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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
第1章 中学卒業
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第1-18話 サンタさん、私達を見捨てないでね

翌日からの放課後は、3人でトレーニングに励んだ。

完全に硬球に慣れる為に、部活には顔を出さずにひたすら走り込んだり、ピッチング練習を繰り返す。

ただ耕太はたまに部活に行き、フリー打撃の練習だけ参加しに行く日もあった。


そして10月31日、世の中はハロウィンで盛り上がっているが、僕達はいつもの様にトレーニングを終えて帰っていた。


耕太「ところでハロウィンって、収穫祭だろ?何で日本でも盛り上がっているんだ?」

「う〜ん、よく分からないけど、お菓子が売れる様に仕組んでるんじゃないかな?」

祐輔「まあ日本人だから」

耕太「でも俺達も仮装して、お互いの家に行ったよな。あれはあれで楽しかったよ。」

「確か奈緒の所に皆んなで行ったら、マジ泣きしてたよな」

耕太「あれから奈緒が大人しくなったって説もあるぞ」

祐輔「誰の説だ、それは」


そんな昔話をしながら、それぞれのマンションに帰る


マンションに着いて、エレベーターを降りて自分の家の玄関を開ける。


あれ?


電気がついてない!

何で?


玄関に入り、

「母さんいる?」


玄関の電気のスイッチを押すが、電気がつかない。


強盗?


「母さん!」


と玄関を開けっ放しにして、リビングに向かう。


「母さん?どこ?」


「後ろよ」

いきなり後ろから声がしたので、後ろを振り向きながら

「何だ後ろか・・・」

振り向いてみると、そこにはゾンビのお面を被った3人が立っていた。


僕はビックリして、足がすくみ、尻もちをついた。


すると家の電気が全てついて、ゾンビが僕を見つめる。そして3人のゾンビがお面を取っていく


そこには母と奈緒と美緒の姿があった。


奈緒「勝利、ビビり過ぎだよ」

と笑いながら言う。


「何だよこれ?ドッキリかよ?」


奈緒「今日はハロウィンだよ。やっと積年の恨みを晴らせたわ」


やはりそうきたか、でもこれはハロウィン?

せめてジャックオーランタンで驚かすならわかるが、ゾンビって・・・


3人の笑顔を見て、まあ楽しそうだからいいか



母「ちょうど、買い物の帰りに奈緒ちゃんと美緒ちゃんに会って、ハロウィンだから驚かせちゃおうって事になったのよ。」


うちの母は黙っていると、どんどん調子に乗るので、ちょっとだけ釘をさす。


「へえ〜、ハロウィンってお化け屋敷の事だっけ?」


「まったく、夢が無いなあ。」


「これって、夢と関係無いだろ!」


「あ〜ヤダヤダ。奈緒ちゃんも美緒ちゃんも、こんな夢の無い男に引っかかっては駄目よ」


奈緒が「は〜い」と返事をする。

すると美緒が

「でも、いい所もあるわよ。海でも助けてもらったし・・・」

と顔を赤らめる。


「そうだよ。聞いたか!俺にもいいところがあるんだぞ」


そんな話をしていると莉乃からLINEが届く。


美希ちゃんと仮装した写真の写メに、happy Halloweenと書かれていた。


後ろにいた美緒がLINEの写メを見て、僕に質問する

「誰?勝利ちゃんの彼女?」


「ううん。今アタック中の娘だよ」


「ふ〜ん。そうなんだ」


「まだ美緒には、恋愛は早いだろ?まだ小学校卒業して、間もないもんな。」


「今時の中一は、結構進んでいるんだから。あんな事やこんな事だって、やってる子が多いのよ!」


「えっ美緒もあんな事やこんな事を知ってるのか?」


「私はまだだけど・・・て言うか、中一でも大人だと言ってるの!」


「良かった。美緒は俺達の妹みたいなもんだから、心配しちゃったよ」


「妹?」


「俺も祐輔も耕太も、お前の事を心配してるんだぞ」


ちょっと不機嫌そうに

「まっ今日はいいわ」



そして母が、

「今日はハロウィンだからピザとったわよ。奈緒ちゃんのお母さんも来るって」


奈緒が喜んだ。


「そうだ、お前心城学園の吹部の推薦を断ったんだって?」

「うん。私はもう吹奏楽を辞めるから」

「えっ勿体ない。唯一お前が誇れるものなのに!」

「私には、吹奏楽より誇れるものがあるの」

「そ〜なのか?」

「そうなの」


その後、奈緒の母も合流してハロウィンパーティーが、我が家で行われた。


(莉乃)

ハロウィンが終わり、恋人達の1年で最も重要なクリスマスがやってくる


LINEでは、全然平気だし、クリスマスプレゼントを渡すだけなら大丈夫かな?


以前は彼氏に編み物なんて、面倒臭い事をやらずに買った方がいいのでは?

