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「見知らぬ果物や動物、それらはここファローネア独特のもの。特に、君が見たあの翼を持つ動物は、空を飛ぶことができる“エリアルビースト”と呼ばれている。」
アイリスの目はキラキラと輝き、彼女の好奇心が高まるのをロレンは感じた。「それはすごい…! でも、ここでの言語にはまだ慣れていなくて、人々が話していることが全然わからないの。」
ロレンは微笑んで言った。「心配しないで。この都市では多くの言語が話されている。だから、誰もが最初は困惑するんだ。しかし、時間が経てば慣れてくる。そして、我々は言葉だけではなく、ジェスチャーや表情でコミュニケーションをとることが多いんだ。」
彼はその言葉通り、アイリスにいくつかの基本的なジェスチャーを教え始めた。買い物をする際の価格の交渉や、道を尋ねる時の身振り手振りなど、彼女は真剣にそれを学んだ。
ロレンは彼の家の図書室にアイリスを案内した。そこには、ファローネアの歴史や文化、言語に関する本が並べられていた。
「君がこの都市や私たちの世界についてもっと知りたいなら、これらの本を読むといい。私も君と同じように、新しいことを学ぶのが好きだから、この部屋を作ったんだ。」
アイリスは彼の言葉に感謝の気持ちを抱きつつ、数冊の本を手に取った。それらの本の中には、彼女の知らない文字やイラストが溢れていたが、彼女の心は新しい知識への渇望でいっぱいだった。
「ロレン、ありがとう。これからもっとこの世界を知りたい。そして、いつか私の世界についても、君に教えたいな。」
ロレンは彼女の言葉に微笑んだ。アイリスはファローネアの星空の下、新たな冒険を期待していた。
アイリスの初めてのファローネアの日の出は、金色の光とともに訪れた。ロレンの家の窓から差し込む日差しは、彼女の地球とは微妙に異なる色合いをしていることに気づく。朝食のテーブルには、彼女の知らない果物や料理が色とりどりに並んでいた。
「これは『ヴェルナベリー』、ファローネア特有の果物だよ。甘酸っぱくて、エネルギーがみなぎるんだ。」ロレンの妹、エリナがニコッと笑ってアイリスに教えてくれた。
アイリスがその果物を口に運ぶと、確かに甘酸っぱい味が口いっぱいに広がった。驚くべきことに、体に疲れが残っていたはずなのに、それがすっかりと消えていくのを感じた。