は普段から私の血みどろの死闘を見ておるだろうに。まあ、私は普段からクレバーに立ち回っているから、そう血みどろには、なら…ぬから…血に、飢えておられる…? 些か怖気を振るいながら相手の陣地を見ると、見過ごしならぬ光景が映る。山師がこっそりと、傷付いた鬼に癒しの術を掛け、回復させていたのだ。そういう事か。まあ私も、魔法でイカサマする気満々ではいたが。
その時、私の耳に、聞き覚えのある名前が飛び込んできた。
「ヴァイク! 我が友、ヴァイクよ! どうしていた?」
見ると、挨拶を交わしている二人連れの姿が見える。どうやら、あの片方がヴァイクらしい。グランディガンから聞いた、街の名士だ。
「ヴァイク殿! 貴男がヴァイク殿か?」
声を掛けると、一人が振り返る。
「ン? そうだが…あんたは?」
「私はビルのグランディガンの友人で、シムニードと申す」
ヴァイクは、グランディガンの名を聞くと、顔を綻ばせた。
「グランディガン! 懐かしい名を聞いた! 解った、後で話をしようじゃないか。そちらも取り込み中の様だ。勝負が終わったら待っているよ。幸運を祈る!」
ここで彼と接触できたのは、幸運であった。
※運勢:一一→一三
さて、ヴァイクと会えたのは良かったのだが、些か困った事になった。治癒呪文以外に、触媒を持っている呪文がない…。そして、治癒呪文は体力の消耗は補えるが、もっと後に温存しておきたい術だ。もしこのまま戦うとすれば…蛮人程ではないが、やや私が不利だ。女神に…頼るか…? すぐそこで、きゃいきゃい騒いでいるが…。いや、女神の加護こそ、治癒呪文よりも温存したい切り札だ。性には合わぬが、肉体言語で頑張ってみるか。
「さあッ、本日二回目の防衛戦ッ! 王者ウーガクに挑むはッ、正義と真実の剣ッ! 俺が最後の希望だッッ! “孤独のメイジ”シムニードォ~ッッッ!」
何だこの恥ずかし過ぎる紹介は!? 山師の隣で、女神がバチバチウィンクしている。…何ですか、そのしてやったりなドヤ顔は。女神の加護で、女神が余計な事をしない様に祈りたい。
「今ッ、運命のゴングが鳴るッ! 二連覇なるかッ銅腕ウーガクッ、新たな伝説を生むかッ優男シムニードッ! 女神の采配はどっちだッ!?」
「えっ? 勿論シムニードですけど?」
「えッ?」
鬼:技量九,体力一二
私:体力一〇
私:体力八
私:体力六
私:体力四
くっ、予想していた事ではあるが、ここまで不利だとは…!
「おぉ~っとッ! 大口叩いて出て来た割に不甲斐ないぞシムニードッ、一方的に殴られているッ!」
喧しい、別に私が大口叩いた訳ではないっ。
「きゃ~っ! 顔は殴らないでください顔はっ。折角のイケメンが大変な事にっ! あっ…でも、これアリかな…?」
女神はせめてちゃんと応援して欲しい。しかし、踊りで無駄に消耗した体力が響いてきたな…。
※運試し→幸運
※運勢:一三→一二
私:体力三
※運試し→幸運
※運勢:一二→一一
私:体力二
もう、まともに避け切る体力がない。運を頼りに、先読み気味に致命傷だけは避けていく。しかし、これではジリ貧だ…!
