第25話 二人の想い
マイクロバスは行きと同じ海老名パーキングで休憩を取る
帰りはパーキングエリアで長めの休憩を取る事になった。
お土産を買う者や軽食を食べる家族等、それぞれでパーキングエリア内を散策する
バスが停車してトイレに向かおうとしている僕に父が声を掛けてくる
「勝利、飯食うか?」
とても食べる気分では無い。
社員の話し声が聞こえた。
「社長は、御殿場のアウトレットに寄ってから帰るんだって」
その言葉に肩を落とす
「そうなんだ」
そうか、ここでも会えないのか
僕はトイレに行く。
トイレを出るとソフトクリームの文字が目に入った。
僕は莉乃と初めて会った時の事を思い出す。
二人の出会いは最低だったなあ。
携帯を手にして、莉乃に電話を掛けようか迷う
ダメだ、掛けれない。
電話帳の結城莉乃と表示される画面までは行くのだが、通話を押すことは出来ない。
「ダメだ」
僕は二人が出会った時の事を思い浮かべながら、ソフトクリーム売場の列に並んだ。
今日も暑いな。
ポケットの携帯を見る
バイブレーションも何も無いのに、携帯の画面を何度も見てしまう
やっと順番が来て料金を払い、ソフトクリームを受け取る。
すると横から手が出てきてソフトクリームを横取りされた。
えっ?
手が伸びてきた方を見る。
「もう何でこのソフトクリームしょっぱいのよ!」
涙を流しながら、ソフトクリームを食べる莉乃がいた。
莉乃が僕の胸に飛び込んできた。
「ここから・・・またここから始めよう」
僕は嬉しさのあまり涙が流れだす
「うん。ごめんな」
謝りながら莉乃を抱きしめる。
手に持っていたソフトクリームを落としてしまう
「今度は二人で一緒に列へ並ぼう」
莉乃は僕の手を握ってソフトクリーム売場の列に並んだ。
その時、僕を握る莉乃の手は震えていたのであった。




