シンデレラが迎えに来た7
「…鷹兄あげる」
「世糸乃様のお兄さんでアリマスか!?」
SPだと思っていたガタイの良すぎる男性は世糸乃の兄だった。
美人すぎるの妹と日本人離れした肉体を持つ兄とは、遺伝子操作でもされていると信じたい…。
鷹兄は空いている手で受け取り、そのまますぐに齧ると「案外いける」と初めて喋ったのだ。
世糸乃と目が合うと彼女は呆れた表情を、私は信じられないものをみた表情をしていた。
初めて心が通じあった気がした私と彼女は声を上げて笑った。
「やっぱりもっと声を聞きたいな…」
「世糸乃様、なにかおっしゃったでヤンスか?」
「いえ、なんでもないです。あ、そうだ。忘れないうちにこちらをお渡しします」
先ほどのトレーよりさらに高級そうな金色のトレーに赤のストラップのついたカードホルダーが2つ乗っていた。
そのカードには『KADOMIYA STUDIOS VIP PASS』と印刷されていた。
「…か、門宮スタジオ!?あ、あの門宮スタジオですか…!?」
「門宮ってあの映画配給会社でヤンスか?」
「そうだよ!そうだよ!すごいよ!!
日本の御三家と言われる映画の会社で、このスタジオでは映画・ドラマ・CMなど色々な映像の撮影ができるのはもちろん、スタジオ内で企画・撮影・編集までワンストップでできるんだよ!!
スタジオ数や屋内スタジオの面積は日本一!!
人生で一回は行きたかったんだけど、夏のスタジオ見学ツアーの抽選落ちちゃってたんだよね…
しかも、VIP…!どうやってこのパスを…?」
「ふふ、さすが映画憑依ガールですね」
世糸乃は少しだけ間を空け、私たちの親に名刺を渡していた時のように堂々と話し始めた。
「私の本名は門宮世糸乃です。門宮株式会社創立者の門宮優壱の曾孫です」