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シムニードの日誌八日目:赤目とアダルヴの賭博場

名前:シムニード

職業:魔法使い

流儀:正天秤三角呪法

技量:八

体力:一七/一三

運勢:一三

装備:背負い袋、金貨二八枚、ブリム苺の絞り汁(戦闘中以外に飲むと、体力三回復)、竹笛、蜜蝋、蜂蜜、宝石、にかわ、鼻栓、玉石四つ、水晶クリスタルの滝の通行証、剣、金縁の鏡、羊皮紙の巻物、緑色のかつら、投げ矢二本

祝福:使用済み

 昨日は充分食事をったので、体調は問題ない。だが、あの亭主の言動から考えると、あの店の料理は…深く考えるのはしておこう。

 朝の光の中で見ると、宿はちょうど河の畔に建っていた様だ。程近い所に、邪波河を渡る唯一の橋、“波止場橋”がある。巨大な橋を越え、大河を渡る。これで、シャム丘陵側から、完全に“無限荒野”側へ移った事になる。だが、まずは北門を越えねば。橋から、道は二手に分かれている。

 例によって、指針はなし。左へ行ってみよう。

 曲がりくねった、細い通りを行く。商店や屋台が建ち並んでいるが、早い時間の為、まだどこも開いていない。だが、家々では人の起き出している気配がする。窓から、こちらを窺っている人の顔が見える。だが、奇妙な事に目を閉じたままだ。往来で顔を洗っている者がいる。やはり目を閉じたまま。細い体躯に、長い顔をした種族だ。向こうに、若い男の一団がたむろしている。石を溝に蹴り込みながら、談笑している。一様に、目を閉じたまま。そして、こちらを“見”て、何か言い交わす。良くない雰囲気だ。

 目を閉じた人型種族で、嫌な噂を聞いた事がある。“赤目レッドアイ”と呼ばれる不吉な種族の事だ。彼等は、見ただけで人を焼き殺す程の眼力を秘めているという。あまりに強い眼力の為、目を閉じていても朧気に外が見える程だと。傍迷惑なその能力の為、何処どこの街でも爪弾きにされ、荒野を彷徨さまよっていると聞くが、この“城砦都市”では例外らしい。さて、どうするか。避けるに越した事はない連中だが、呪文の手掛かりでないとも限らぬ。火中に栗を拾ってみるか。

「火中天津甘栗拳ですねシムニード」

 女神が両手をぱたぱたさせている。

「古いですな。そして遅いですな女神よ」

 幸い連中の眼力は凄くても、物見の司と違って視力自体は良くはないらしい。私は、赤目レッドアイ達と接触を図ってみる事にした。

「ご機嫌よう、諸君」

 甘かった。連中は私の挨拶をせせら笑うと、足を掛けて転ばせた。弾みで財布が開き、金貨が路上に散らばる。

「手伝ってやるよ!」

 赤目レッドアイ共が群がってきて、私の金貨を懐に収め始める。


※運試し→幸運

※運勢:一三→一二

※金貨:二八→八枚


 “城砦都市”がどういう所かは、重々承知している。これまでも、様々な目に遭ってきた。だが。だが! ものには限度というものがある。少なくとも、この侮辱を看過する程、私はアナ国の誇りを忘れてはいない!

「待て、貴様等」

「あん?」

「まず、足を掛けて私を転ばせた事を詫びろ。その上で速やかに私の金貨を返し、とっとと消え失せろ」

「何を言ってやがる。これは拾ってやった正当な報酬って奴だぜ。転んだのはてめえが間抜けだからだろ? だな?」

 赤目レッドアイ共は、吐き気のする様な下卑た笑い声をあげる。

「舐めたガキだぜ。取れるモンなら取ってみろよ。そら!」

 一人が地面に向けて目を開く。瞼の下には、真っ赤に燃える火の玉が見えた。

 多勢に無勢だという事は解っている。相手の能力も。だが、私にはアナ国の叡智がある。女神の与え給うた、正天秤三角呪法が。許せぬものは、許さぬ!

