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ファローネアの街の喧騒が遠くなり、足下には落ち葉が積もる森の道が広がっていた。アイリスとロレンは、黒ずくめの追跡者たちから逃れるために、この古の森へと身を隠していた。
アイリスの瞳は深い憂いを帯びており、彼女の手には未だ熱を帯びた運命の石のペンダントが握られていた。「あの男たちは私たちをどれだけ追いかけてくるの?」と彼女は小さくつぶやいた。
ロレンは、アイリスの肩をやさしく叩いて、「心配しないで。この森は古くから私たちの人々に守られてきた。彼らが容易に私たちの居場所を見つけることはできない」と励ました。
夜が近づくと、二人は森の中で休憩することを決意した。ロレンは巧みに火を起こし、アイリスは小川から清らかな水を汲んできた。二人の共同作業は驚くほど息の合ったもので、それぞれの動きが完璧に補完されていた。
暖かい火の灯りのもと、アイリスはロレンに向かって語りかけた。「ロレン、私の中のこの新しい力…何なの?」彼女の声には不安と好奇心が混じっていた。
ロレンは深く息を吸って答えた。「それはおそらく運命の石と深く関連している。しかし、君の中の力はただの石の力だけではない。それはアイリス自身の潜在的な力と石の力が融合したものだろう。」
アイリスは火の灯りを眺めながら考え込んだ。「だとしたら、この力を上手くコントロールして、正しく使えるようにならないと。」
ロレンは微笑んで、「そのためには訓練が必要だ。しかし、まずは今、安全な場所を見つけて隠れることが先決だ。」と答えた。
夜が更け、森の中には虫の声や風の音が響き渡る。アイリスはロレンの背中にもたれかかり、しばらくの静寂の後、彼女は小さな声で語った。「この冒険は想像していたものとは違う…でも、ロレンがそばにいてくれて、心強く感じるよ。」
ロレンはアイリスの頭を軽く撫で、「私もだ。アイリスとの絆や共同作業の価値を改めて感じる。」と言った。
二人は暖かい火を囲みながら、今後の行動計画を話し合い、次の日の冒険に備えて眠りについた。安らぎの中、二人の心は一つになり、新たな力と絆を確認したのだった。




