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T'N'A

双子のパンダの白黒なおでかけ

作者: 小池ともか
掲載日:2022/11/18

 ロックな成分はありません。

 バスを降りると目の前にあるのは、この辺で一番おっきなショッピングモール!

 今日は学校はおやすみだから、お兄ちゃんとふたりでお買い物。

「よだれ垂れるぞ?」

 あんまりおっきくて見上げてたら、お兄ちゃんに笑いながらそう言われた。

「お兄ちゃんのいじわるっ」

 白パンダのお兄ちゃんを、黒パンダのあたしがぽふぽふ叩く。痛くないのなんかわかってるよ。



 お兄ちゃんとあたし、双子のパンダ。

 今は白パンダのお兄ちゃんも。

 今は黒パンダのあたしも。

 ホントはどっちのパンダにもなれるんだよ。

 白パンダで黒パンダなお兄ちゃんとあたし。

 他のパンダがどうかなんて知らないけど、あたしたちは白パンダで黒パンダ。

 双子のそっくりな白パンダで黒パンダ。

 でも紛らわしいから学校では、お兄ちゃんは黒パンダで、あたしは白パンダ。

 そう決めてたんだけど。

 あたしはお兄ちゃんほど上手に自分を変えられなくて。

 嬉しい気持ちに引っ張られて白パンダになっちゃったり。

 悲しい気持ちに引っ張られて黒パンダになっちゃったり。

 変わりたくても変われなくなっちゃったりで。

 いっつもお兄ちゃんに助けてもらってた。

 この間やっとクラスのみんなに、ふたりとも白パンダで黒パンダなんだよって言えて。

 学校にも、どっちかって決めるのをやめてもらったんだけど。

 そしたらまたまた大問題!

 そっくりなお兄ちゃんとあたしが、日替わりで白パンダだったり黒パンダだったりするもんだから。

 どっちがどっちかわかんないって言われちゃった!!

 だから今日は目印を買いに来たんだよ。



 お兄ちゃんとふたりでお買い物。

 ホントはふらってお店に入るの、ちょっと苦手なんだけど。

 今日はお兄ちゃんと一緒だから平気だよ。

 お兄ちゃんはお店を見るの好きだから嬉しそう。

 まずは目的の目印。いいとこ知ってるって、お兄ちゃんが連れてってくれた。

 白パンダ用に黄緑のリボン。

 黒パンダ用にピンクのリボン。

 お兄ちゃんが選んでくれて。

 嬉しいけど、耳に巻くのはくすぐったそう。

 いい方法考えないと。



 順調に目的達成だけど、実はあたしにはもうひとつ使命があるのだ!

 使命達成のために、まずはお兄ちゃんを撒かなきゃね。

 トイレに行ってからあっちの雑貨屋さん見てくるって言ったら、お兄ちゃん、この店見てるからって。

 作戦成功!

 あたしはひとりで店を出る。

 トイレには寄らずに、雑貨屋さんにまっしぐら。

 ホントはね、お兄ちゃんにもプレゼント買いたくって。雑貨屋さんとお菓子屋さんならひとりでも平気だもんね。

 何かいいの、見つかるといいなっ!

 きょろきょろしながら半分くらい回ったとき、あたしは運命の出会いをした。

 映画館のおっきいサイズのジュースのカップみたいな、フタとストローのついたプラのカップ。これならお家で映画観てるとき、泣いてる途中に注ぎ足しに行かなくっていいよね。

 手を伸ばしかけて。あぁでもほんとにこれで喜んでもらえるかな? もっといいのがほかにあるかな? そう思って手に取らずにまたお店を見て回るけど。

 あれ、誰かが買っちゃったりしてないよね?

 心配になって戻って。ちゃんとあったって安心して。

 いろんな色のがあったけど、そこは迷わず青一択。ちょっと紫がかった深い青。お兄ちゃんの好きな色。

 白い手にも黒い手にもいい感じ! でもオレンジジュースを入れて横から見たらすごい色になるかもしれない……味は変わんないし、いっか。

 今度は持ったまま回るけど、これ以上にピンとくるのはなかったや。

 これくださいってレジに行って。ちゃんとプレゼント用に包んでもらって。リボンのシールも青にした。

 きれいに包んでもらったプレゼント。

 渡す前からドキドキするよ。

 お兄ちゃん、喜んでくれるかな?



 お兄ちゃんへのプレゼントを大事に鞄にしまいこむ。

 あたしの鞄、おっきめだからね。入っちゃうよ。

 お気に入りの肩かけの鞄。長めな肩紐も好き。

 ちょっとそこまでも、はりきってお出かけも。どっちもこの鞄があればいい。

 入ってるもの、毎回半分くらい使わないけど。備えは大事だよ、きっと。

 無事使命達成! いいのがあってホントによかった!

 ちゃんとトイレにも寄ってきて。お兄ちゃんのとこに戻ろうとしたんだけど。

 ……あれ? お店がないよ?

 お店の名前は覚えてないけど、どんなだったかは覚えてるのに。ここまでにそんなお店なかったよ?

 あたしは急に不安になって、早足で歩き出す。

 真ん中吹き抜けの、縦に潰したドーナツみたいなフロアをぐるぐるほぼ一周。

 お店あった! なのにお兄ちゃん、いないよ?

 たしか上の階にもお兄ちゃんの好きなお店があるから。もしかしたらそっちかな?

 上の階に上がって。こっちのお店は店名もどんなお店かも覚えてないから、お兄ちゃん自身を探してぐるぐるぐる。

 一周回ってみたけど、お兄ちゃんはいない。やっぱり元の階なのかな?

