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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
第2章 高校1年夏
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第2-35話 スペシャルマン

試合終了後

祐輔達は次の試合の勝者が準決勝の相手となるので、そのまま球場に残って試合を観戦するらしく、祐輔から彩香に連絡が入る。

5人はこのまま席を立たず、祐輔と一緒に試合を観戦する事になった。


祐輔の試合を観ていたバックネット裏の席で談笑しながら待っていると祐輔がユニフォーム姿でやってきた。


彩香「何でユニフォーム?」

と突っ込む。

「この試合が終わったら学校のバスで帰る事になるから、皆んな着替えを持って来てないんだよ。」

すると話を割って耕太が祐輔に話し掛ける

「祐輔、ナイスピッチング!あと2試合、絶対に勝てよ」

「当たり前だ!任せておけ」

と答えて祐輔は彩香の横に座った。


すると背中の方から声がする

「心城学園は惜しかったな。それで手術はどうだったんだ?」

勝利は後ろを振り向くと松原の姿が後ろの座席に見えた。


「うん、ただ1、2ヶ月後の検査で治癒出来るか分かると思う。」

「そうか、結果が良ければいいな」

「うん、ありがとう。そういえばホームラン凄かったね。ライトにあの飛球の高さで運ぶなんて考えられないよ」

「まあ、あれは金属バットのおかげかな。」

と話しながら松原は辺りを見渡す


「どうしたの?誰か探してるの?」

「あ〜ちょっとな。」


少し間が空いて

「俺達の試合もここで観てたのか?」

「うん」

「バックネット裏で俺の事を大声で呼んでいた女の子がいなかった?」


その言葉に勝利の横に居る奈緒が反応する。

「清ちゃんって、叫んでいた子が、私達の前に座っていたわよ」


それを聞き、松原が立ち上がり

「えっその子はどこに?」


あまりにも松原の反応が激しく、大きな声で聞き返してきたので奈緒も驚きの表情をする。


その様子を見ていた耕太が、代わりに返事をする。

「その子は試合の途中で帰って行ったよ。確か、松原がホームラン打った時だったと思うけど」


松原が独り言のように呟いた

「やはり、小鳥がいたんだ」


でも良かった。

生きててくれて・・・


すると松原の表情が変化していく。

目に涙が溜まっているのがわかる。


「ごめん!」

と言って、スタンド出入口に向かって走って行った。


松原が席を離れると、祐輔が皆んなに松原と小鳥の間にあった事を伝えた。


奈緒「会わないって事は、何か理由があるんだろうね。でも、まだ想いがあるような雰囲気だったわよ」

勝利「えっ奈緒、そんな恋愛の事なんか分かるのかよ?」

奈緒「分かるわよ!私は勝利みたいに鈍感じゃないよ」


奈緒にしては珍しくちょっと怒り口調だったので、少し驚いた様子で耕太に助け求めた

「耕太、何だか奈緒が怒ってるみたいなんだけど?」

と耕太の方に顔を向けると、

耕太は勝利の頭に軽くチョップをして

「それは、勝利が悪い!」


勝利は頭を抱えながら

「痛い!何で?」


詩音が立ち上がり勝利に「アンタねえ・・・」と言い掛けた時に慌てて彩香が詩音の口を塞いだ。


詩音「う・・」と、話を続けそうだったので、彩香が耕太に

「耕太、詩音と売店でジュース買ってきて」


耕太は彩香が話を断ち切るための行動だと、すぐに理解して、耕太が立ち上がり

「詩音ちゃん、一緒にジュース買いに行こう」

耕太が詩音を誘うと、詩音の顔は真っ赤になり

「うん」


先に列を離れた耕太を詩音が慌てて追い掛けて行った。


二人は売店に着くと詩音が耕太に質問する。

「ねえ、何でアイツの肩を持つの?」


「う〜ん。勝利の肩を持つのではなくて、奈緒の肩を持ってるんだよ」

「奈緒ちゃん?」

「奈緒は小さい頃から勝利の事が好きなんだ。自分の想いも伝えず、ずっと片想いなんだよ。」

「何で言わないの?」

「俺も早く言って貰いたいんだけど、小さい頃から勝利と共に描いていた夢を一緒に叶えるまでは言わないんだって」

「でもアイツだって奈緒の気持ち、分かってるんじゃあないの?」

「勝利にとって奈緒は、恋愛の対象では無いみたい。横に居るのが当たり前だと思っているんじゃあないかな?」

「でも莉乃の事好きなんでしょ?」

「多分ね。

でも奈緒の事を恋愛対象で見るようになったら、勝利はどっちを選ぶんだろうね。

それを考えると俺も怖いよ」


「怖い?」


「うん、僕は奈緒のことが好きだから。もう振られているんだけど、俺もしつこいよね」


耕太は微笑む。


詩音は、耕太の一途な想いに心を撃たれた。


「耕太君・・・」


「なに?」


「もし奈緒ちゃんを忘れる事が出来たら、私の事も少し見てくれるかな?