「黙れ、屑共。ならば命を支払え」

 この人数の赤目レッドアイ相手に、肉弾戦など以ての外だ。魔法以外にあり得ぬ。恐怖呪文は使える“機”だが、触媒の黒い仮面を持っておらぬ。予知呪文を使ったところで、恐らく正しい選択は、この場から逃げる事だろうな。鏡像呪文も使える“機”にある。触媒の金縁の鏡も持っている。これでいってみるか。


※体力:一三→一二


 呪文と共に相手に掲げた鏡から、相手そっくりの赤目レッドアイが姿を現す。

「!?」

「自分の視線で地獄に堕ちろ」

 赤目レッドアイと鏡像の視線が交錯し、赤い火線が走る。そして、互いの視線で黒焦げとなった。私はゴミの中から奪われた金貨を取り戻すと、邪魔なカスを道の端へ蹴り散らし、脅える周囲の下等種族には一瞥もくれずに歩き去った。


※金貨:八→二八枚


 分かれ道までやって来た。右手の短い道は、<アダルヴの賭博場>と看板を掲げた建物に続いている。フレイケルが言っていたのはこれか。左手の道は、街の外へと向かう様だ。道の間には、巨大な青銅像が建ち、その足下には金貨の詰まったかめが置いてある。どうやら、“城砦都市”の神をかたどった像の様で、甕の中の金貨は布施であろう。

 まだ呪文は二節しか判っていない。北門へ行くのは時期尚早だろう。神への捧げ物に手を付けるのは、アナ国人として恥ずべき事だ。しかも、この“城砦都市”で、往来に金貨が放置してあって、誰も手を付けようとしない。何かあると考えるべきだろう。賭博に興味はないが、アダルヴの賭博場で何か情報が得られぬか探ってみよう。

 中は広間になっていて、客達がそれぞれ、己の勝負に夢中になっている。喧噪と、賽子さいころのぶつかる音、運命の輪が回る音が響く。このままでは、話をするどころではないな。何かゲームをやってみるべきか…。

 まだ文明の香りがするのは、運命の輪の方か…? 話の種になれば良いが。

 運命の輪は、試みるのに金貨一枚掛かる。金貨を一枚賭け、これと決めた数字の所に置く。運命の輪がそこに止まれば、規定の金貨(五,一〇,二〇枚)を受け取れる、というものだ。まあ、一回くらい試してみるか。


※金貨:二八→二七枚


 運命の輪が回る。差した数は、まさしく私が選んだ数字だ。しかも、配当は金貨二〇枚となっている。


※金貨:二七→四七枚


 フフフ、済まぬなフレイケル。私には、女神の加護がついているのだよ。

「女神念力で、金も使命も思いのまま!」(ドヤッ☆)

 途端に胡散臭くなった。さて、一回やれば充分だ。情報収集にもならぬ様だし、この場を離れよう。


※来た時よりも金貨が増えているなら、運勢プラス二。

※運勢:一二→一三


 賭博場を出ようとした時、<入り口の間>と記された扉がある事に気付く。

 もしかしたら、わざわざ賭博場などに来た甲斐があるかもしれぬな…。少し覗いてみるか。

 慎重に扉を開けると、中は小さな部屋で、中央に直径約九〇センチ程の煌めく黒い円が見える。その途端、扉の内側に立っていた衛兵に取り抑えられる。

「また面倒な奴か?」

 衛兵はそう言うと、私を部屋の中央に押しった。私は、黒い円の中に踏み込み、真っ逆様に落ちていった。

名前:シムニード

職業:魔法使い

流儀:正天秤三角呪法

技量:八

体力:一七/一二

運勢:一三

装備:背負い袋、金貨四七枚、ブリム苺の絞り汁(戦闘中以外に飲むと、体力三回復)、竹笛、蜜蝋、蜂蜜、宝石、にかわ、鼻栓、玉石四つ、水晶クリスタルの滝の通行証、剣、金縁の鏡、羊皮紙の巻物、緑色のかつら、投げ矢二本

祝福:使用済み

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