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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
第2章 高校1年夏
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第2-38話 強敵!久我海

そしていよいよ決勝戦当日


7月27日(日曜日)

午後1時


稲川実業の後攻めで試合が始まった。



1回の表、久我海の攻撃


去年の夏の大会は準優勝、春の選抜にも甲子園に出場してベスト8に残るなど、誰が考えても甲子園の有力候補である。


特に安定した投手力の立役者である3年の柏木、そして攻撃の中心は2年で4番打者の佐田がチームを引っ張る。


数々の全国レベルの投手や打者を相手にしてきた久我海は、そう簡単に勝てる相手では無い。

このチームに勝てる事は全国でも上位の力を必要とする。


ただ勝てれば、全国制覇も夢では無いという事である。

勿論全国制覇を目標にしている稲川も、負ける訳には行かない。


審判のプレイボールの声と試合開始のサイレンが、運命の試合の幕を開けた。


大きく振りかぶり、トルネード投法で第一球を投げた。


ストライク!


ヨシ!


調子は最高だ


初球から140kmを超えるストレートがキャッチャーミットに収まった。


しかし続く二球目のカーブをセンター前に弾かれた。


さすがに今までの相手と違う。

甘い球は禁物だ。


自分の気持ちを引き締める


2番打者が打席に入り、すでに送りバントの構えをして投げるのを待ち構える。


簡単にバントさせてたまるか!


2番打者に向かい思いっきりインコース高めのストレートを投げ込む。


投げると同時に打者へ向かって全力で走る。


バントの構えから、バットにボールが当たるが、打球を殺し切れず、祐輔の前に打球が転がる。


祐輔はすぐに補給して、確認もせずにすぐセカンドへ投げる。


ショートがベースカバーに入り、間一髪ランナーより早くセカンドベースを踏み、そのままファーストに投げる。


アウト!


1塁の塁審の声が響く


ダブルプレー


一気にツーアウトランナー無しに変わった。


そして3番打者のサード鈴木が左打席に入った。


この打者は長打は無いが、とにかくミートが上手く、投手にとっては油断出来ない打者である。特にこの打者と対戦する時に、スコアリングポジションにランナーがいると本当に危険な存在だ。この3、4番の2年生コンビが投手力が際立っていた久我海に攻撃力を加えた完全なチームに変えたと言っても過言ではない。


鈴木に対して第一球を投げる。


投げたボールはミットに収まりストライク


そして二球目


インコースに投げたストレートをいとも簡単にミートする。


しかし打球はライト正面のランナーに終わった。


ふう


こりゃあ一筋縄ではいかないなあ


何とか0点で抑えた。


1回裏


先発は勿論、エースの柏木だ。


プロも注目している左腕だけあって、スピードも変化球の切れも一級品だ。

1番の紺野、3番の足利と稲川実業のキーとなる選手は左打者なので、左腕の柏木を攻略するには、松原の力が必要不可欠である。


今日は大丈夫だろうか?


1回の裏は稲川実業のキーである紺野も足利も抑えられて、3人で攻撃が終わった。


これは先に点を取られたらマズイな


気持ちを入れ替えて2回のマウンドに向かった。



これまでの相手と違い、気が抜けた球を投げれば打たれてしまう。


その打線の中でも中心的な4番の佐田は、特に気をつける打者である。


(ただ思いっ切り投げるのではなく、きちんとコースを投げ分けないと)


自分に言い聞かせる。


そして佐田に向かって第一球を投げた。


アウトコース低めに決まり、ストライクが先行した。


続く二球目、三球目は、コースを狙い過ぎボールの判定


そして第四球目

アウトコース低めに投げたストレートを上手くバットに当てられてライト前ヒットとなる。


そして5番レフト羽鳥が左打席に入る。


本来なら送りバントの場面である。


1回と同じく高めの全力のストレートを投げ込む。



しかし羽鳥はバントの構えをせずに、ボールに向かってバットをフルスイングすると、金属音が鳴り響いた。

打球は目にも止まらぬ速さで松原の頭上を越えて行きフェンスまで到達する。1塁ランナーの佐田は3塁を回りホームに突入する。

ライトはクッションボールをダイレクトで掴み、ホームに向かって投げる。


ホームベースとの直線上にいる松原がライトからの返球を取り、素早くホームベース上にいるキャッチャーに向かって素早く投げた。


ホームに向かって走る佐田がスライディングする。


そして松原の球を捕球したキャッチャーが佐田がスライディングしたスパイクにタッチした。


土煙が舞う


審判は手を握り、上から下に降ろしながら


アウト!


打った羽鳥はセカンドで止まった。


ふう


何とか失点を逃れた事でホッと息を吐く


まだワンアウト2塁なので、ピンチが続いている、気を引きしまないと


松原がマウンドに近づいて来て話し掛けてくる

「コントロールを重視しすぎて、ストレートに力が無いぞ。いつもの様に投げれば、打たれる筈は無いんだから。いつも通り投げろよ。俺だって大野の全力投球はなかなか打てないんだから、俺より実力が無いアイツらが打てる訳が無いだろ」


確かに松原が言っている通り、ちょっと消極的になっていた。

松原からそんな事を言われると自信も漲る


ヨシ!


これからは挑戦者のつもりで、全力で投げる!


いつもの様に、打者に向かって心で


「打てるもんなら打ってみろ!」


と心で叫びながら打者に向かって全力で投げ込んだ。


いつもの様なミット音が響く


ストライク


その後は打者を寄せ付けず、2回表も0点で久我海の攻撃は終わった。


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