第17話 惹かれる心
それにしても陽が落ちると心地の良い風が吹いてくる。本当に真夏なのか疑ってしまう程である
僕はテントの前の椅子に座り夜風に当たる。
すると母さんと莉乃がテントに向かって歩いて来た。
「母さん達、先にお風呂入ってくるね
キャンプファイヤーは21時からだけど、先に入らないと入れなくなるのよ。
勝利は昨日も入って無いんだから、ちゃんと入りなさい。」
「えっ!昨日も入って無いの?ちょっと1m以内に入らないでくれる!」
知ってるくせに
結局3人でお風呂に行く事になった。
3人で風呂に向かい女湯の場所で別れた。
右手に包帯が巻いてあるので、体を洗うのも不便だったが、何とか洗い終わり湯船に浸かる。
「ふう」
この二日間色んな事があって、少し疲れた。
でも、車の中で彼女の言葉を聞いてから、彼女の事を女性として見ている自分がいる。
強がっている口調も、時々見せる優しさも僕の心に入り込んでくる。
いつしか莉乃の事だけを考える様になっていた。
帰りの車で、祐輔と彩香ちゃんが一緒に盆踊りに行くかも知れないと言われた時も、不思議と心は乱れなかった。
もしかして僕は莉乃の事?
いやいや、それは無い。
さすがに、莉乃と会って2日しか経っていないのに
僕は風呂から出て、脱衣所で服を着て外に出る。
女湯の入口に向かうと、女湯の入口前にあるベンチに莉乃が座っている。
声を掛けようとしたが、星空を見上げる莉乃の姿に見とれてしまう。
ダメだダメだ
自分の歪んだ心に叱責する。
莉乃の横に座り、莉乃が見上げている空を一緒に眺めた。
こんなにじっくり星を見る事なんて初めてだ。
「本当に綺麗だね。同じ日本の空とは思えないよ」
率直な感想を言う。
確かに星は綺麗なのだが、莉乃を見たい。
視界にかろうじて映る莉乃は、上を向くのをやめたた
よし10秒経ったら、僕も星を見るのを辞めよう。
1、2・・・・9、10
よし
星を見るのを辞めて、莉乃を見る。
しかし、莉乃は、また星を見上げている。
山から下りてくる風が、莉乃の石鹸の匂いと共に、僕の心を揺さぶる。
今のうちにアドレス聞こうかな?
思い切って星を見ている莉乃に聞く
「ねえ。莉乃ちゃん?」
莉乃が僕の方を向いて、目が合うと胸の鼓動が激しく鳴り響く
「何?」
いつもの莉乃の表情とは違い、湯上がりのせいか頬が少し赤らみ、優しい口調だった。
更に胸の鼓動が高まる
「あっ・・・何でもない、ごめん・・・」
言葉を濁してしまう
その後すぐに母が出て来て、3人はテントに向かう。
一旦、母とテントに戻り、荷物を整理する
僕は疑問を母に聞く
「ねえ、莉乃って何で男と付き合わないんだろう?」
「あれっ知らなかったの?
莉乃ちゃんは小さい時に元母の彼氏に冗談で触られてから、男性恐怖症になったのよ。
でも勝利には、恐怖を感じないんだって、良かったね。」
それはいい事なのか?
僕の事を男性として見ていないのでは?
母とテントから出ると、ちょうど莉乃もテントから出るところだった。
大テント近くの広場では、ドラム缶に入れた大量の木が燃えて、かなり上の方まで炎が噴き出していた。
僕達は近くで見ようと椅子を持ってキャンプファイヤーの近くまで移動した。




