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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
第2章 高校1年夏
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第2-21話 雨の戦い

7月6日より始まる東京都東地区大会。

殆どの試合が2回戦から始まるのだが、僕達は8試合しか無い1回戦を行わなければならない。

シード校以外はくじ運なので、別に僕達のチームが弱い訳でも、相手チームが弱い訳では無い。

僕達の一回戦は大滝高校なのだが、例年1回戦が2回戦で姿を消すチームだ。

しかし、去年が弱かったからと言って今年も弱いとは限らない。


しかし大会まで後3日と迫った今日、監督が考えたオーダーは、僕達が思っていた考えとは大きく違っていた。

1、2回戦を加藤の先発で行き、リリーフで安川さんが投げる作戦だ。


僕は3回戦に集中する様に指示された。


監督「とにかく加藤は、投手経験が必要だから1、2回戦は全部投げ切るつもりで頑張れ。4、5回戦は安川と加藤で投げ抜かないとならないから、しっかり1、2回戦で調整する様に」


3回戦の東京三校に勝つ事を前提にオーダーを考えている。


僕みたいに特殊な投げ方をする投手は、事前に見せない方が有効と言えば有効だと思うが、東京三校と言ったら全国区のチームである。

僕の投げ方を隠した所で、そんなに影響があるとは思わないのだが・・・



そしていよいよ夏の大会が開幕する。


7月6日 大滝高校


先発は加藤

左投げで、ストレートも安川さんと同等のスピードがあり、何より大きく曲がるカーブが武器である。

心城学園は後攻めなので、1回の表は大滝高校の攻撃だ。

マウンドの加藤は、僕達が見てもかなり緊張しており、地に足が着いていない様子だった。

先頭打者を四球で歩かせ、次の2番打者のバントに焦ってしまいボールを落としてしまう。

ノーアウト1、2塁で3番打者だったが、大滝高校は3番打者にもバントの指示が出ていて、確実に送りバントを決められる。

1アウト2、3塁で、打者は4番である。


マウンドの加藤は、いつもの明るいキャラクターは影を潜めて、異常な程の汗を流していた。


サードの近藤がマウンドに近づく。

「別に2点取られたっていいぞ。2点なんてすぐに取ってやるから」

その言葉にいくらか表情が落ち着いた様な感じがした。


そして4番打者にボテボテのショートゴロ。

3塁ランナーはホームに突っ込んでいたが、ショートの川田さんはファーストに投げてアウトにした。

しかし1点を失う。

次の5番打者を打ち取り、結局、1回表の大滝高校の攻撃は1点で終わった。


そして1回の裏、1番打者の本田さんがヒットで出ると、2番打者が送りバントをして1アウト2塁。

3番はキャプテンの川田だ。

川田はセンター前に運び、早くも1点を返して同点となった。

ランナーは1塁。

続く打者は4番の近藤だ。


近藤もライトオーバーの2塁打を放ち、1塁ランナーはホームを踏んだ。


2-1で逆転して、更に5番の耕太が左中間を抜ける2塁打を放ち、3点目を奪った。


その後も2点を追加して、1回の裏は一挙に5点を取った。


逆転してくれて、プレッシャーが取れたのか2回以降は落ち着いてキャッチャーのミットに投げ込んだ。


結局、5回11-1でコールド勝ち。


心城学園は順調な滑り出しを決めた。


2回戦は7月9日。荒川学園との試合を迎える。

毎年上位に食い込む高校だ。


1回戦では加藤も初回の1点は取られたが終わってみれば2本しかヒットを打たれていない。かなり自信が出たようで、いつもの明るい加藤に戻っていた。


安川さんは早く投げたいみたいで、加藤だけで終わった事に練習中も、独り言の様にブツブツと文句を言っている。


僕も病院へ定期検査に行き、入院するための準備を済ましている。

今のところは全てが順調だ。



7月9日


荒川学園戦に臨む。



(耕太)

心城学園の試合は15:00からの試合だったが、天気があまり良く無くて、天気予報では午後からにわか雨の予報であった。


そして試合開始時間が刻々と近づいて来ていたが。雨は今のところ降っていない。


なんとか試合開始まで雨が降らずに時間を迎えた。


この試合も後攻めなので、守備に着く。


プレイボール!


主審の右手が上がり試合開始のサイレンが鳴り響いた。


そして第1球


カキーン!


ボールはサイレンが鳴り止む前に打撃音が鳴り、レフトスタンドに入っていった。


相手の応援団の歓声が球場に響いた。


打たれた加藤も呆然としている。


そして続く2番打者も、3球目のストレートをセンター前に弾かれた。


う〜ん、完全にストレート狙いだ。


本来ならストレートを見せ球にして、カーブ、スライダーで勝負するのだが、加藤にはそこまでの正確なコントロールが無い。


取り敢えず、変化球主体のリードに切り替える。

3番打者にはスライダー、カーブと投げて最後はスライダーで勝負する。

3番打者の打球はショートに鋭い打球が飛びダブルプレーとなった。


4番打者が打席に入り話し掛けてくる。

「もうストレート狙いを見破ったんだ。見破るのが早いね。でも俺には変化球は効かないよ」

と話しかけてくる。


そんな探るような言葉に耳は貸さず、変化球勝負で挑む。


そして1球目、大きなカーブを待ってましたと言わんばかりのフルスイングでボールをミートする。


打球はレフトの頭を越えて、フェンスを直撃した。


ふう〜入らなくてよかった。


しかし2塁打をいとも簡単に打たれてしまった。


そして5番打者を向かえるが、本当なら高めのボール球か、外角の少し外れるストレートで、打者の反応を見たいところだが、ミットに投げれるだろうか?


