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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
第2章 高校1年夏
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第2-37話 同じ高校生

そして7回裏


先頭打者を四球で歩かせる。

続く2番打者が送りバントで送る。

1アウト2塁


続く3番打者は、ボールに喰らい付いてボテボテのセカンドゴロ。

しかし弱い打球のおかげで2塁ランナーは3塁に進塁する。


2アウト3塁

バッターは4番だが、ヒットを1本打っている。


暑い日差しが襲うマウンド上の祐輔


「このバッターを抑えて見せる!」


ここが正念場である事は百も承知だ。


点さえ取られなければ負けは無い!


大きく降りかぶり、第一球を投げた。


ストライク!


そして第二球目のサインはストレート


大きく降りかぶり第二球目を投げた。


辛うじてバットにボールが当たったが祐輔の重い球質に押されて、ボテボテのファーストゴロ


ふう〜


ベンチに向かおうとマウンドを降り始めると、スタンドで大きな歓声が響く。


えっ!


ファーストを見ると、松原がボールを後逸してボールを追いかけている姿が目に入った。


ウソだろ・・・


三塁ランナーがガッツポーズをしながらホームを踏んだ。


0-1


7回裏、とうとう均衡が崩れた。


8回の表


6番から始まる打順だったが、先頭の6番打者はショートゴロに終わり、1アウト


続く7番打者がセンター前にヒットを放つ。


8番打者がワンアウトだが、送りバントを決めて、2アウト2塁となった。


9番打者は祐輔である。


祐輔は中学では4番を打っていたが、高校では投球に専念するため9番に打順が組まれていた。


竹丈高校としたら、1番の紺野には回したく無いので、何とか9番の祐輔で終わらしたい。


スタンドから彩香の声が聞こえた


「祐輔!打って!」


彩香の声は、そんなに大きな声では無かったが、ハッキリと聞こえ、テンションが上がる。


バットを見つめてバットに念を送る。


ヨシ!


ここまで球筋はじっくりと見てきた。狙いはカーブだ。


第一球

インコースのストレート


クリーンアップでは、まず投げない配球だ。


そのストレートをいかにも狙っていたかの様にバットを振り、空振りした。


果たしてカーブは来るのだろうか?


もう一度神経を集中させて第二球目を待ち構える。


セットポジションから第二球目を投げた。


ボールは体に向かって来る。


この回転はカーブ!


体は逃げず、じっくりとためて、ボールがホームベースの方に曲り始まるとバットをボール目掛けて振り抜く。


カキーン!


バットの真芯に当たった打球はレフトスタンド上段に突き刺さった。


大きな歓声が球場を包み込んだ。


バックネット裏で観戦していた幼馴染4人も、打球がレフト方向に飛んだ瞬間


「行けー!」


「入れ!」


とボールに向かって叫び、レフトスタンドに入った時には歓喜の喜びに変わっていた。


祐輔がゆっくりダイヤモンドを一周する。


ホームを踏む瞬間、彩香に向かってガッツポーズをして、喜びを表現した。


8回表、2点を入れて試合をひっくり返したのであった。


2-1で稲川実業が1点をリードしたまま8回の裏。竹丈高校の攻撃が始まる。


そして守備に着こうと選手が守備位置に向かおうとすると、稲川実業の監督が松原を呼ぶ


「松原、交代だ」


何の反論も出来ず、ベンチに戻る。


松原はベンチに座ると、大きな溜息を吐いた。


はあ〜

どうしちまったんだ俺は


祐輔は、8、9回と危なげなく打ち取り。2-1の辛勝で決勝進出の切符を掴んだ。


あと1勝!


準決勝が終わり宿舎に戻る。


部屋に戻るが松原の様子がいつもと違い、もぬけの殻となっている。

「松原、大丈夫か?」


「あ~」


「そうか、それならいい」


しばらく沈黙が流れ

「まさか、こんな状態になるとは思わなかった。小鳥の声を聴いてから、居ても立っても居られない。大事な試合なのに集中出来ない。もし声が聞こえたら今度こそ小鳥を探し出したい。きちんと、この目で小鳥をみたい。そればっかり考えている。」


「気持ちは分かるが・・・」


「悪いな。チームの皆には本当に迷惑な話だよな。でも前の試合で声が聞こえた時に、あの時にバットを止めて、すぐにスタンドを見てれば、もしかしたらと考えてしまう。」


祐輔は携帯を見ながら

「さっき耕太からメールが来たけど、小鳥ちゃんはスタンドに居なかったみたいだよ」


肩を落としながら「そうか・・・」と頷いた。


「でも次は、甲子園を掛けた大一番の試合で、相手は強敵の久我海だ。中途半端な気持ちで勝てる相手では無い。大野が抑えても打線が点を取らなければ勝てない。4番がこんな状態で臨んで勝てる訳が無い。」


苦渋の表情を浮かべながら松原が立ち上がり

「ちょっとバット振ってくる。」と部屋を出て行った。


あんなに神経が図太いと思っていた松原が、ここまで精神のバランスが崩れるとは・・・


でも、そこまで一人の女性を愛する姿を見ると、どんなに凄い選手であろうと、同じ高校生なのだと少しホッとする。


でも・・・


例え松原が調子悪かろうが、俺は絶対に甲子園に行く。


日本一になって見せる。


壁に貼ってある彩香の写真に向かって


「二人の未来の為に、絶対勝つからな」


と話し掛けた。


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