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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
第2章 高校1年夏
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第2-18 移植目診察

6月17日


家に電話が鳴り母が電話に出る


「えっ本当ですか?」


母が涙を流しながら

「ありがとうございます。ありがとうございます。」

何度も受話器越しに頭を下げてお礼を言っている。


もしかしてドナーが見つかったの?


母の電話に期待が高まる。


そして電話を切ると、私の所に母がかけ寄り抱きついて来た。

「ドナーが見つかったわよ」


!えっ本当?」


「本当よ、もうその人が病院にいつでも大丈夫だと連絡があったみたいよ」


嬉しい、本当に嬉しい


私は勝利に電話を掛けた。


まだ授業中だと分かっていたが、メールやLINE等の文字では無く声で伝えたかった。


着信音が流れる


やっぱり授業中かな?


すると勝利が電話に出た。


勝利が電話にでると、まっさきに話し掛ける

「ねえ勝利、ドナーが見つかったの。だから勝利は野球に専念してね」


「あっう・うん」


あれ?何か反応がおかしい


「どうしたの勝利?」


「嬉しくて言葉が出てこなくて・・」


そうか、いきなりでビックリしたんだ


「それでね。明日病院に行って、移植の日を決めるみたいなの。

ちょっと辛いけど頑張るね」


「辛い?」


「うん、移植前に、この前と同じ様に強い抗癌剤を投与する事になるんだ」


「えっそのまま移植するんじゃあ無いんだ。そっか、だから移植まで時間が掛かるんだね」


「勝利、詳しいね。そうよ、だからドナーが見つかっても時間が掛かるの。」


「うん。僕も頑張る」


「そうよ、勝利は野球に専念して、私を甲子園に連れてってね。あっもしかして学校?長電話しちゃった、ごめんね」

と言って、電話を切った。


抗癌剤治療は嫌だけど、この前と違って今回は希望がある。


今度こそ病気を治して、勝利と付き合いたい


そして夕食後


詩音から電話が入った

「莉乃?」


「うん。詩音ありがとうね。詩音が探してくれたって聞いたよ」


「まあ、アイツがたまたま病院に行ったから、採血しただけなんだけどね」


「アイツ?」


「えっ聞いてないの?あの勝利とか言う男よ」


「えっ勝利?」


「まったく、こんな近い所にドナーがいるとは思わなかったよ。早ければ7月の中旬に移植ができると言ってたわよ」


「えっ?7月の中旬?甲子園の予選は?」


「そのへんはよく分からないけど、アイツも今日病院に行って、承諾したみたいよ」


電話を切る。


勝利の小さい時からの夢である甲子園を、私が奪ってしまう事になるかも知れない。


それは嫌だ!


でも・・・



(奈緒)


勝利が朝練を終えて、家に帰った。


授業中も勝利の事が気になってしょうがない。


どうだったかな?


莉乃ちゃんがこれで治ればいいなあ


私は莉乃ちゃんが治った時の勝利の笑顔を想像した。


勿論、その笑顔を私に向けて欲しいのは本音だが、それは勝利の望むものでは無い。

やはり今は、心の底から見せる勝利の笑顔が見たい。


その為なら私は何でもする。


そして昼休み


あれ?


勝利からLINEが入ってる。


私はLINEの内容を耕太に伝えた。


「3回戦出れるって、復帰は何も無ければ準々決勝に間に合うかも知れないと言ってたよ」


「よし!じゃあ勝利がいない4、5回戦さえ勝てれば、甲子園が近づくな。」


「うん」


私達に会話を聞いていた加藤が話に割って入ってきた。


「何か東京三校に勝った気分で話してるけど、負ける確率の方が高いと思うんだけど」


耕太「勝てる確率は確かに向こうの方が高いかも知れないけど、勝てる確率も2、30%以上あるよ。勝利が投げなければ0%に近いけどな」


加藤「まあアイツが投げれば確率が少し上げるのは分かるけど・・・」


否定的な加藤の言葉に苛立ってくる。


「絶対に勝つわよ!」


加藤「でも安川さんでは4、5回戦は勝てないよ。」


耕太「・・・・」


耕太もそう思っているのだろう、会話が途絶えた。


加藤「臨時に俺が投げようかな?」


そういえば入学式の時にそんな事を言ってたのを思い出した。


「そうよ、投手が少ないから加藤君も投手に立候補したら?」


耕太「そうだな、左投げだから良いかも知れない。はっきり言って4、5回戦となれば、いくらノーシードとはいえ強い高校だから、安川さんが一人で投げ切れる相手では無いからな」


加藤「そうだよな!今日の練習の時に監督に直訴してみるよ。安川さんなら、抜けるかも知れないしな」


と、言いながら席を離れて行った。


そして練習中に監督に言いに行った加藤は、認められて投手練習に加わった。


これに不快感を抱いた安川さんは監督に文句を言いに行ったが、監督は安川さんの意見を聞き入れなかった。


練習が終わり帰っている途中、彩香から電話が入る。


勿論話題は勝利の事だった。


「勝利の話、聞いた?」


「うん。今日は野球部で話し合ったんだ。4、5回戦は手術で出れないけれど、準々決勝は出れるんだって」


「本当?でも移植術自体は、そんなに難しい手術では無いんだけど、手術後の感染症にならなければいいんだけど?」


「感染症?」


「傷口が化膿しちゃう時があるんだけど、そうなると場所が場所なだけに危険よ。本当に医者がそんな事を言ったのかしら?」


勝利の言葉しか聞いていないので、何とも言えないが、勝利の性格だと無理しても出場しようとする気かも知れない。


「彩香ありがとう。明日、勝利に聞いてみるね」


その事を耕太に伝える。


「勝利だからな」


「うん、勝利だからね」


二人で不安になるのであった。

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