私は耕太君が好き」



耕太「えっ?」

詩音「何でも無いわ!冗談よ冗談。」


・・・

詩音「そう言ったら、どんな表情になるか試したのよ」


「あっそういう事か。焦っちゃったよ」


詩音「でも、そう言われてどうだった?」


「そりゃあ普通に嬉しいよ。モテて困る男子なんて、そう居ないよ」


すると売店に大きな体をした松原がやって来た。

「何を楽しそうな雰囲気を醸し出してるんだよ。遠くから見ると恋人同士みたいだったぞ」


耕太が反論する前に詩音が話し掛ける。

「イヤだな〜恋人同士なんて」

と言いながら松原の肩を叩く。

「あっ松原君、試合終わったばっかりで、喉乾いたでしょ?ジュース買ってあげるから好きな飲み物選んでいいわよ」


「あっありがとう。マジで喉乾いていたんだよ」


とジュースを選んだ。


皆んなのジュースも買って、3人でスタンドに歩いて行く。


耕太「小鳥ちゃんの事、祐輔から聞いたよ。俺達は顔を見たから、何処かで会ったら連絡するよ。」

「おう、ありがとう」

「そういえば、小鳥ちゃんはヒーローもののタオルを持って応援してたぞ」



「えっどんな?

もしかしてスペシャルマンか?」


「そうそうスペシャルマンだよ。よく名前まで覚えてんなあ?」


「やっぱりそうだったのか・・・」


重苦しい空気が流れる。


詩音「どうしたの?」


「多分、小鳥が交通事故に遭った日、俺は試合だったんだけど、そのタオルを俺の所に持って行こうとして事故にあったんだと思う。


交通事故の前日、小鳥と遊んでいた時に、そのタオルを落としちゃったんだよ。」


祐輔「そこまでしてタオルが必要なのか?」


「あのタオルは、俺がホームランを打てる幸運のタオルなんだ。

二人で一生懸命探したけど、何処にも見当たらなくて、諦めてたんだよ。


そのタオルを持っていたという事は、探し出して、試合会場に急いで持って行こうと焦って事故にあったのかも知れない。」


耕太「それでいつから会って無いんだ?」


「試合中、俺の母親が知らせに来て、一緒に運ばれた病院に行ったけど、面会謝絶で会えなくて、結局その事故から小鳥とは会って無いんだよ」


詩音「小さい頃の思い出って事は分かるけど、それって恋愛なの?」


「信じられないと思うが、あの頃からずーっと小鳥の事が好きだ。

小鳥と一緒にいた時間は、本当に楽しかったし幸せだったんだ。

顔とか関係無い。小鳥がいいんだよ俺は」


詩音「それだけ思われている小鳥さんは幸せだね。何で会いに行かないんだろう?」


「俺にも分からないんだ」


耕太「でも、そんなにブスでは無かったよ。ねえ、詩音ちゃん?」

「うん、可愛かったよ」

と笑顔で答えた。


松原「だから顔とか関係ねえよ」

耕太「でもカワイイ方がいいだろ?」


「まあ・・な」

松原が微笑む。


そして松原と耕太、詩音はスタンドに戻って準々決勝を観戦した。


試合は予想通り、第二シードの竹丈高校が勝利して試合が終了した。


竹丈高校は走攻守が揃った野手に、変幻自在な投手の変化球で的を絞らせない、

例え打っても鉄壁な守備陣の餌食になる。


竹丈高校は都内でも有名な進学校だが、後少しで甲子園を逃している

突出した選手が入れば、間違いなく優勝候補の筆頭になる怖い高校である。


勝利「なんか、頭が良くてスポーツも強いって嫌なチームだな」

耕太「頭が良い悪いは関係無い。俺達は野球の強さを競っているんだから」

「まあ、そうだけど・・・」


祐輔「大体4、5点差で勝利を重ねてきたチームで、派手さは無いが、とてもやりづらい相手だ。あれだけの守備を見せる高校なのだから、練習量も半端では無いと思うぞ」


祐輔と松原が立ち上がる

「大野、行くか?」

「おう」

と二人が歩き出すと、彩香が心配そうに祐輔に問いかける

「祐輔は大丈夫だよね?」


「当たり前だ」


祐輔と松原は走ってスタンドを去って行った。


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