と思っていたが、今の私は手袋を編んでいる。


それも二つ。


同じ模様で色を変えて作って、一つは勝利、もう一つは私の手袋だった。

その手袋も12月20日午後10時、すなわち今、この瞬間に出来上がった。


「やったー!出来たー!」


さて話は戻るが、これを手渡ししたいが、渡せる事が出来るだろうか?


でも手渡ししたい


よし!


勝利にLINEを送った。

(12/24の日曜日、少しだけ会えますか?)

すぐに返事が来る

(うん。その日は1日空けとくよ。でも大丈夫?)

(うん。頑張る。どうしても自分で渡したい物があるんだ)

(えっ何?)

(それは内緒よ。ここまで来てくれる?御茶ノ水駅だけど)

(うん。絶対に行く)

(じゃあ10時でいい?)

(うん分かった。じゃあ日曜日10時に御茶ノ水駅に行くね)

(うん。楽しみに待ってる。おやすみ)

(僕も待ち遠しいよ。おやすみ)


約束してしまった。


大丈夫かな?


土曜日


いよいよ明日だ。


今日は明日着て行く服を買った。

最初に会った時は白のワンピースだったから、今度は白のダッフルコートで、襟と袖にファーが付いた可愛い系のコートだ。


似合うかな?


でも不安

でも楽しい


何だか遠距離恋愛をしているカップルが、久しぶりに会う時は緊張すると、女性誌に書いてあった記事を読んだ事があるが、今はその気持ちがよく分かる。


久しぶりに直で会ったら、冷めてしまわれないだろうか?


いやいや、写メも送ってるし、大丈夫、大丈夫。

と自分で言い聞かせる。


そして日曜日


聖橋口改札を出て、橋の入口で待ち合わせする。

聖橋と彫ってある場所を背に勝利が来るのを待っていた。


9:30かあ

ちょっと早かったかな?


(今のところは大丈夫。)


あっ


改札口から勝利の姿が見えた。

(まだ大丈夫。)


こっちに気づいて走って来る。

(まだ大丈夫)


10m・・・5m・・・

そして目の前に来て

「莉乃ちゃん」


あっ

震えてきちゃった!


「勝利」

ダメだ、震える。

何で!


勝利が話し掛ける

「莉乃ちゃん、後ろを向いて」


震える体を反転させて、聖橋と彫られた石の文字の方を向く。


「色々考えたんだ。見られてると思うと、緊張して震えちゃうだろうから、僕も反対を向くね」


私達は背中合わせに立った。

「これでどう?少しは平気?」


目の前には聖橋の文字だけが見える。

「うん。何とか平気」


電話でも震えるのに、何故か今は会話で震えが出ない。


背中がくっついた。


でも平気だ。


「メリークリスマス。僕のプレゼント受け取ってくれる?」

背中を向いたまま左横から、紙袋が目に入った。

私はそれを受け取る。

「私のも受け取って」

と勝利が自分のプレゼントを持っていた手に、差し替える様に私のプレゼントを渡した。

受け取った勝利のプレゼントを入れた紙袋を見ながら

「勝利のプレゼント開けてもいい?」

「うん」


紙袋の中には、手のひらサイズのクマのぬいぐるみが入っていた。



手紙だ。

「手紙も読んでいい?」

「う、うん」


いつかキャンプの時の様に、お互いを見つめられる日が来るまで、僕はおじいちゃんになっても待ってるからね。

その日まで大事な言葉は、誰にも告げずに胸に閉まっておきます。


ヒント

「2文字、最初の文字は「す」です。」

そして次のステップは

最初の文字は

「あ」のつく言葉です。


勝利らしい手紙だが、暖かみと愛情を感じた。

そして何よりも嬉しかった。

自然と涙が溢れてくる。


「勝利、ありがとう。私も向き合える様になったら、伝えたい言葉があるわ。多分、勝利と同じ言葉よ」


勝利の背中が震えてる。


「まさか泣いてるの?そっちは皆んなに見えちゃってるでしょ?」

「しょうがないよ。莉乃が泣かせるから」


私も涙が止まらない。

「莉乃のプレゼント開けてもいい?」

「うん」


ガサガサッと袋を開ける音が聞こえる。

「あ〜これ手編み?」

「うん」

「ありがとう。」

「それ、お揃いで作ったの」

と今つけている手袋を後ろに伸ばした。

すると勝利が

「いつか二人でこれをつけて、手を繋ごう」


少し照れて

「うん」

と答えた。


周りの人達は、私達を見てどう思ったのだろう?


それでも、勝利の背中と私の背中が触れて、私は幸せな気分に浸っていた。


「莉乃、今日は会ってくれてありがとう。これで僕も元気になれたよ」


「勝利、ごめんね。本当はもっと・・」

そこまで言うと、勝利が話に割り込んできた。

「その先は禁止。僕は今でも幸せだから」


その言葉に改めて、この人を好きになって、本当に良かった。


と感じたのであった。


そして私達のいつまでも心に残るクリスマスは、終わった。


サンタさん、私達を見捨てないでね。

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