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朝の光が木々の間からこぼれ落ち、その優しい光景の中でアイリスとロレンは目を覚ました。彼らが夜を過ごした場所は、森の中の一角、静かな小川のそばであった。周囲には、朝露に濡れた草花がきらきらと輝いており、時折、小鳥たちがさえずりを紡ぎながら飛び交っていた。
アイリスは目をこすりながら起き上がり、手を伸ばして空を眺めた。彼女の瞳には驚きと感動が溢れていた。この森の中で目を覚ます経験は、彼女にとっては新鮮なものであった。村での生活とは異なる、こんなにも清らかな空気や自然の音を身近に感じたことがなかったのだ。
「ロレン、見て!」彼女は指さした方向には、華やかな蝶が舞っていた。「こんなにも美しい蝶を私は初めて見たわ。」
ロレンは微笑みながら答えた。「森の中には、私たちが普段知らない驚きや美しさがたくさん隠れているんだ。」
アイリスは瞳を輝かせながら、そっと蝶を手のひらに乗せることに成功する。彼女の目には子どものような無邪気さと興奮が浮かんでいた。この瞬間、彼女はまるで新しい世界の扉を開けたかのように感じたのだ。
「この森は本当に特別だ。私の村の自然も美しいけど、ここは何か異なる魅力がある。」アイリスは心の底からの感謝の気持ちを込めて、ロレンに微笑んだ。
ロレンもまた、アイリスの素直な反応に心を打たれていた。「自然の中での冒険は、予測不可能なことがたくさんあるけれど、それだけに魅力的なんだ。」
アイリスはしばらくの沈黙の後、小川の方へと歩き始めた。その小川の水面には、朝日が映り込んでキラキラと輝いていた。彼女はそっと手を伸ばし、その冷たい水を感じ取った。
「この水、こんなにも冷たくて清らかなんて…」彼女は言葉を失い、ただその感動を満喫していた。
ロレンは近くの木に座り、アイリスの様子を優しく見守っていた。彼にとって、この自然の中での冒険は何度も経験していることだったが、アイリスのような純粋な反応を目の当たりにすると、再びその魅力を再認識するのだった。
この朝の森でのひとときは、二人にとってかけがえのない時間となり、これからの冒険への期待と楽しみを一層高めることとなった。




