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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
第2章 高校1年夏
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第2-5話 女子マネージャー

4月8日(奈緒)


今日は私にとっても、夢に向かって踏み出す日。そう、野球部のマネージャーとして入部届けを出す日である。


ただ高校に入って分かった事が一つある・・・


私は一抹の不安を感じながらグラウンドの隅に立っていた。


校舎側からユニフォームを着た男性が歩いてくる。


監督だ


私は監督の所に走って行く。

「監督。すいません私マネージャーとして入部したいので、よろしくお願いします。」

入部届けを差し出しながら、監督に伝えた。


少し困った様な顔をして

「うちはマネージャーを入部させてないんだ。悪いね。」


そう、心城学園野球部は、女子マネージャーの入部を許可していない。


ただ、このために心城学園に入学したのに、諦める訳にはいかない。


「分かってます。でも絶対に入部したいんです。

そして一緒に甲子園で優勝した時にグラウンドに居たいんです!」


「気持ちは分かるが、甲子園にいけるかも分からないし、それに女子をベンチに入れるつもりも無い。」


女子だから?


悔しい、悔しいよ


涙が出てきた。

「絶対に諦めません!」


もう涙が止まらず、このままでは話が出来ないため、その場から逃げる様に走って去って行った。


*******

(耕太)


奈緒が走ってグラウンドを去って行く姿が見えた。


確か今日、入部するって言ってたような?


何があったのか、監督の所まで走って行き、


「どうしたんですか?」


「さっきの女の子がマネージャーを希望してきたんだよ。」

「ダメなんですか?」

「うちは女子のマネージャーは、許可していないんだよ」

「何でですか?」

「以前、男女関係になって、妊娠して廃部の危機に陥った事があったらしい。その時に学校と女子マネージャーを入れない約束をしたらしい。」

「それって、いつの話ですか?」

「詳しくは分からない」


「奈緒は、そんな子では無いし。それって女子に問題があったんですか?」

「まあ、土曜日に(ナガレ)コーチに聞いてみるよ。コーチは心城学園の元生徒だし、もしかしたら分かるかも知れない。」


流コーチは、土日にコーチをしに来てくれる、心城学園の野球部OBだ。

まだ会った事は無いのだが、10年以上前の卒業生で、土日は殆ど休まず野球部に来るらしい。


そんな昔の話なら何とかなるかもと思いながら、監督との話を終えた。


練習が終了した。


いつもの様に、勝利と帰り、亀戸を降りてマンション前まで来ると、奈緒の姿があった。


奈緒・・・


オレ達を見て、泣き始める。


奈緒の所に走って行き

「大丈夫だ!オレが絶対に何とかするから!」


「耕太・・・」


「たまには俺を信じろよ!」


涙を流しながら、俺を見て

「うん。信じる。ありがとう」


奈緒が初めて真剣な表情で、俺に頼ってくれた。


よし絶対に奈緒をマネージャーにするぞ!


奈緒と勝利に監督が言っていた事を伝えて、家に帰ったのであった。


4月11日(土曜日)


いつも通り、ランニング、準備運動、キャッチボール、トスバッティングまで行う。

トスバティングが終わる頃、見慣れないユニフォーム姿の人がグラウンドに入ってくる。


先輩達が挨拶をする。


あっあの人が流コーチかあ


年齢は30歳ぐらいで、身長は高くてがっしりした体格だ。見た目は高校生の俺が言うのもおかしいが、真面目そうな人である。


そしてその後に、監督がグラウンドにやってきた。

監督がノックをすれば、ノックを受けてる選手に近くから指導して、打撃練習でも実技を見せながら熱のこもった指導をしてくれた。

教え方も丁寧であり、実に分かりやすい。


監督に勝利の球を受けに行くように言われて、投球練習用のブルペンに向かう。


すると流コーチもブルペンにやってきた。

軽く立ったまま勝利の球を受けてから、座りミットを構える。

コーチは審判の様に、俺の後ろで勝利の球を見る。


勝利がミットに向かってストレートを投げると、後ろのコーチが

「監督から聞いていたけど、アンダースローで凄い球を投げるね。」

コーチの言葉に、まるで自分が褒められたかの様に嬉しくなる。

「はい。でももっと凄い球を投げますよ。」

そして何球か投げ込んだ後に、トルネード投法でストレートを投げ込む。


ズシンと勝利の球がミットに収まる。


「・・・・秋山君」

「はい。」

「ちょっと受けさせてくれないか?」

「コーチ大丈夫ですか?」

「うん。僕も高校の時にキャッチャーだったんだよ。それに今までも土日に心城学園で他の投手の球を受けてるから大丈夫だよ」


コーチにミットを渡すと、

「まだミットが固いかな?」

「実は既に2個目のミットなんです。去年の夏に買ったミットが傷んでしまったので」

「1年で?」

勝利を見ながら、

「アイツともう一人の化け物の球を受けていたので、しょうがないんですけどね」


何を言っているのか、不思議そうな顔をした。


コーチは2、3度ミットを拳で叩き座った。

「さあ小野君、思いっ切り投げていいぞ!」


勝利がコーチのミットを目掛けて投げ込むと、コーチのミットに収まったかと思った球がミットから溢れた。


「ごめん、ごめん」

勝利に球を返した。

そして再度、勝利がミットを目掛けて投げ込んだ。


すると、またミットから球が溢れる。


「凄い球だね。思った以上に手元で伸びてくる」

とミットを渡される。


勝利はその後もトルネード投法で10球程、投げ込む。


そしてカーブ、スライダー、シュートを投げ込む。


「ストレートと横の変化は抜群だね。これだけで甲子園を狙えるよ」


そして、ナックルのサインを出す。


勝利がサイン通りナックルを投げ込んだ。


ユラユラと揺れて、ベース前でストンと落ちる。


「フォーク?」

「いえ、ナックルです。」

「ナックル?あんな背が小さいのに?」

「親の遺伝とかやらで、アイツの手は大きいんですよ。」


コーチが興奮しているのが分かる。


「行けるぞ!本当に行けるぞ甲子園」


コーチの目は少年の様に輝いていた。



土曜日の練習が終わる間際に、コーチは一足早く帰っていったが、監督は最後のランニングが終わるまでいたので、練習が終わると同時に監督の所に行く。


「監督、女子マネージャーの件、聞いてくれましたか?」

「あ〜流君の帰り際に聞いたよ。明日の練習の時に秋山と話をしたいと言ってたぞ」



改まって話す必要があるのだろうか?


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