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書き出し祭りに参加したので、参加作品を完結させてみた。

作者: 神崎 月桂

 初めましての方は初めまして、お久しぶりの方はお久しぶりです。神崎です。

 ……と言っても、お前誰なんだよという話になるので、そのあたりから簡単に。


 ただの物書きしてるだけの人間です。はい、シンプルですね。


 今回これを書いたのは、タイトルにもあるとおり“書き出し祭り”という肥前文俊様主催の匿名条件下で書き出し4000字でどれだけ惹きつけられるかを競うという企画にて参加した作品を期間終了後に連載し。そして1年弱かけて完結させたので、その間に思っていたことなどを少し書こうかなと、そう思ったものになります。


 完結した作品は全125話+if短編、文字数約65万字(本編のみだと約60万字)。まあ、かなり頑張ったんじゃないかな、と。自分でもそう思いたいです。

 ありがたいことに(私としては)沢山の方にも読んでいただけたようで。現状、私の作品の中で一番PVやユニーク数、また、評価ポイントやブクマの多い作品となっています。


 まあ、このエッセイを読みに来てる人にそんなことどうでもいいから結論だけ知りたいという人もいるでしょうし、結論から言いますね。

 書き出し祭りの参加作品は、連載したほうがいい。と、まあ、そういう話になります。


 いや、連載とか大変なんだが、とか。書き出し祭りでの結果が散々だったのに、とか。そういうことを考える人もいるかもしれませんが。例えば書く余裕がないとか、なんらか別な理由があるならともかくとして、基本的には書き出し祭りに参加した作品は連載するほうがいいのかな、と個人的には思ってます。

 まあ、私自身参加作品中でいったい何作連載してるんだよって言われると、はい、耳の痛い話なんですけど。


 ただ、曲がりなりにも初回参加勢、かつ、参加回数だけは伊達に多い人間からしてみると、これほどいい連載開始の機会はないなとも、そう思っています。


 まず、大前提として。私は基本的には“小説家になろう”を中心に活動しているため、他の媒体における事情などはあまり知りません。なので、他の媒体においても必ず通用するかはわからないです。

 ただ、ある程度は通ずるものがあるとも、そう思っています。

 それでは、私がそう感じた理由について書いていきます。


 私が感じた最も大きな理由は、連載において最も苦しい地点を既に通過した状態から始めることができる、ということ。

 個人的に、連載作品において一番苦しいところがどこかということについては、初動の読者確保だと、そう思っています。

 体感の感覚にはなるのですが、ある程度連載が続いた作品って、大きなきっかけ無しに纏まった新規読者の流入ってほとんどない印象で。それこそ、なんらかの理由があれば別にはなるのですが、基本的には結構苦しいものがあると思っています。

 そうなると、原則的には固定読者の獲得機会として最も大きい要因は初動にこそある、と。そう考えています。

 初投稿時にある程度集客ができれば、そこが固定読者となって、書き進めるためのモチベーションにもなりますし。つまるところが、ある意味で連載において最も大切で、そして最も大変な事柄が初動での集客だと、私は思っています。

 なにせ、なにもわかっていない読者を、タイトルとあらすじで興味を引き、そしてタップさせ。そこから書き出しだけで固定読者へと引き込まないといけないわけでこれがなかなかに難しい。

 しかし、正直ここで失敗、固定読者の確保が芳しくないと、かなり苦しい展開を強いられることになると思っています。


 しかし、この点に於いて書き出し祭りはとてつもなく強い力を発揮します。祭りに参加している読者のうち一定数は必ず全作品を読んでいます。つまりは、タイトルやあらすじでの引き込み勝負なく、書き出しを読んでもらえる機会があります。

 そうでなくとも、全100作からになるため、無数という候補のある小説家になろうの作品群からとは競争倍率が違います。

 つまるところが、まず、読んでもらえる。

 読んでもらえると、興味を持ってもらえる。

 票数が芳しくなかったから興味を持ってもらえなかった、と。そう判断するのは早計です。ひとつの会場あたり25作品もあるんです。そこから、3作品しか投票ができないのです。残りの22作品には票が入らないのだから、興味がないから投票しなかった、とはならないのです。むしろ、興味はあるけど投票できなかった、というケースのほうが多いのではないでしょうか。

 そうした人たちが。あるいは、そういえば参加作品の中でこの作品あったな。せっかくだし続きあるなら読んでみるか、というような要領で、そのまま固定読者になってくれることがあります。

 これが、かなり大きい。


 ジャンルごとのメジャー度などにもよりますが、例えば小説家になろうに於いて、現実世界恋愛の連載中作品の日間ランキングに載るためには約10ptもあれば十分になります。ジャンル別の日間全体であっても20ptもあれば十分でしょう。

 比較的読者の多いハイファンタジーや異世界恋愛などについては少し多くはなりますが。それでも連載中作品の日間ランキングであれば50〜60ptほどあれば載ることができます(日によってブレがあるため、確実にとは言えませんが)。

 また、異世界転移、転生ものであれば別枠でランキングが存在しているため、こちらで載ることもあり得ます。


 突然なぜランキングの話をしたのかということにはなるのですが、これこそ新規読者の最大の流入機会だからになります。

 小説家になろうなどの投稿サイトにおいて、投稿後は更新作品一覧として全体の作品群のうち前の方に載るものの、媒体が巨大すぎるがゆえに結構すぐに後ろに下がります。

 他媒体での宣伝などについても無意味ではないものの、正直新規の人に届いて、そこから新規読者になるかどうかとなるとかなり運が絡みます。

 しかし、ランキングについては一度載れば少なくとも日間ならば一日は確実に載り続けることになります。ジャンル別であっても、そもそもジャンルごとのランキングを確認する人はそのジャンルを読みたい人になります。

