第11話 カップヌードル
キャンプ2日目は夕食準備までフリータイムとなっているので、朝から昼まで各家族で自然を味わっている。
僕の親は明日の日の出を見に行く山を下見しに朝食を食べ終えてから、登山コースに登りに行った。
日の出を見に行くのに、子供は連れて行けないので、親が登山している間は僕と莉乃ちゃんで子供の面倒を見ることになっている。
親が出掛けている間も寝てくれていれば面倒を見なくていいのだが、朝ご飯を食べさせなくてはいけないので、多少なりと面倒を見なくてはならない。
今日は社長も僕の両親と登山に参加しているので、莉乃ちゃんだけが残っているみたいだった。
会うと説教されそうなので、なるべく会わない様に心掛ける。
朝は父に無理やり起こされて飯盒のご飯を食べたが、昼は各自で作るように言われている。僕は持ってきたカップヌードルを食べようと考えていた。
後でお湯を沸かしに行こう。
大テントの所には、携帯用のガスコンロが置いてあるので、安心だ。
僕はテントの前のテーブルで太陽の光を浴びながら勉強を開始する。
う〜ん難しい。
数学の問題に頭を捻らせる。
すると莉乃ちゃんが、テントから出て来た。
僕は急いで問題集を隠す。
どうせ、見つかったら馬鹿にされるのは分かっている。
「何を隠したの?」
「何でも無い!」
近づいてきて、手で隠している問題集を見つける。
「あら偉いじゃない。勉強してたんだ。」
手で隠していた問題集を掴んだ。
僕は手を離さず
「勉強中だから、取るなよ!」
「減るもんでも無いし、見せなさいよ。受験生はどんな問題を勉強してるのか見せてよ。」
強引に問題集を奪われる。
「あれ?何でこの問題を跳ばしてるの?
もしかして分からないの?」
「後でやろうと思って、跳ばしただけだよ」
「ふ〜ん。じゃあ見ててあげるから、やってみてよ。」
「嫌だよ。気が散る。」
「こんな事で気が散ってたら、試験なんて出来ないでしょ!
早くやりなよ」
しょうがなく問題集を開いて問題を考え始めた。
う〜ん
「本当に馬鹿なの?」
と言いながら、問題で書かれている四角形の中に線を引く
「こうすれば分かるでしょ」
本当だ
確かにこれなら僕でも分かる。
「ありがとう」
「うん。素直でよろしい」
莉乃ちゃんは、自分のテントが張ってあるエリアの椅子に座って、読書を始めた。
ふう
12:00にセットした携帯が鳴る。
彼女を見ると本は膝の上に置かれていて、熟睡していた。
しょうがない、勉強も教えてくれたし、カップヌードルでも作ってやるか!
テントに入るとカップヌードルのカレー味と醤油味があったので、2つのカップヌードルを持って、お湯を入れに大テントまで行く。
ガスコンロでお湯を沸かし、カップヌードルにお湯を注ぐ。お湯の入ったカップヌードルをテントまで急いで持って行ったが、彼女はまだ夢の中にいるようだった。
黙ってると可愛いんだけど・・・
そう思いながら、彼女の肩を叩く。
「ねえ、お昼だよ」
彼女は目をいっぱいに見開き、僕を見て大声で悲鳴を上げる
「キャー」
?
えっ?
周りの人がこっちを覗き込む。
「すいません。寝ぼけてるだけですから、何でもありません。」
謝りながら、誤解を解いた。
「アンタ、近いのよ!
ビックリしちゃったでしょ!」
「こっちがビックリしたよ。」
彼女が立ち上がり、歩き出す。
「ねえ、カップヌードル作ってあるよ。」
「トイレ」
!
まさかのトイレ
行くなとも言えないので、もう一つカップヌードルがあるか、テントの中に入って探した。
無いな
母の荷物も父の荷物も探したが、見つからない。
誰か持ってないかな?
僕は大テントまで走った。
「どなたか、カップヌードル余っていませんか?」
どの家族も持っていないらしい。
もしかしたら社長は、持って来てるかも。
僕はテントに急ぐ、すると麺がふやけきったカレー味のカップヌードルを食べている彼女の姿が目に入った。
!
「ねえ、これ汁が無いんだけど!」
もう10分は過ぎている。すでにラーメンと呼べるものでは無くなっていた。
「社長はカップヌードル持ってきてないの?」
「無いわよ!」
「ごめん。起きてから作ればよかった。」
「アンタも早く食べなよ。麺が伸びちゃうよ。
と言うか、麺しか無いけど」
僕は汁が無くなったラーメンを食べ始めた。
「まじい!」
「ラーメンぐらい作れるようにしなよ!」
「ごめん」
「でも、ありがとう」
?
「えっ?」
少し顔を赤らめて「何でも無い」と誤魔化した。




