第3-5話 告白
祐輔の病室を出た4人は、莉乃が入院している病院に向かう。
駅に向かう途中、耕太が彩香に話し掛ける
「祐輔の具合、あまり良く無いのか?」
「うん。足が思うように動かないみたい。特に関節内の骨折だから関節が拡がらないのよ」
「拡がらない?」
「うん。関節が固まって、可動域が拡がらないのよ。地道にリハビリを続けて治さないといけないの」
「そうか、手術すれば治るわけでは無いんだな」
「うん。これからが本番なのよ」
「それって辛いな」
「うん」
焦れば焦るほど、その身に降りかかってくる。
予想以上に辛い治療なんだと、改めて思うのであった。
4人は電車に乗って、莉乃の病院がある御茶ノ水駅で降りて、莉乃と2回待ち合わせをした聖橋を渡り、病院へ向かう。
いつかまた・・・
そんな思いを抱きながら勝利は一歩一歩病院への道を歩んで行く。
SNSや電話では連絡をとっていたが、一般病室に移って1週間が経ったのだが、未だに直接会っていない。野球をやった後の体ではバイ菌が付いてそうで、休みが分かっていた今日まで待っていたのだ。
早く会いたい
病院に到着した4人は受付を済まして、莉乃が入院する病室に向かった。
7階の707号室の前に着くと、壁に4人の名札があったので、4人部屋なのだと思いながら病室に入っていった。
あれ?莉乃の声が聞こえる。
病室の中に入ると、詩音がベットの横にパイプ椅子を置いて、莉乃と談笑している。
奈緒「莉乃ちゃん」
莉乃と詩音が4人に気付くと、莉乃が勝利を見つけると
目を潤ませながら
「勝利・・・」
それをみた勝利も目を潤ませる
「莉乃・・・良かった」
「また髪の毛なくなっちゃった」
せいいっぱいの笑顔を見せると、溜まっていた涙が頬を伝う。
「髪の毛はまた生えるけど、命は無くなったら戻らないから・・・」言葉が詰まる。
「でも本当に良かった。」
その姿を見て、奈緒が号泣する。
「莉乃ちゃん、本当に良かったよ。」
と抱きついた。
耕太「抱きつくのは勝利の役だろ?」
その言葉に皆んなが笑った。
彩香「移植後は、順調なの?」
「うん。白血球も正常だったと、医者が言ってたから、多分大丈夫。本当に皆んなありがとう。皆んなのおかげで諦めず頑張る事が出来た。」
奈緒「それを言うなら勝利のおかげでしょ」
莉乃は顔を赤らめる。
勝利が何やらモジモジしている。
耕太「勝利、どうした?」
「えっ!うん。ちょっと・・・」
「何だよ?はっきり言えよ」
耕太に言われて、勝利が莉乃に向かって話し始めた。
「莉乃、僕と付き合ってくれる?」
病室の空気が固まる。
詩音が空かさず反応する。
「いきなり、何言ってんのよ!」
詩音以外は、今起きている事が理解できないようで、言葉を失う。
勝利は詩音の言葉に対して
「男性恐怖症が治り、告白しようと待ち合わせして、その日に白血病が分かって入院となったんだけど、莉乃と少しでも一緒に居たいと告白出来なかった事を今まで後悔してた。白血病が治ったら、直ぐに告白しようと心に決めてたんだ。」
詩音が反論する
「まだ治って無いわよ!それに莉乃の事が好きなのはアンタだけじゃ無いよ、私だって好きなんだから!」
えっ何を言ってるの?
勝利の頭は混乱していると、詩音が追い討ちを掛けてくる。
「ダメよ!絶対に私は認めない!」
「いや、僕は詩音ちゃんに言っているのでは無くて、莉乃に言ってるんだけど?」
「ダメって言ったらダメなの。諦めなさい」
すると小さく呟くような声が聞こえる。
「うん」
!
僕は莉乃を見る。
頬を赤らめた莉乃が僕を見ている。そしてもう一度、莉乃が勝利に質問する。
「勝利、本当に私と付き合ってくれるの?」
今度は勝利が頬を赤らめながら
「うん」
と頷いた。
「私でいいの?病気ばっかりしている私なんかで・・・・」
言葉が詰まる。
勝利が莉乃に近づいて、ベッド上で座って泣いている莉乃を、軽く抱きしめながら
「莉乃じゃないとダメなんだ」
勝利の胸に顔を埋め、涙が勝利のシャツに染み込んでいく。
「ありがとう」
感動的なシーンに、再度詩音が水を差す。
「何を勝手に話を進めているの?私は許可しないからね!莉乃を奪わないで!」
と病室を飛び出していった。