 つまり、読まれる機会が圧倒的に大きくなる。

 今回連載していた作品についても、基本的にPV数やブクマ数などが爆発的に増えるのは大抵の場合ではランキングに載ったときであり、その効果の大きさを身を持って痛感しました。


 正直、書き出し祭り自体のコミュニティはそこまで大きいものではありません。しかし、一度ランキングに載ってしまえば、より広い範囲に認知される機会が生まれる。

 しかし、そのランキングに載るための初動のポイント。これをどうするのか、というところで先の話に戻ります。

 そう。書き出し祭りで獲得した固定読者がポイントを入れてくれるかもしれない、ということになります。……もちろん、ここに関しては読者依存にはなります。確実に、ということは無理です。

 ただ、なにもない状態から勝負、ということよりかはずっと有利に試合を運ぶことができると、そう感じています。


 なお、こういった事情から、書き出し祭りが終わってから、すぐさま連載することをオススメします。

 可能な限り記憶に新しい状態でのほうが好ましいです。

 えっ、書き溜めも無いのに連載なんてできるかって? 大丈夫です。今回の完結作品、約60万字、一切の書き溜め無しで走り切りましたから。たぶんなんとかなります。……とか言うと、蛮族って言われそうですね。蛮族じゃないんですけど。


 加えて、書き出し祭りにおいては様々な読者に読んでもらって。ケースによっては感想をたくさん貰えていることもあるでしょう。

 感想依頼を募集している人もいるので、そういったものを利用することも考えられます。

 そうして得られた感想たちは、紛うこと無きフィードバックになります。

 連載を開始するよりも先に、様々な視点からの意見を取り入れることができます。

 もちろん、書くのは自分自身なので合うもの合わないものを取捨選択する必要はありますが。それでも、これほどのフィードバックを得られる機会はなかなかないかなと思います。


 固定読者が確保できている状態からスタート。既にフィードバックもある。

 こんな素晴らしい状況もなかなかなくって、連載を開始するにはとても好条件だな、と。そう思っています。


 ……まあ、私自身。参加作品全てを連載してるわけじゃないので、他人のことを言えた立場ではないんですけどね。

 でも、もし少しでも連載をしてみよう、としてみるのなら、こんないい条件もなかなかないので、少し考えてみてはいかがでしょうか。


 さて。書き出し祭りの参加作品について、こんな悩みを抱えている人もいるのではないでしょうか。

 続きが、思いつかない。ここからどう展開して、そして畳んでいけばいいかがわからない。


 事実として、かなりあり得る話だと思っています。

 これについて、私自身の個人的な体感、及び対策の話をしておこうかなと思います。


 ひとつの原因として考えられるものが、書き出し祭りのために書いた作品であるがゆえに、書き出し祭りに全力を注いでいる。また、設定関連が、そのあたりしか作られていない。というふたつがあるかと思います。

 面倒な話にはなりますが、書き出し祭りに出す作品についてもこのあたりについてもしっかりとしておくほうがいいかと思います。


 前者について。書き出しに面白さを詰め込むというのは間違った考え方ではない一方で、その先のテンポ維持がかなり難しくなります。また、要求される執筆のコストも上がるため、連載するには向かなくなります。

 また、書き出し祭りに於いてのパッと見の見た目はよくなる一方で、これ続きどうしていくんだろう、という漠然とした感覚を読者に与えることになります。

 これが期待になることもある一方で、不安にもなり得る要素なため、そういう意味でも利点ばかりある手法ではないかと思います。


 後者について。こちらは書き出し祭りを書く上だけでもしっかりと決めておくほうがいいかと思います。

 ここから先はただのこだわりの範疇と言われてしまったらそこまでにはなりますが、しっかりと設定や展開を決め込んておけば、書き出し時点での書き込みに深みが出ます。

 正直、字数ばかり増えるし、それが読者に伝わるかというと難しいところではあるんですが。その一方で、そこまで読み切ってくる読者も、います。

 気づいてもらえたときの嬉しさはひとしおですし、その上、それが決まっているだけでもこれから先の連載がやりやすくなります。


 実際、今回連載していた作品では、主人公やヒロインの事情。そして幼馴染がヒロインに突きつけた現実、ヒロインが終盤に主人公に伝えた言葉など、このあたりについては書き出し時点で既に決まっていたものだったりします。

 ここが決まっていれば、あとはここに向けて自分のペースで書いていく、というだけなので。これのありなしはかなり変わるかなと思います。


 ……まあ、長々と書きましたが。なにが言いたかったかというと、最初にも書いたとおり、書き出し祭りの作品を連載するのは、いろいろな意味でいいところがあるよ、と。そして、それを前提にした書き方は、書き出し祭りでの作品の完成度にも影響を与えるよ、という。そういう私個人の考えになります。


 読まれた方の、なにかしらの参考になれば、嬉しいです。

 それではまた、どこかでお会いできましたら。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大変、参考になりました! 耳が痛い部分が多く、良薬口に苦しという感じです。 連載できるように頑張ります。
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