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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
プロローグ 勝利と莉乃
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第15話 芽生え

親子のキャッチボールに僕が加わり、周りの人達から称賛された。しかし彼女が僕の投げ方をソフトボールだと言った事をみんなに笑われ、怒ってテントに戻って行く


テントまでは皆に笑われた事が悔しがっていたので、彼女の心を落ち着かせるように宥めていた。

そして何とか収まり、テント前で彼女が笑顔で僕に言った。


「でも子供を失望させなくてよかったね」


ドキン


その優しい表情に、胸が一瞬モヤモヤする。


その原因は分からない


そのモヤモヤは、山から帰って来た母によって更にモヤモヤが増していくのであった


まずは莉乃に

「もう他人行儀なんだから、ショウリでいいのよ。はい、言ってみて?」


莉乃が困っている

「いや、本当に・・・」


真っ赤な顔をした莉乃が僕の名を呼んだ

「ショウリ・・・」


まただ、また胸が締め付けられる


「じゃあ勝利は、莉乃って呼んで」


「えっ!そんな風に呼べないよ」


「いいわよね、莉乃ちゃん?」

彼女が恥ずかしそうに頷いた。


まだ会って2日しか経っていない女性に呼び捨てなんかした事が無い


ヤバイ、顔が暑い


胸の鼓動が激しく音を立てる

「リ・・ノ・・」


「あ〜いいなあ。青春だね。ねえアナタ、社長さん」

母が更にからかうので、僕の顔は真っ赤になってしまった。


莉乃の父親がキャンプファイヤーで使用する木を山で探してきて欲しいと莉乃に頼むが、莉乃は拒む。


僕だけで木を拾って来ます」

その場でジュースを一気に飲み干して、木を拾いに山に向かって歩いていった。


この火照る顔を冷やす意味でも、この場から離れたかった


山道に入ると道端に枝が落ちているが、小枝ばかりでキャンプファイヤーには使えそうもない。


僕は道を外れて山に入って行く。道から逸れて森林に入って行くとキャンプファイヤーに使えそうな木が沢山落ちていた。


僕は夢中になって奥に入っていき木を拾う


すると大きな物音がした


ドスン


「痛!


後ろを振り向くと、道から少し山に入った所で莉乃が転んでいた。

「大丈夫?」


「うん」


僕は莉乃を起こそうと近づいて行き、莉乃を見ると顔が青ざめている


転んで怪我をしたのか?


急いで莉乃の所に走って行く


「どうしたの?大丈夫?」


すぐに返事が無い。

本当に足を怪我したのかも知れない


莉乃の所まで1m


いきなり莉乃が大声を出す

「ショウリ止まって!そこに蛇がいるわ!」


えっ!


白い物体が莉乃に向かっている。


莉乃に向かって鋭い牙を向ける

あぶない!


咄嗟に右手を差し出すと蛇が噛みついた。


イテッ!


