第2-33話 小鳥・・・
松原の様子に違和感を感じたので話し掛ける。
「何かあったのか?」
「小鳥がバックネット裏にいたんだよ。」
「見たのか?」
「いや、声が聞こえたんだ」
「声?」
「一球目のバットスィングをした時に聞こえた。」
「それで珍しく中途半端なスィングだったんだ」
「あ〜」
話はしているが心はここにあらずと言った返事であった。
あれほど想いを寄せているのだから、間違う事は無いだろう。
ただ、何で名乗り出ないんだろう?
そんな事を考えていると、稲川実業の攻撃が終わっていた。
この後は九応高校の攻撃は0点を重ねて行く。
稲川実業もランナーは出塁するものの得点は入らず、3ー0のまま7回の裏の攻撃をむかえる。
九応高校は、まだ誰も塁に出ていないので、7回表は1番打者から始まる打順である。
1打席目はセーフティーバントの失敗。
2打席目は三振
普通に投げれば、長打は無いバッターだ。
そして第一球目、ストレートを投げ込む。
すると1打席目と同じ様にセーフティーバントを試みる。
今回は小フライにならずサード前に転がり、サードも猛ダッシュでボールを補給してファーストに投げた。
打った打者はファーストベースにヘッドスライディングをする。
セーフ!
ほんの少しだけランナーの方がベースに着いた。
ノーアウト1塁
3点差があるので、ここは送らないだろうと、思ったが2番打者は既にバントの構えをしている。
?
第一球目を投げると、バッターは丁寧に送りバントを決めた。
1アウト2塁
バッターは3番だが、今日はまだヒットを打っていない。
この状況で送りバントをしてくるのだから、3、4番に絶対的な信頼があるのだろう。
松原が近づいてくる。
「ファーストが空いてるけど、歩かす事なんかしなくていい、ここで3、4番を仕止めたら、この試合はウチの勝利だ。
絶対に打たすなよ。」
ゲキを飛ばしてきた。
「当たり前だ。二人とも三振で抑える」
キャッチャーのサインが出る。
初球からフォークか
アウトコースにフォークボールが決まった。
ストライク
そして二球目。インコースのフォーク
このボールにバッターは反応してバットを振るが、当たりそこねのファールとなる。
そして三球目はインコースのストレート!
それもボール球の要求ではなく、三球勝負を求めて来た。
俺は思いっきりインコースの低めにストレートを投げ込んだ。
打者はボールを目掛けてスィングする。
しかしバットは空を切り、ミットに収まった。
ストライクバッターアウト
そして4番を迎える。
この打者は甘い所に投げてしまうと打たれてしまう。
ここは慎重に投げないと
えっインコースのストレート?
いくらなんでも強気すぎるだろ
もうどうにでもなれ!
思いっきり投げ込むとバッターは見送る。
ストライク
そして続く二球目。またもインコースへストレートのサインが出る。
ここは腹をくくってミットに思いっきり投げ込んだ。
カキーン
打球はファースト横へのファール
灼熱の太陽の光を浴びて、ボタボタと汗が地面に落ちていく。
そして三球目。またもやインコースストレート
よーし!
俺は今ある力を振り絞り、ミットへ向かって全力投球でストレートを投げ込んだ。
唸りをあげてボールがミットに向かっていく。
打者も全力でフルスイングする。
またもやバットは空を切り、ミットの音が球場に響いた。
バシッ!
ストライクバッターアウト
すると電光掲示板は153kmを記録していた。
よっしゃー!
ガッツポーズをしてマウンドを降りて行った。
3、4番の連続三振で、九応高校の緊張の糸がプツリを切れた。
8回表、足利のホームランが飛び出したり、松原の二塁打などで一気に5点を奪った。
8回の裏
九応高校は3人で攻撃が終わり、8回コールドゲームで試合が終了した。
ヨシ!
次は準決勝だ!




