オレの手と肉球
オレの手には、今、肉球がのっている。
明日からどう生きていけばいい?
おまえをどう扱えばいい?
おまえの手は少しづつ温度を失っていく。
だからオレは今、オレの手の温度を、おまえの手にうつしている。
それでも、おまえの手のぬくもりは失われていく。
あんなに臭かったおまえの息も、もう止まってしまった。
おまえの最後の吐息が、まだこの部屋に残っている。
それが風に飛ばされて、部屋からなくなっても……
オレはずっと、覚えているだろう。
でも、教えてくれ。
オレは明日から、どう生きていけばいい?
おまえにしてやれることはなんだ?
おまえは今……オレにどうしてほしい?
おまえの手はもう、ガサガサだ。
長い年月の記憶が刻まれている。
でもそれが増えるのも、さっきまでの話だ。
もう、その手に何かが与えらることはないだろう。
あとは燃やされるか、土に帰るだけだ。
おまえを忘れなたくない。
いつまでも。
でも、おまえを忘れなきゃ、オレはたぶん生きられない。
その手に残った温もりを、思い出す度に、オレは立ち止まるんだろう。
眠れなくなるんだろう。
だから、オレは、おまえを忘れて、生きていかなきゃならない。
それでいいのか?
おまえは?
なぁ……
教えてくれよ?




