第13話 ショウリ・・
何で私が笑われなければいけないのよ!
ソフトボールのピッチャーみたいな投げ方して、あんな投げ方わかるはず無いわよ!
でも子供達も喜んでいたし良かった。
どうしても、自分に線を引いてしまう。
所詮は男、考えている事なんてみんな一緒に決まってる。
この線を超えてしまえば、すぐ色恋に発展するのだろうと調子に乗る。
それに比べて同性間では、自分に線を引く事なんてしないので気が楽なのだが、コイツは私が引いた線を軽々と踏み越えてきてしまう。何でコイツは、こうも簡単に私との距離を詰めてこれるの?
ただ圭子さん同様、私の空間にすぐに入って来るが、嫌な気分では無い。
むしろ心地良さを感じていた。
勝利に話し掛ける
「みんなが称賛していたのに、大野ってもっと凄いの?」
「うん。もっともっと凄いよ」
「ふ〜ん、よく分かんないや。要は打たれない方が凄いんでしょ?」
「そうだよ。彼はそう簡単に打たれない。」
「じゃあ、アンタも打たれなければいいんでしょ?
だったら、今はアンタの方が凄いんじゃない?」
「何で?」
「甲子園行ったキャッチャーが、分かってても打てない球だって、言ってたじゃない。」
「あれは、父さんの息子だから、煽ててくれただけだよ。」
「そんなもんなんだ」
「そんなもんなんだよ」
思えば汁なしラーメン食べてから、何にも飲んでいないので、喉が渇いていた私は、大テントにあるジュースを取りに行こうと立ち上がる。
「どうしたの?」
「ジュース持ってくる。」
「僕も行くよ。喉乾いちゃったから」
「アンタの汁無しラーメンのせいでね。」
また一言余計な事を言ってしまった。
「そうだね。ごめんね」
と軽く受け流される。
大テントに着くと、父達が帰って来ていて、そこに何人か集まっている。
どうやら明日の朝の登山について話し合っているのみたいだ。
圭子さんが私達に気づいて近寄って来た。
「あら、二人は仲がいいわね。いつも二人で羨ましいわ」
!
急に顔が熱くなる。
「コイツ・・・小野君が、ただ私の後をついて来ているだけです!」
「もう他人行儀なんだから、ショウリでいいのよ。はい、言ってみて?」
「いや、本当に・・・」
いいですと言おうとしたが、満面の笑みで私を見つめる圭子さんを見ると言えなかった。
私は小さい声で
「ショウリ・・・」
すると今度はアイツに
「じゃあ勝利は、莉乃って呼んで」
「えっ!そんな風に呼べないよ」
「いいわよね、莉乃ちゃん?」
流れで頷いた。
すると小声で
「リ・・ノ・・」
「あ〜いいなあ。青春だね。ねえアナタ、社長さん」
お互いの父親は、苦笑いを浮かべて頷いた。
「ところで二人してどうしたの?」
「ジュースを取りに来たんです。」
小野さんが、大きなクーラーボックスを開けて、
「好きな物を飲んでいいよ」
二人でジュースを選んでいると、父が
「莉乃、今日のキャンプファイヤーに使えそうな木を探して来てくれないか?」
「えっ私が?」
「いやいや、二人で行って来てよ」
「誰と?」
「勝利君と」
「何か勘違いしているようだけど、私達はそんな関係では無いわ!」
すると勝利が逃げるように
「僕一人で大丈夫です。木を拾って来ます」
その場でジュースを一気に飲み干して、木を拾いに山に向かって歩いていった。
こうあっさりと木を拾いに行かれると、私が意固地になって行かないのだと思われる。確かにそうなのだが、私が悪役でアイツが良い人役の様な感じで、居づらい感覚が私を襲う。
「もう!私も行くわよ!」
私はショウリの後を追った。