噛みついた蛇を振り払う様に、上下に手を動かす。

すると蛇は手から離れて山に逃げて行った。


「まったく蛇め」

手を押さえ。


蛇を振り払う時に、牙が刺さっていた場所の皮膚が裂けて出血した。


彼女は見るからにパニクってる。

「早く!病院・・・死んじゃうわよ・・・早く」

もう言葉になっていない。


「大丈夫だよ、かすり傷だから、木を拾おう」


すると彼女は怒り出す。

「何言ってるの、死んじゃうのよ。マムシは毒があるのよ。とにかく来なさい。大テントに戻るわよ!」


刺された右手を引っ張る。

「痛!」

「ほら!毒がまわって来たのよ!」


刺された手を引っ張られたから痛かったんだけど・・・


余計な事を言うと、10倍になって返ってきそうなので、黙って彼女の言う通り、大テントに一緒に戻った。


大テントに戻る

「パパ!病院、早く病院に連れて行って!」


社長が血相を変えて叫ぶ

「どうしたんだ?」

「マムシ、マムシに噛まれたの、早く病院に連れて行って!」

「マムシだって!」

更に社長の顔が真っ青に変化する


「勝利君、僕の車に乗りなさい!」


痛みも少し引いてきたし、特に具合も悪くないので遠慮する

「大丈夫ですよ」

笑顔で答えたが、社長は彼女と同じ様にパニックっていて聞く耳をもたない

「マムシだぞ!毒があるから、そのまま放置したら、死んでしまう。いいから早く来なさい!」

僕は助け舟を両親に向かって目で合図したが、行ってらっしゃいと言わんばかりに、手を振っている。


しょうがない


僕達は社長の車まで歩いて、後部座席に乗り込む。


「莉乃は勝利君の横で状態を見てなさい」

「分かったわ」

莉乃と僕は後部座席に座った。


「30分かかるな」

ナビを設定した社長が独り言の様に呟いた。

「勝利君、大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。」

と笑顔で返す。


そして車は病院に向かって走り出した。


車が走り出して10分ぐらいした時、車の冷房も心地良い。

寝不足だった僕は眠くなり、うとうとと寝てしまいそうになる。

「大丈夫?」

彼女の声だ

「毒がまわって眠いのね。もうすぐ病院だから頑張るのよ」

眠かった僕は返事をしないで、そのまま寝てしまった。


そして15分後


あれ?

右手に違和感が

膝の上に置いていた右手が、右に座っている彼女の膝の上に伸びていて、その右手を彼女の両手が守るように包み込んでいた。


気持ちいい


彼女の暖かい手が、物凄く心地よい。

僕は寝たふりを続けてしまう。


すると彼女は手に向かって呟く

「ごめんね。ちゃんと動いてね。君にはショウリの夢が託されているんだから、頑張って動いてね」


そうか、僕の右手がダメになってしまうかもしれないと思ってたんだ。


意外と優しいんだな


そして、僕の方を向いて来たので、慌てて目を瞑る。


「死なないでね。私、初めて男子とこんなに仲良くなったのに・・・

もっと君の事を知りたいよ。だから、絶対に死なないでね。」



ヤバイ!

もう目は開けれない。


社長の声が聞こえた。

「もうすぐ着くから、勝利君を起こしてくれ」


その言葉を聞き、ソーっと右手が僕の膝の上に戻された。


そして右肩に彼女の手が触れ、僕を揺らしながら

「もう病院よ。起きなさい!」


僕は目を開けて

「えっ?もう着いたの?」

とぼけて聞いた。

「そうよ。もう着くわ」


車は左にウィンカーを出して病院に入っていく。

玄関前に車を止めて

「ちょっとこのまま待っててくれ」

社長だけ病院に入って行った。


するとすぐに社長と車椅子をひいた看護師が車に走ってくる。


看護師が、

「刺されたのは君?」

僕に問いかけたので頷く。

「車椅子に乗って!」

僕は車のドアを開けて、車椅子に座った。

初めて車椅子に座ったが、意外と気持ちがいい。


車椅子は、救急外来と書かれた場所に入って行った。


社長は車を駐車場に置きに行ったので、彼女が付き添ってくれている。


救急外来に入ると、医師も早足で入って来た。


そして僕に質問する

「どんな蛇だった?」

すると彼女が両手を広げて

「これぐらいの大きさで、白い蛇でした。」

すると緊張感があった医師の顔は緩み

「そうか、それはシマヘビのアルビノだな」

あのキャンプ場で、シマヘビのアルビノを見たって人がいたから、多分そうだと思うよ。


シマヘビは、攻撃性が高いから噛まれる人も多いんだ。噛まれると痛いけど、毒はないんだよ。


「ところで具合はどうだい?」

「噛まれたところは、少し痛いですけど、その他は至って健康です。」

「噛まれてどれくらい経ったかな?」

「う〜ん。1時間ぐらいです。」

「じゃあ、やっぱりシマヘビかもね。マムシのワクチンはうたないでおこう。ただ傷の処置はして行ってね。」


診察はすんなり終わった。


それと同時に社長が診察室に入って来た。


医師に経過を伝えられると

「良かった〜その子は将来、プロ野球選手になる子だから、どうしようかと思ったよ」


「プロ野球選手?」

医師が聞き返す。


「そうなんですよ。凄い選手なんです。」

「どんな?」

「えっ?凄い・・選手です。」


社長も父に感化されているのが、よく分かった。


「じゃあ、こっちで処置しましょうね」

看護師が僕を誘導する。


そして軟膏を塗り、ばい菌が入るのを防ぐために、包帯を巻き始める。

「あの子は君の彼女?」

「いいえ、違います。」

「じゃあ彼女になるのかな?」

「そうしてですか?」

「白い蛇を男女が見ると恋人になるって、言い伝えがあるのよ。君も頑張ってね。」

包帯を巻き終える

「はい、処置終了。じゃあ頑張ってね」

一方的に話して看護師は去って行った。


そして僕達は病院を出た。

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