第2-11話 莉乃空の誕生日プレゼント
「勝利!起きなさい!」
「うん、朝か?」
「何言ってるの、まだ夕方よ。今社長が来たわよ」
「えっ社長って・・・」
莉乃の父親だ!
僕は慌てて服を着替えながら母に伝える。
「すぐに行くから!」
それにしても何で莉乃の父親が?
着替え終わった僕はリビングにいる莉乃の父親の所へ行った。
「やあ勝利君、誕生日おめでとう」
意外な言葉を言われて、戸惑いながら
「あ、ありがとうございます」
すると手紙を差し出してきた。
「はい、莉乃からの誕生日プレゼント」
僕は手紙を受け取る。
「莉乃の具合はどうですか?」
「まだ分からないけど、どうやら良くないみたいなんだ。」
「一応1ヶ月後には、診断が下されると思うんだが・・・」
「まだ骨髄バンクの適合者は、現れないんですか?」
「莉乃の友達も色々やってくれたんだが・・・」
「そんなあ・・・」
莉乃の父親は、その後コーヒーを飲んで帰って行った。
僕は莉乃の手紙を読みに部屋に戻った。
莉乃の手紙が入った封筒を開けて、中の莉乃の手紙を取り出す。
そして読み始めた。
*******莉乃の手紙*******
お誕生日おめでとう。
ちゃんとしたプレゼントを用意出来なくてごめんね。
いざ筆を持つと何を書いていいのか戸惑ってしまいます。
私は男性恐怖症だった事もあり、男性の事を好きになるなんて思ってもいなかった。
でも、あのキャンプで勝利と出逢い、初めて男性を好きになりました。
好きになる感情は抑える事が出来ない。
恋って恐ろしい病気なんだと思った。
その時は、まるで今まで味わった事が無い感情に支配された気分だった。
そんな気分も男性恐怖症が邪魔をして二人の距離が離され、やっと二人で会えるその日から、また病魔に二人の距離が離されてしまった。
でも、絶対に勝利との距離を近づけてみせるわ。こんな病気なんかに絶対絶対に負けないからね。
そして、この病気が治ったら、今度こそデートをしようね。
どんな事があっても私は、勝利の事を大好きな気持ちは変わりません。
何かラブレターみたいになっちゃった。
ごめんね。
甲子園で優勝して、夢を叶えてね。
私もその瞬間を楽しみにしています。
来年は一緒に祝おうね。
*******終了*******
手紙の上に涙が零れ落ちる。
先程の父親の言葉が脳裏に浮かぶ
莉乃・・・絶対に死ぬなよ。
絶対に死なせない!
心ではそう思うものの、どうしたら良いのか分からない。
何も出来ない自分が情けない
思えば思う程、心がはち切れそうになるばかりであった。