 下に戻ってまたぐるぐるぐるぐる。

 お兄ちゃん、いないよ……。

 どこ行っちゃったの……。



 お兄ちゃんいないし。

 いっぱいぐるぐるして疲れてきちゃったから、案内板の隣のベンチに座った。

 花壇から道路に落ちちゃったミミズみたい。帰るとこがわかんなくて、アスファルトの上をうろうろ迷って。そのうち干からびちゃう。

 あたしはモフモフな毛もあるし干からびたりしないけど。泣いたって干からびたりしないけど。

 悲しくはなるんだよ。

 寂しくはなるんだよ。

 お兄ちゃん、どこ行っちゃったの?

 あたしは暫くしょんぼりそのままうつむいてた。

 うつむいてたんだけど、気付いた。

 ミミズだって干からびるまで土を探してうろうろするんだから。

 うろうろしても干からびないあたしはもっとがんばれるはずだよね。

 そう思って立ち上がった。

 もう一回お兄ちゃんを探そう!

 さっきと逆向きに回ろうかな。どっち向きだったかわかんないけど。

 ミミズ! あたしもがんばるからね!

 心の中で宣言して。歩き出そうとしたとき。

 向こうから走ってくる黒いモフモフ。

 え? 黒?

「お兄ちゃん!!」

 あたしの前まで走ってきた黒パンダのお兄ちゃん、はぁっておっきく息をして。

「はぐれたらじっとしてろって、いつも言ってるだろ…」

 呆れたようにそう言うけど、ほっとした顔してる。

「お兄ちゃん、それ…」

 白パンダで来てたのに、今は黒パンダのお兄ちゃん。

 お兄ちゃんのモフモフの腕も、それを掴むあたしの手も、どっちも白。

 お兄ちゃん、今気付いたみたいにびっくりして。

「……心配かけるから…」

 仕方なさそうな、お兄ちゃんの声。

 お兄ちゃん、すぐにどっちにも変われるのに。

 あたしのこと心配して、黒パンダになっちゃったの?

 ちょっとバツ悪そうなその顔を見たら、あたしも安心したのと嬉しいのとで涙が出てきた。

「お兄ちゃぁん」

 抱きついたあたしの頭を、お兄ちゃんはよしよしって撫でてくれながら。

「見つかってよかった」

 って、そう言ってくれた。

 ありがとうお兄ちゃん。

 あたしには探しに来てくれるお兄ちゃんがいるから、ちゃんと元のところに帰れるよ。

 お兄ちゃんがいてくれて、あたしはホントに幸せだよね。

 だから決めた。今度から、あたしがミミズを花壇に帰してあげるって!

 触るのはヤだから、枝かなんかで。



 疲れたし、もうお昼だからご飯にしようって。一番上のフードコートに来た。

 お兄ちゃんはカレー大盛りにミニサラダとウーロン茶。即決だった。

 お兄ちゃんに先食べててねって言って買いに行く。うろうろ三周くらい、何がいいかな。お腹すいちゃったもんね。

 丼もいいけどおうどんもいいな。カレーって近くで食べられるとこっちも食べたくなるよね。いっそオムカレーとか。あ、ソフトクリームおいしそう。

 結局あたしはラーメンとチャーハンとからあげのセットにすることにしたんだけど、ここでまた難題。

 普通のラーメンに半分のチャーハンか、普通のチャーハンに半分のラーメンか。どっちが正解なんだろう?

 また暫く悩んでから、普通のラーメンに半分のチャーハンとからあげみっつのセットにした。

 あとで冷えるからね。先に温まろうっと。

 よいしょと運んで席に戻ると、お兄ちゃん、もう半分くらい食べちゃってた。

 前に座ったあたしはからあげをひとつチャーハンのお皿に載せて、ふたつ載ったお皿をお兄ちゃんの前に置く。

「あげる」

 いっぱい走らせちゃったからね。お詫びとお礼だよ。

 お兄ちゃん、ちょっと驚いてあたしを見た。

 そりゃああたしだってからあげ大好きだけど。ううん、大好きだからわけっこするんだよ。

「ありがと」

 素直にもらってくれたお兄ちゃん。

「その代わり、あとでソフトも食べるから、ウーロン茶ゆっくり飲んでてね」

 お兄ちゃん、あたしとあたしの前のトレイと見比べて。何が言いたいかなんてわかってるんだから!

 いいの!

 甘いものは別腹なんだからね!!!

 読んでいただいてありがとうございます!


 本作は歌川 詩季先生の『双子の白熊猫のきもち』

の二次創作となります。

 歌川先生、寛容な許可ありがとうございます。


 初投稿が同年月日の歌川先生と私。なろうにおいては双子のようなものですね、というその縁あっての今回の二次創作。楽しんで書かせていただきました!

 尤も、どこが二次創作かと言われると少し返答に困りそうな作品ではありますが。

 黒パンダと白パンダ、双子………ミミズ……。兄妹なので映画の好みは知っていそうです。


 ニコイチの白パンダと黒パンダ。

 お兄ちゃんパンダと妹パンダ。

 楽しんでいただけたなら嬉しいです。


挿絵(By みてみん)

 妹パンダ By歌川様

挿絵(By みてみん)

 T'N'Aロゴ By歌川様

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歌川 詩季様
双子の白熊猫のきもち
双子のパンダシリーズはここから
T'N'A
― 新着の感想 ―
[良い点] とても可愛らしい良作ですね!(*´∇`)
[良い点]  まえがきに「?」となり、歌川さまの作品を  拝読してからもどってきました。  妹ちゃん、可愛い♡  これはお兄ちゃんも放っておけませんね。    感情で白黒反転!  では、無事にぎゅっ…
[良い点]  兄妹愛!  ルビは「シスコン」「ブラコン」です(笑)  生き別れにならなくて、よかったね。  そしたら、敵として哀しい再会が!!  このシチュエーションだと、悪の秘密結社にさらわれ…
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