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102 外から見ているだけではわからないので、時には確認も必要

「またか!」


「城壁も!」


「どうなっているんだよ!」


 グレッサア王国軍と貴族の私兵っぽい人たちが騒いでいるのが見える。王都の壁に続き、城壁まで沈んだとなると、騒ぐのもわかるというものだ。意味がわからないだろう。


 でも、一方で四か国軍は特に気にすることなく王城を攻め始めようと動き出していた。四か国軍が直ぐ動けたのは、一度直に見たことである程度の耐性ができていたからだろう。四か国軍はそのままグレッサア王国軍と貴族の私兵っぽい人たちを倒して、王城の中へと入っていく。


 ……四か国軍は下から攻めているから、俺は上から攻めようかな?


 うん。そうしよう。


 王城の最上階にある小さなバルコニーに下りた。


     ―――


 ……うん。小さなバルコニーではなかった。


「き、ききき、貴様! な、ななな、何者だ!」


「ど、どどど、どこから現れた!」


 どうやら下りた場所は見張り台か何かだったようだ。下りたところの側に扉があって、下りると同時に扉が開かれ、そこにグレッサア王国兵二人が居たのである。ばったりと出会った。見つめ合うこと数秒後に、グレッサア王国兵二人は腰から提げている剣を抜き、俺にその切っ先を向けて、先ほどの言葉である。


 俺は少し考えて答えた。


「何者かは、関係者で、どこからは、空から」


 空を指差す。うん。どこも間違っていない。今王城を攻めている四か国軍の関係者だし、今空から下りてきたのだから。


 なのに――。


「あ、あああ、怪しい奴め!」


「せ、せせせ、成敗! 成敗ぃ~!」


 斬りかかってきた。こんな狭い場所で。避けるにはちょっとスペースが足りない。なので、身体強化魔法で逆にこちらから攻める。剣を振り下ろされる前に近付き、鎧なんて関係ないとばかりに力強く握った拳を打ち込む。拳に痛みはない。ただ、グレッサア王国兵の一人の腹部にめり込んで、その一人は悶絶した表情を浮かべ、気絶して倒れた。


 そのままもう一人も同じように振り下ろされる前に近付き、これも同じく拳を腹部に打ち込んで悶絶され……気を失わなかったので、もう一発顔面に入れると気絶して倒れる。


 ……ふう。危なかった。まさかいきなり見つかるとは……いや、目撃者の意識は刈り取ったので報告はできない。つまり、見つかっていないとも言える。ということは、まだ俺の潜入はバレていないということだ。なので、セーフ。何がセーフかはわからないが、セーフである。


 ただ、またこんな出会い頭は嫌なので、透明になる魔法を使ってから、王城の中へと入った。入ると直ぐ目に付いたのは、下へと続く梯子。まあ、見張り台みたいなものだしね。それ以外の用途はないということだろう。


 梯子を下りる。


 外から見た感じだと、部屋とかがありそうな階数は五、六階くらいはありそうだった。といっても、その五、六階は見張り台とかそんな感じのばかりだったので、実際に人が居る階となると、四、五階といったところか。


 なので、まず俺は四階か五階に下りた、ということになる。


 王城内はかなりバタバタしていた。グレッサア王国兵っぽいのがたくさん行ったり来たり。慌てているのが見てわかる。きっと、下から聞こえてくる喧騒の音が影響しているのだろう。吹き抜けでもないのにここまで喧騒が聞こえてくるということは、それだけ激戦なのか、それとも、単純に人が多いからか……多分、後者だな。四か国軍が纏めて来ているし。


 とりあえず、下は任せて大丈夫だろう。


 そう納得して、上から王城内の探索を始める。


 ………………。

 ………………。


 いくつかの部屋の前にはグレッサア王国兵数人が居て、どうしようか悩んだが、今手を出すと気付かれた時が面倒になりそうなので放置しておくことにした。多分、避難場所とかそんな感じだろう。俺が入るより四か国軍に任せた方がいいと思う。


 なので、グレッサア王国兵が居ない部屋を見つけては中を覗いてみたが……特にこれといった発見はなかった。大抵が物置。宝物庫はなかった。あとは応接室とか、そんなんばっかり。見どころがないな……と思っていると、発見。


 豪華な装飾が施された大きな門の前に、十人のグレッサア王国兵が待機している。門の雰囲気といい、厳重に守っていることといい、中に何かあるのは間違いない。もしくは、誰か居るのか。それがグレッサア王国の王である可能性が非常に高そうだ。


 ……四か国軍を待ってもいいが、本当に居るのかどうか、確認するのもありだと思う。


 チラッとだけ。確認するだけ。何もなかったから、ここらで一つ発見したいとかそういうことではない。うん。


 問題は、十人のグレッサア王国兵だが……それは存在がバレるのを覚悟して、殴り、蹴って、倒していく。途中で残った何人かが剣を抜いて構えて「誰だ! どこに居る!」と言い出すが、俺は透明なので見つからない。さらに何人か倒すと一人だけ残り、その一人が剣を振り回し始めたが、軽々と避けて拳で倒した。


 他には居ないな? と居ないことを確認した後、大きな扉をそっと開けてみる。施錠はされていなかった。なので、もう少しだけ開けて中を確認する。


 ………………。

 ………………。


 玉座のような豪華な椅子を座っているバニー姿の女性が居て、そのバニー姿の女性に向けて頭を下げる、たくさんの人が居た。


 ……うん。どういう状況?

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