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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
第1章 中学卒業
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第1-3話 救助

昼食を食べ終えて、しばらくすると母達の姿が見えなくなった。


僕は父の所に駆け寄り

「母さん達は?」

「なんだか、近くに温泉があると言って、5人で歩いて行っちゃったよ。」

「温泉?」

「うん。知る人ぞ知る名湯らしいぞ」

「へえ〜」

僕は、その事をみんなに伝える。


彩香「私も行きたいな」

祐輔「俺も」

結局みんなが行きたがっている。


あれ?

奈緒は?


耕太「妹と一緒に向こうの岩場の方に行ったよ」

海岸の外れにある岩場を指差す。


耕太「勝利、呼んで来いよ」

「えっ!俺?」


耕太がまた耳元で呟く様に話す

「俺が行ったら、なんかワザとらしいだろ」


変なところ、神経質だな。

誰もそんな事を思って無いっていうのに・・・

「分かったよ、行ってくるよ」


僕は岩場がある所まで歩いて行くと、沖の方にいる二人を見つける。



岩場の岩と岩を飛びながら二人の居る場所まで近づこうとしたら、途中から岩が海水で沈んでいる。


まだ二人までの距離は2、30mぐらいある。

二人に向かって声をかける。

「おーい、温泉に行くみたいだぞ」


奈緒の声が僕に向かって叫ぶ様に返事がきた。

「勝利、助けて!帰れなくなっちゃった。」

「泳いで来いよ!」

「ダメ、足がつかないの。それに美緒は泳げないのよ」



「潮は段々と満ちてきており、父を呼ぶ時間もない」


「分かった。今行く!」


岩場を跳び継いで二人の場所まで向かう。


二人が居る岩場の近くまで辿り着く

その岩場は既に海に沈んでおり、海面は僕の膝下まで及んでいる。

「大丈夫か?」


「うん。」


あと10m


そこから二人がいる所には岩場が無く、砂浜になっている。


この間が深いのか?


僕は飛び込み、二人の岩場まで泳いだ。

強く飛び込めば、何とも無い距離だったが、泳げない人には恐怖だったのだろう。


「大丈夫か?」

奈緒「大丈夫。ありがとう」


美緒ちゃんは震えている。


「今飛び込んで来た岩場までの10mを泳げば大丈夫だけど、奈緒は自分で行けるか?」


「うん。多分大丈夫」


「じゃあ先に行って、親父を呼んで来てくれるか?」


「分かった。」


奈緒は飛び込んで、何とか岩場まで到着して父を呼びに走って行く



「美緒ちゃん、少しは泳げそう?」


「プールなら平気だと思うけど、これだけ波があると泳げない」


確かに岩場を巻く様に波が流れ込んでいるので、泳ぎが不得意な子だと、難しそうだった。


でもたったの10m


祐輔ぐらいの身長があれば、肩車でも行けるのだが、僕では頭の上まで水に浸ってしまう。


でも10m


10m歩く時間だけ息を我慢すれば大丈夫だろう。

肩車で美緒ちゃんを運ぶ決心をする


「美緒ちゃん、今から肩車して、向こうの岩場まで行くけど、大丈夫?」


ちょっと恥ずかしそうにしていたが

「うん」と頷いた。


「それと、もし肩から外れても、バタバタしないで僕を信じて、そのままでいてくれる」


「うん」


「絶対に大丈夫だから、僕を信じてね」


美緒が肩幅まで足を拡げる。

僕は後ろから頭を入れて、持ち上げて、肩車を作った。


ゆっくりと降りる場所など無かったので、僕は肩車をしたまま、海に飛び込んだが、予想以上にバランスを失い彼女が肩から離れてしまう


ただ彼女は約束した様にそのまま下に沈んだため、彼女の股に頭を入れて肩車を作り、元の体制に立て直した。

予想以上に海に潜る時間が掛かってしまった。


多分5,6歩だろう


一歩一歩ゆっくりと歩き出す。完全に頭は水に沈んでいる。


苦しい


薄っすらと開けた眼に岩場が見えた。


あと少し2歩・・・


容赦なく波は僕のバランスを崩そうとする。


僕の手が岩場に着いた。


美緒の足を岩場に乗せると、もう片方の足を自ら肩から外して岩場に移動した。


ヨシッ


そのまま岩を掴んで水面から顔を出した瞬間、大きな波が岩場に当たり跳ね返る。その跳ね返った水が、息を吸おうと大きく開けた僕の口の中に入ってきた。


グホッ!


「勝利くん!」


美緒ちゃんの声が聞こえた。


僕は必死に立て直し。なんとか岩場に着いた。


気持ち悪い。


岩場に着いても咳き込む。


「大丈夫」


心配かけてはいけないと思い、無理やり笑顔を作る

「大丈夫だよ」


そして、手を繋ぎながら、岩場と岩場を移動して、なんとか砂浜まで辿り着いた。


僕は気持ち悪くなり、その場でうずくまった。


みんなが駆け寄ってくる。


「勝利、大丈夫か?」

父の声が聞こえる。

そして僕は父におぶさり、移動した。


美緒ちゃんの声が聞こえる。


「私を助けようとして、大量の水を飲んじゃった」


「海水をいっぱい飲んじゃった?」

「うん」

父が水を持ってくる様に言うと、耕太がミネラルウォーターを買ってきた。


僕は降ろされ、ミネラルウォーターを口に突っ込まれる。

「勝利、全部飲み込め!」


苦しかったが、全部飲み干した。


「まあ、またちょっとしたら水を飲め

どれくらい海水を飲んだか分からないが、取り敢えず塩分を調整するから、「小便を出して水を飲む」

の繰り返しをして、塩分の調整をしよう。あまり具合が悪かったら病院で点滴だな」


「そこまで具合悪くないから、大丈夫だよ。ただ、ちょっと休ませて」


「温泉に行くんだから、ちょっとしか休む時間は無いぞ!」

父はまるで心配する素振りが無い。


さすがに、奈緒の父が

「小野さん、ちょっと休んで行きましょう。」


父も仕方ないと頷いた。


僕は浜辺で寝転がり、寝てしまった。その間ずっと奈緒が僕の横に座っていた


結局僕達は温泉に行かず家に帰る事になり、僕達の夏休みは終わりを告げたのであった。

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