何とか、一撃だけ防御に成功する。鬼は、醜い顔を歪めて嘲笑を浮かべる。
「グヘヘヘ、さっきの木偶の坊みたいに、とっととくたばっちまえよおめえ。そしたら、残ったブツは喰ってもいい事になってんだァ」
「…貴様に喰わせる、肉は無いっ!」
※運試し→幸運
※運勢:一一→一〇
私:体力一
しかし、反撃も虚しく空を切り、鬼の一撃を無様に転がって避ける。…もう限界だ。次の一撃はかわせない。もう、頼るしかないか…。
「女神よ!」
私は、意念を込めて女神の名を称えた。使命を果たす誓約と共に与えられた、女神の祝福。シャム、“城砦都市”“無限荒野”“魔砦”それぞれ一度ずつしか使用を許されていないが、女神より直接の加護を授かる事ができるのだ。
「はいはーい♪」
時間の止まった様な瞬間、女神はとことこと闘技場に入ってくると、私の額に口付けた。
「頑張ってくださいね、シムニード。信じていますから」
こういう時は、流石に女神と感じ入る他ない。私の身体から、疲れや悪気が吹き飛ぶ。
※女神の加護:復活
※体力:一→一七
※運勢:一〇→一三
突如息を吹き返した様な私に、鬼は面食らった様だ。
「何だ、てめえ、悪足掻きをっ」
私:体力一五
※運試し→幸運
※運勢:一三→一二
鬼:体力八
私:体力一三
運試し→幸運
※運勢:一二→一一
鬼:体力四
私:体力一一
私:体力九
私:体力七
私は、ひたすら攻撃を耐え忍びながら、僅かな隙を見出しては、そこに捨て身の一撃をねじ込んでいく。
「な、何だてめえっ!? 何で倒れねえ!?」
「私には、女神の加護があるからだ」
それは率直な事実に過ぎなかったのだが、鬼の耳にはどう聞こえた事か。幽鬼の様に何度も向かってくる私に恐慌をきたした鬼は、強烈な一撃を私に見舞うが、同時に致命的な隙も晒す。
「…フィナーレだ」
私は鬼の背後から首に絡み付くと、片目を抉りながら全体重を掛けて首を捻った。鈍い音がして、へし折るとまではいかずとも頸骨に致命的な損傷を与えた手応えがあった。
※運試し:幸運
※運勢:一一→一〇
鬼:死亡
「ふぃー…」
疲れ果て、溜息を吐く私の目尻に、大喜びしている女神の姿が映る。私は重い身体に鞭打って、女神に一礼した。山師が近付いてきて、金貨の入った袋を手渡しながら、馴れ馴れしく私の手を掴む。
金貨:一八→三三枚
「いやあッ、やるじゃないか若いのッ。どうだッ、もう一勝負やらかしてッ、俺と一儲けしないかいッ?」
「断る」
にべもなくそう言うと、私は闘技場を離れた。いつの間にか、女神が隣を歩いている。
「ディ・モールト! ディ・モールトですシムニード! 凄く見応えがありましたよ? しかも、私の出番まで作ってくれるとは、貴男は信者の鑑です♪ ただ惜しむらくは、折角『フィナーレだ』から繋げるなら、やっぱり側転跳び蹴りで決めるべきでしたね」
「申し訳ありませぬ、女神よ」
「…あら、素直?」
「女神のお力で命を拾いましたからな。信仰を新たにしておるのです」
「うふふ~♪ 可愛い事を言ってくれますねシムニード♪ …そうそう、もう一つ褒めてあげなくてはいけませんね」
「と申しますと?」
「貴男の御陰で沢山儲かりました♪」
女神の両手には、いつの間にか金貨がたっぷり詰まっているらしい革袋が。
「別に何にも使いませんけど、試しに貴男に一杯賭けてみたら、凄い事になっちゃいました☆」
「…」
「勿論、私が関わった事は全部消しておきますから、このお金は適当に分配しておきますけどねー? 人間が賭け事に夢中になる気分が、少し解ってしまったかも☆」
「…」
「では、“城砦都市”ではもう手助けする事はできませんけど、ちょくちょく顔を出しますから。頑張ってくださいねシムニード♪ 信じてますから☆」
気付いた時には、女神の姿は消えていた。
…。
…。
…。
うむ、こんな事は、二度とすまい。…せずに済めば良いが。
名前:シムニード
職業:魔法使い
流儀:正天秤三角呪法
技量:八
体力:一七/七
運勢:一三/一〇
装備:背負い袋、金貨三三枚、ブリム苺の絞り汁(戦闘中以外に飲むと、体力三回復)、竹笛、蜜蝋、蜂蜜、宝石、膠、鼻栓、玉石四つ、水晶の滝の通行証、剣、金縁の鏡、羊皮紙の巻物
祝福:使用済み