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144 誰よりも早く欲しくなってしまうのは世の常

 できてしまった物は仕方ない。


 俺はマニカさんとメリッサさん、マグレトさんと提督、守樹長、総長を部屋に呼んで来てもらった。ラストも居る。


「え? なんで?」


「なんか面白そうな感じがしたから」


 う~ん。どういう感じだ、それは? しかし、隠していてもいつの間にかバレている、というのがラストだ、と言われても不思議とは思わない。……まあ、いいか。これから広めることだし、いずれというか、直ぐにバレることだ。それが早いか遅いかというだけ。


「まあ、見ていけばいいよ。こういうのが好きかどうかは知らないが」


「ふふ。楽しみにしているわ」


 多分、ハマらないんじゃないかな。少なくとも、俺と同じ世界の記憶があると考えるなら、日曜の朝の番組を心待ちにしていないと通じない。まあ、見せてみないことにはわからないことだ。


 なので、集めた面々に向けて、俺は新しい模造品の剣の魔道具……そういえば名前決めてなかったな………………光って鳴るから「光鳴(こうめい)の魔道具」としよう。その光鳴の魔道具を説明する。


 ………………。

 ………………。


「わあ、今度は光るのですか」


「いいですね。これ」


 マニカさんとメリッサさんは好感触。


「………………これ、ヤバくね」


 マグレトさんは驚愕……いや、これは自分も欲しいと思っているが、この後の増産が凄いことになると確信して戦慄しているように見える。


「あっはっはっはっ! いいねいいね! こりゃ面白い!」


「……これ、杖でもできる?」


「ほう! 面白い! 光るのもいい! 鳴るのもいい! 爪の武器でもできるか? これ? 欲しいぞ!」


 提督、守樹長、総長は、かなりの好感触だ。これは絶対欲しい、と目を見ればわかるくらい喜んでいる。


「……ああ、これ、そういう……う~ん、私は寧ろ出てる俳優の方が……でも、その俳優の推し活グッズの一つだと考えれば……」


 ラストは……うん。まあ、仕方ない。推し活グッズと認識してくれるだけでもありがたいかもしれない。今見せたこれに俳優とかないし、推し活グッズにはならないけれど。


 ともかく、反応としてはかなり上々だ。後、多分だけど、この中の数名は喜びを我慢している気がする。この場に居る人たちは全員立場的に上の人たちだ。だから、ここで大きく感情を乱すようなことはしないのではないか? と思う。そういう見せ方というか、晒さない気がする。なので、一人。自分の部屋に戻ったら……はっちゃけそうな気がした。でもまあ、そこを追及する気はない。


 ただ、これに関しては「これは皆欲しがるかな?」と聞くと、ラストを除いた全員から「間違いなく」という返事を頂いた。しかし、これを全員分となると相当時間がかかる。多分、思っている以上の時間がかかる。下手をすれば、交代人員が来ても終わらず、いざセブナナン王国の王都に向けて出発となった時も終わっていない可能性すらある。


 話し合いが必要だ。


     ―――


 話し合いの結果――光鳴の魔道具の方に関しては制限が入ることになった。どういう制限化というと、各軍の隊長から上に立場が上がるにつれて、使われる魔石の数が増えていく、というもの。


 マグレトさんや提督、守樹長、総長といった各軍のトップは制限なし。俺の意思によってマニカさんもここ。ラストも一応ここ。


 その下からは各軍のトップの判断次第ではあるが、大隊長くらいだと付けれる魔石は三個、中隊長くらいだと魔石は二個、小隊長くらいだと魔石は一個、それより下はこれまで通りの魔石なし。小隊長より上は光って鳴るけど、下は鳴るだけ、ということだ。


 また、隊長ともなると副官が最低一人は付いているのだが、副官は付いている隊長のランクの一つ下まで、ということになった。副官が隊長と同じランクのものを持つと、色々と口煩くなる人も居るらしいので仕方ない。


 まあ、わかりやすい指針は役職くらいしかないので、一旦こういう仕様になった。これでも結構あーだこーだしたので、とりあえずでも話が纏まってくれたのは助かる。


 ただ、それで話し合いは終わりではない。一応、俺がここに居る間というか、セブナナン王国の王都に向けて出発するまでの間に終わらせるつもりだが、それでも誰よりも早く欲しいと思うのは世の常だ。


 今度は、誰からと、どの国から作っていくかで揉める。


 俺は誰からでもどこからでもいいので傍観していたが――。


「やっぱさあ、『怠惰』殿がこの先セブナナン王国に向かう訳だし、まずはこっち側が優先じゃない?」


「……そうですね。『怠惰』殿の行き先を考慮するなら、セブナナン王国は後回しでも構わないのでは?」


「そうだな。今後のことを考えれば、セブナナン王国は一歩引くべきでは? そうは思わないか? マグレト統括」


「ぐぐぐ……」


 提督、守樹長、総長がガッツリ手を組み、マグレトさんは歯噛みするしかなかった。


「……なんか話長くなりそうだから、先にマニカさんの作っちゃう?」


「……いいん、ですかね?」


「いいんじゃない。俺がそう決めたし」


 俺の意思が最優先である。

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話し合いの結果――光鳴の魔道具の方に関しては制限が入ることになった。どういう制限化というと、各軍の隊長格から上に 隊長格って言葉はわかるんですけど、調べるととある漫画の事ばかり出てきてちゃんとした情…
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