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ファローネアの日が昇ると、アイリスはロレンと共に巨大な石造りの図書館へ向かった。この図書館は、古代からの知識や文献が数多く保存されている場所であり、ファローネアの住民にとっては重要な文化財だった。
建物に足を踏み入れると、中央には巨大な彫像が立っており、その周りには多くの書棚が配置されていた。天井には、星空を模した美しい絵画が施されており、アイリスはその美しさに息を飲んだ。
「これがファローネアの図書館だよ。」と、アイリスの驚きの表情を見てロレンは微笑んだ。
アイリスはすぐに彼に導かれていく。彼らは特定の書棚の前に立ち止まり、ロレンが一冊の古い書を取り出した。その表紙には「運命の石」というタイトルが記されていた。
「この書籍には、運命の石の伝説が詳しく書かれているんだ。」とロレンは説明した。アイリスは興味津々でページをめくった。運命の石は、ファローネアの伝説の中で特別な力を持つとされる宝石で、持ち主に未来を予知する能力を与えると言われている。
アイリスの目には、運命の石を求める多くの冒険者や学者たちの物語が綴られていた。その中には、石を手に入れることができた者や、それを求めて失敗した者の悲しい物語も含まれていた。
「私もこの運命の石には興味がある。この石が本当に存在するのなら、私たちには計り知れない価値があるだろう。」アイリスは、その石に対する情熱を感じながら言った。
アイリスは、この知識を手に入れたことで、運命の石に対する興味と好奇心が一層強まった。彼女はロレンとともに、運命の石を探し求める冒険を始めることを決意した。
図書館を後にしたアイリスとロレンは、新たな目的を持って、ファローネアの大地を歩き始めた。運命の石の伝説は、彼らの冒険の始まりを告げるものとなった。
彼らが図書館の一角を探索している最中、アイリスの目には、特別な場所へと通じる古風な階段が捉えられた。木製の手すりは、長い時間を経て摩耗しており、その下には数多くの古書が整然と並べられていた。ロレンはアイリスの視線に気付き、「そこは特別資料室だ。多くの古文書や手稿が収められている」と説明した。
突如、彼らの後ろから声がした。「運命の石に興味があるのか?」と、中年の学者風の男性が声をかけてきた。彼の名はダリウス、古代文献の専門家だった。長い髪と髭を持つ彼は、見た目よりも精力的であり、彼の目は知識に満ち溢れていた。
「ああ、新しい顔だな。何を求めてここへやってきた?」ダリウスは静かに、しかし興味津々に問いかけた。
アイリスは「運命の石の伝説についてもっと知りたくて…」と答えた。ダリウスはダリウスは微笑みながら、近くの書棚から一冊の古書を取り上げ、アイリスに手渡した。
「これは、数世代前の学者が記した運命の石に関する研究書だ。かつてこの石に関わった者たちの実話や、石の真の力の秘密が書かれているぞ」とダリウスは語った。
アイリスがその書物を開くと、緻密に描かれた図や絵が彼女の視線を奪った。運命の石が隠されている場所の地図や、石の力を引き出す方法、さらには石にまつわる過去の伝承などが記されていた。




