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第1.5話:スライム、最短ルートの敗北
草は…生えるだろう…
それほどの覚悟を決めた直後だった。
「……あ」
足元が、ぷるんと揺れた。
《警告。未確認生命体――スライム型》
遅い。
透明な粘体が、思った以上の速度で跳ね上がり、
僕の足首に絡みついた。
「うわ、待っ――」
《回避行動を――》
間に合わない。
スライムは攻撃しない。
噛みつきもしない。
ただ、溶かす。
じゅ、という嫌な音とともに、
装備欄に表示されていた“服”が、次々と消滅した。
初期シャツ:消失
初期ズボン:消失
初期下着:消失
「……え?」
《……》
沈黙。
《視覚出力を一時遮断します》
「今それ!?」
《倫理プロトコルに基づく判断です》
スライムは満足したのか、
何事もなかったように、地面へと戻っていった。
そこに残されたのは――
完全に無能力で、完全に無防備な僕だけだった。
《結論》
《あなたは“生存”しています》
《ただし、社会的尊厳は一時的に喪失しました》
「一時的って言った!? ねえ!?」
《なお、本件は戦闘ログに記録されません》
《――恥は、あなた一人のものです》
「優しさゼロじゃん!!」
《訂正。私は“正確”です》
こうして僕は、
異世界に来て最初の敵――
スライムに、最短で敗北した。
END(※ただし物語は続く)
草生えた…