右打者の5番に対して、内角の高めのボール球を要求する。

加藤がミットを目掛けて投げ込む


あっ!


投げたボールは構えたミットではなく真ん中にボールがくる。


金属音が鳴り響き打球は左中間を深々と破った。

打った打者は2塁で止まる。

連続2塁打だ。

2塁ランナーはホームを踏んで、初回に2点を先制された。


なんとか次の打者を打ち取り、裏の攻撃が始まる。


しかし心城学園は3人で攻撃が終わる。


1回戦も大量得点を奪い、荒川学園の投手も1回戦の大滝高校の投手と、さほど変わらない感じなので、心城学園の選手達は大振りになったのだと感じる。


嫌な空気だ


続く2回表の荒川学園は1点を追加した。


4番近藤の打席


第1球目 緩いカーブから入る。

僅かに外れて2球目


外角のストレートを綺麗な流し打ちで、レフトの頭を越える2塁打を放つ。


よし!


ベンチから奈緒の声援が届く

「耕太!ホームラン打って」


奈緒の期待に応えたいけど、そんなに簡単にホームランなんて打てる訳が無い。


近藤の打席の初球が緩いカーブだったので、初球は緩いカーブでも狙って、思いっきり振ってやろうと緩いカーブを待って構えた。


すると緩いカーブが、肩口から真ん中に入ってきた。


キタッ!


思いっきりバットを振る


カキーン!


ボールはレフトの頭を大きく越えてスタンドの中腹まで飛んでいった。


やったー


奈緒の声が聞こえる

「耕太、凄い。耕太、最高だよ」


これだ!

この声が聞きたかった。


俺は奈緒に向かってガッツポーズを送った。


これで3ー2だ。


しかし3回も荒川学園に2点を取られてしまう。まだ3回なのに、加藤は肩で息を吸っている。

「加藤、大丈夫か?」


「あー、でもよく打つな。さすがに凹むよ」


この回は1番から始まる打順だ。


攻撃前に円陣を組んで、監督が選手に指示をする。

「こんなに大振りばかりしてたら、この試合負けるぞ。ヒットで繋いでいけ!」


監督の指示の通り、本田さんはセンター前ヒットを放つ。

2番はセンターフライに倒れて、3番のキャプテン川田の打順となる。


あれ?


雨?


そんなに雨は激しく無いので、試合はそのまま続けられる。


川田は2球目をセンター前にヒットを放ったが、グラウンドの状態を見て2塁ランナーの本田はホームに帰らず3塁で止まった。


一死1、3塁

バッターは近藤だ。

左打席に入った時に雨が激しくなってきた。


第1球を投げる


近藤は1球目からフルスイングをしたが、近藤には珍しく浅いライトフライに倒れる。


おいおい


激しい雨から雨足は少し収まったが、グラウンドは最終試合で元々荒れていたせいか、かなりぬかるんでいる。


俺は右打席に向かうと

奈緒「耕太!またホームラン打って!」


奈緒の応援に力が入る。


カウント1ストライク2ボールからの4球目


アウトコースに力の無い球ストレートを、ライト方向にフルスイングすると、打球は右中間を抜けた。


3塁ランナーはホームイン、そして1塁ランナーもホームに向かうがぬかるんだグラウンドで思うように走れない川田はホームでタッチアウトとなった。


結局1点しか取れないで3回を修了した。


3回を終了した段階で5-3で、まだ2点差がついている。


ここで監督が動き、投手を加藤に代えて安川を送り込んだ。


5回を終了してしまうと、試合が成立してしまうので、これ以上点を許すとかなり不利になってしまう。


4回表は2本のヒットを打たれたが、この試合初めて0点の回となった。


4回裏の心城学園の攻撃で本田のタイムリーヒットで1点を追加した。(5-4)


雨がまだ降り始めた。


しかし中止にならず5回の表が始まる。


ここは何としても点をあげるわけには行かない。


5回表、2アウト1、2塁で4番打者が打席に入る。


この打者は打席を向かえる度に何かしら話し掛けてくる。そしてこの打席も

「こんなに心城学園って打力があったんだ?」

今までは軽く受け流したが、今回は素直に答えた。

「早い球を投げる投手がいるから、皆んな目が慣れているんですよ」

「この投手か?」

「いいえ、まだ出ていないですよ」

と言って座った。


そして1ボールからの2球目のストレートを右中間に弾き返す。


2塁ランナーはホームインしたが、1塁ランナーは3塁で止まった。


僕はタイムをかけてマウンドに向かう。

「安川さん、大丈夫ですか?」

まだ1点しか取られていないのに、2回で5本のヒットを打たれているので、完全に自信を無くしている。


これはヤバいな


すると監督が出てきて審判に交代を告げる。


ピッチャー安川に代えて小野


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