1直し。過去を捨てよう
この作品は今日中に全て投稿し終わる予定です。
「おのれ勇者ぁぁぁぁ!!!!!!!」
「これで、とどめだぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
俺は勇者として異世界へと召喚され、数々の犠牲を出しながらも魔王を打ち倒した。
これが約4年前。小学6年生の時の話。
異世界に召喚されてから数年活動してたはずだけど、戻ってきたのは召喚された日の当日。召喚に気付かれなかった俺は、勇者として手に入れた力をこちらでも持ちながらも普通の生活を送った。勇者として戦いに明け暮れていたため、平穏が1番欲しいものだったのだから。
転機が訪れたのは中学に入って少し経った頃。たまたま散歩をしていると、
「おらぁ!なめてんのかテメェ!」
「キャハッハッ!もっと泣けよぉ!!」
「すみません!すみません!!」
何かを殴る音と、誰かが謝る声。俺が足を向けると、そこでは集団リンチらしきものが行われていた。1人の男子を5人ほどで囲んで蹴っている。
「おい!何やってるんだ!」
俺はそれを止めるため、彼らへと歩いて行った。だが、今考えてみるとこれが間違いの始まりだったんだと思う。彼らに俺も襲われたが、勇者の力があるから無傷で勝利。しかし、助けた者が問題だった。俺のクラスメイトだったのだが、
「なあ!他校の奴らが50人くらいで来るらしいんだよ!マジでやばいから助けてくれ!」
「あ、ああ。いいけど」
俺もバカだった。頼られるのは悪くないと思って、コイツに力を貸しすぎた。そのせいで余計にそいつは増長。他校の不良に喧嘩を売っては俺に助けを求めたのだ。俺も何度も参加している内に断れなくなっていってしまった。
不良を打ちのめしていくと日に日に俺の噂は広まり、地元で有名なワルみたいなポジションにまで上り詰めた。本当に選択を間違えたと思う。喧嘩なんて、するべきではなかった。
クラスメイトにも恐れられ、まともに話が出来る友人なんてその俺を巻き込むヤツしかいない。人間関係含め、本当に色々と終わっていた。
だからこそ、俺はこれ以上自分の立場を悪化させないため、地元から離れることを決意した。そして今日。俺の地元から遠く離れたこの高校に、俺は入学した。
「猪象中学校出身、石川修也です。これから1年よろしくお願いします」
クラスの挨拶で、名字が「い」から始まる俺は1番最初の挨拶に。挨拶をして頭を下げ、雰囲気を変えるために買った伊達眼鏡をくいっとする。今の俺の格好は、所謂ガリ勉君だ。ただ髪だけは俺に似合うように少し長くしているが。
挨拶でも言ったように、俺の名は石川修也。至って普通の名前で至って普通の生活を送るつもりの人間だ。これからはいつも勉強してる感じだけど、付き合いは悪くない感じのキャラとしてやっていくぞぉ!
………なんて思ってた。けど、現在上手くいっていない
もう放課後になったのだが、誰も俺に話しかけてくるものはいなかった。これには俺の見た目と言うより、席の場所に問題があると思う。
俺の席、1番右端で1番前で、しかも横後ろ斜め全て女子が座っているのだ。周りの女子にも軽く挨拶したが、あまり積極的に話しかけられることもなかった。ちくせう。最初の出だしから躓くなんて!
「……はぁ。買い物行くか」
家まで帰ってきても、誰にも話しかけられることはなく。学校からもらってきたものの片付けや家事などをしていて、もう今や外は暗くなってしまっている。残念ながら今は冷蔵庫に水くらいしか入っておらず、夕食の用意は出来ない。買い物に行くしかないのだ。
着替えを済ませた俺は、家を出て事前に調べてきておいたスーパーへと向かう。街の中心地近くにある大きいデパートのような所にあるそうだ。
「うおぉ~。都会だぁ」
地元はここと比べると田舎だったので、デパートやビル群を見ると都会を感じる。そして、俺が目新しいものにキョロキョロしているときだった。
「やめてよ!」
大声が聞こえる。女の人の声だった。なんか問題があったっぽい声だったよな。
俺は声のした方に視線を向け、近づいていく。
「離して!」
「良いじゃねぇか。俺たちと遊ぼうぜ」
「ほらほらぁ。綺麗なんだからそんな怒るなよぉ」
行ってみると男女が言い争っていた。女は1人で男は3人ほど。男の1人が女の手を掴んでいた。女の方もそれを振りほどこうとはしているが、全く意味をなしていない様子。
「いい加減にしてよ!」
「おぉ。怖い怖い」
女の方は怒っているが、一向に男は手を離しそうにない。この光景を眺めてるヤツは俺以外にも結構な数がいるのだが、誰も助けに行こうとはしていなかった。どちらかと言えば、好奇の目で見て楽しんでいるような気がする。
都会の人って冷たいんだな。
………仕方ない。助けに行くか。
俺は人混みに紛れて眼鏡を外し、髪型を変える。地元で怖がられてた髪型だからあまり良い印象はないけど、画工での俺とのイメージを変えるには便利なんだよな。そうして外見を変えてから、音あの手を掴んでる男の肩を叩いた。
「………おい。その辺でやめてやれよ。嫌がってそうだぞ」
「あぁ?なんだよお前!」
「邪魔してんじゃねぇよ!引っ込んでろ!」
おぉ。睨んでしかも怒鳴ってきた。俺にとっては新鮮な反応だ。地元で俺の顔を見た不良は、大概走って逃げてたからな。噂だと、俺の顔を見たら気付かれる前に逃げろとか言われてたらしい。
「はいはい。大声で言わなくたって聞こえてるぞ。……で?こいつらは楽しそうだけどお前の方はまんざらでもなかったりするのか?」
男達の言葉を適当に流しつつ、女の方に声をかける。今手を掴んでるヤツの意識は俺に向いてるから、隙を突いて逃げようと思えば逃げれたと思うんだけどな。
まあ、一般人にそんなことを期待したってムダか。いつなら逃げやすいのかとか分かんないよな。
「嫌に決まってるでしょ!」
女の方は強気な感じで答えてくる。男達に時間を使わされて相当苛立ってるんだろうな。俺にまで当たらないで欲しいけど、言葉にトゲがあるくらいだから我慢するか。
「嫌って言ってるし、離してやれよ。紳士になろうぜ」
「はぁ?うっせぇなお前!……お前ら相手してやれ!」
「分かってる!泣いても知らねぇぞ!」
女の手を掴んでない男達が殴りかかってくる。
……はぁ。都会の人たちって気が短いのか?すぐに暴力に頼るなんて馬鹿らしい。しかも、
「遅いな」