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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
第2章 高校1年夏
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第2-19 背番号

(稲川実業)


昨日の抽選会により、新聞では特集が組まれていた。

新聞の予想では断トツで久我海学園が有利と書かれている。

松原の入学により、注目する高校に稲川実業の名が書かれていたが、今年の甲子園出場は難しいと書かれている。


第3シードである稲川実業は、新聞で取り上げられている有力校との対戦は、準々決勝でサイドスローの2年生エースの角田を要する梅林高校と、準決勝で当たるだろう第2シードの竹丈高校。

竹丈高校は都内でも有名な進学校だ。特に目立った選手はいないが、打線は粒が揃っていて、東京随一の鉄壁な守備が売りの高校だ。

そして、GWで大敗した久我海学園とは決勝で当たる事になる。


とは言っても、新聞が騒いでいる有力校は、前年に活躍したチームや春の大会で目立ったチームが中心の記事であり、今年入学した生徒の情報は、松原を除いて殆ど記事に載っていない。


心城学園みたいに1年生の加入により大きく変わった高校は載っていない。


ここ東京では1年毎に新しいスター選手が生まれてくる。

そして夏の大会を勝ち抜くには、実力だけでは無く、運が勝敗を大きく左右するケースが多い。


その運と実力を兼ね揃えた高校だけが、甲子園の切符を掴むのだ。


抽選翌日の練習で、とうとう背番号が渡される事になっている。


都予選は20人、甲子園では18人がベンチ入りとなる。

レギュラー9人の他に投手3名、内野手5名、外野手3名が選ばれる。


稲川実業では、スポーツが盛んであり、運動部が合宿を行う為の施設がある。

7月に入ると都大会が終わるまで、合宿に入り絆を深めていくのも、この稲川実業の伝統である。

しかし、この合宿所で生活出来るのは、ベンチ入りメンバーだけである。


投手の控え3人も熾烈な争いを繰り広げていた。

このベンチ入り候補で有力なのは、黒川さんと高橋さんと伊藤さんだろう。

ただ練習試合でも好成績を残した田村も候補になるだろうと思われる。ただ、耕太にフォームのチェックを受けてからの伊藤さんは、明らかに田村より実力は上なのだが、実際は監督の判断に委ねるしかない。


そして練習が終わり、注目のベンチ入りメンバーの発表が行われる。


暗くなってきた夜空に球場の照明が点灯する。その証明が強く当たる場所に監督を中心に円陣を組み、その場に座る。

そして前に立つ監督の言葉を息を飲んで待つ。


「ではこれから背番号を発表する。まずは1番は大野」

監督に名前を呼ばれ立ち上がる。


そして監督の横にいるマネージャーからユニフォームを貰い、その場に座る。


そして9番まで呼び終わると10番以降の選手が発表される。

黒川さんは11番、高橋さんは12番を授かった。

そして18番目に最後の投手の名前が呼ばれた。


「18番は田村」



僕は、つい伊藤さんを見てしまった。


横の人と笑顔で話していたが、右手は土を握り締めていた。

一切顔には出していないが、悔しさが伝わって来た。


そして20番まで言い終わり


「このメンバーで予選を戦っていく事になるので、今回呼ばれなかった選手も、怪我等でベンチに入る事もあるので、しっかりと準備をしておくように」


部員全員が返事をして、監督の言葉は終わった。


伊藤さんは真っ先に部室で着替えて、走って寮に向かって走って行った。


その姿を見た田村が横で


「こればっかりは実力の世界だからしょうがない。伊藤さんも俺より実力が無いのは分かってるだろうに」


文句を言いたかったが、歯を食いしばり耐えた。


そこへ松原がやってくる。


「田村はそんなに凄いのか?俺の打撃投手をいつも避けていた様に思ったが?」


田村「別に避けてた訳では無い。お前の自信を失わせない様にしていただけだ!」


反抗的な目をして、松原に言い返す。


「そうだったんだ。伊藤さんは、どんな時も積極的に俺に投げてくれた。この頃は俺も手こずっている。それにな、俺はそんな事で自信を失くす様な小さい選手では無い!まあ今度、俺に投げてくれよ田村」


「分かった。後で自信が無くなっても知らないからな!お前は周りからチヤホヤされて勘違いしてないか?」


「何がだ?」


「1年でこれから注目される選手は、お前だけでは無いって事だよ」


「それは、お前が俺より凄いって事か?」


田村は答えず怒りながら帰って行った。


「松原、ありがとう。ちょっと胸につっかえていた物が取れたよ」


「それにしても最低な奴だな」


伊藤さんが心配である


まさか辞めたりしないよな?


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