第3話:靴下と、人生の上下関係
うぁぁぁぁぁぁ!!?
とりあえず服をください………
「……で、次どうする?」
《最優先事項:体温保持と社会的違和感の解消》
「言い方ァ!」
僕は木の影に隠れながら、腕を組んでうずくまっていた。
英雄感? ゼロ。
神秘性? マイナス。
「異世界転生ってさ、もうちょいこう……
マントとか、ローブとか、ない?」
《確認。あなたは“無能力”のため初期装備支給対象外です》
「制度きびしすぎない!?」
そのとき、頭の中にピロンと音が鳴った。
《サブクエスト発生》
《内容:最低限の衣服を確保せよ》
《報酬:社会復帰》
「報酬ざっくり!」
森を少し進むと、
今度はちゃんと“それっぽい”人物が現れた。
フードを被った、小柄な少女。
手には布袋。
「……ねえ」
「はい! 見ないでください!」
即答だった。
少女は一瞬きょとんとしてから、
ぷっと吹き出した。
「なにそれ。新手の修行?」
「違います! 事故です!」
《補足。スライムによる不可抗力です》
「説明しなくていい!」
少女はしばらく僕を眺めて、
袋からボロ布のチュニックを投げて…くる前に一言。
「はい。着なさい」
「神!?」
「貸しだから。あとで洗って返して」
《記録》
《この世界では、最低限の善意が流通しています》
そして…
彼女は荷物袋を探り、
くしゃっと丸めた靴下を一足、投げてきた。
「……これ、履きなさい」
「え?」
「見せる趣味はないでしょ。
最低限、隠しなさいよw」
《倫理的判断:非常に適切》
「AIちゃん静かに!!」
慌てて受け取り、
人生で一番必死に、靴下を扱った。
顔が熱い。
耳まで熱い。
尊厳? 行方不明。
彼女は腕を組み、
ニヤニヤしながら言った。
「ほんと……」
一拍。
「馬鹿みてぇ。笑」
ぐは…!?




