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夢を叶えろ!  作者: 鈴月桜
第3章 高校1年 秋冬
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第3-4話 本当の心

(8月31日)

長い長い夏休みも今日で終わりを迎える。

最終日の今日は心城学園野球部は休みとなっていた。

夏らしい遊びは一切出来ていないので、本当なら海でも行きたい所だが、奈緒の提案で病院廻りをする事になっていた。

奈緒いわく病院ツアーと称して、心城学園の3人と彩香の4人でツアーを決行する。


祐輔の病院の面会時間が13時からで、莉乃の面会時間は15時からとなっているので、祐輔の病院へ最初に行ってから莉乃の病院に行く。ただし祐輔の病院に行く前に、みんなで昼食を摂ってから病院に行く計画を練った。

祐輔の病院まではマンションから1時間ぐらいの場所にあるので、A棟マンション前に11:00に集合である。


「あ〜よく寝た!」


寝ぼけながらリビングに行くと

「勝利、おはよう」

と母の声が聞こえ「おはよう」と返す。


「今日は練習休みなんでしょ?」

「うん」

「どこか行くの?」

「うん」

「どこ行くの?」

「うん」


母はムクレ面をして

「うんって何よ!」


勝利は面倒くさそうに

「みんなで祐輔と莉乃の見舞いに行くんだよ」

「あら私も一緒に行こうかしら?」

「ダメだよ!ダメに決まってんだろ!」

「勝利は反抗期?」

「そんなの反抗期って問題ではなくて、一般常識だよ!」

「もう勝利ったら、そんなにムキになって可愛いんだから」

「もう高校生なんだから、可愛いとか言うなよ!」


すると急に真面目な顔になり

「ねえ、莉乃ちゃんは大丈夫なの?」

「うん。もう一般室に移って、面会も制限無くなったんだ」

「そうなんだ、良かったね」

「まあな」


「それと勝利に話をしておかないといけない事があるんだ」


真剣な表情をしている母に固唾を飲んだ。

「なに?」

「実はね、9月の敬老の日にね、チャリティーライブをやる事になっちゃったのよ」

「チャリティーライブ?」

「うん。莉乃ちゃんの骨髄バンクを集めるつもりで、前に所属していた事務所に相談してて、やっと会場も決まったんだ。」

「えっ本当?」

「うん。実は他の歌手達も集まってくれて、大きなイベントになっちゃったのよ」

「どこでやるの?」

「武道館よ」

「えっ武道館?」

「莉乃ちゃんが白血病と分かった時に事務所に相談したんだけど、すぐに他の事務所にも広がって、開催する場所が決まらなかったと報告を受けてたんだけど、まさかこんなに大事になっているとは思わなかったわ」


でも母が莉乃の為に、そんな事を考えていたのは嬉しかった。

「母さんありがとう」


「あら、じゃあ今日一緒に行っていい?」

「それは別」


二人は笑った。


その後、朝食を食べて部屋で夏休みの宿題を終えると、約束の時間が迫ってきた為、着替えて玄関に行き靴を履く。

玄関の戸を開けて


「じゃあ行ってくるね」



勝利が待ち合わせ場所に着いた時には、既に全員が揃っていた。


耕太「勝利、遅えよ!」

「えっまだ約束の時間前だろ?」

すると奈緒も

「遅えよ」


普段はおとなしい奈緒も、勝利には口が悪い

「まあ奈緒は俺にしか威張れないもんな、好きに言ってもいいぞ、可愛そうな奈緒の言葉なんか受けとめてやるよ」


奈緒が悔しそうな顔をして「何かムカつく!」


そんな会話をしながら駅に向かって歩いて行く。


そして電車に乗り、祐輔が入院している病院がある駅に着いた。


彩香「病院の前にあるスパゲティー専門店が美味しいわよ。」


奈緒が喜びながら

「わあースパゲティー食べたい」

勝利「しょうがない、スパゲティーにしてやるよ」


「何かムカつく!」

と奈緒が言った。



元気が無い耕太に勝利が話し掛ける。

「耕太、やけに静かだな?何かあったか?」

と勝利が聞いたが、「いやいや何でも無いよ。夏バテかな?いまいち気分が優れない」

「大丈夫か?」

「あ〜大丈夫だよ。そのうち治るよ」

「そっか、なら良かった。ただ無理するなよ」

勝利と耕太がそんな会話をしていると、彩香と奈緒は、二人を気にせず店屋に入って行った。


食事を楽しんで食べていたが、いつもは一番はしゃぐ耕太は、結局店を出てもおとなしいままであった。


13時、正面玄関から病院に入る。

面会受付窓口で受付した僕達は、祐輔が入院している3階の303号室に向かった。


彩香「あっそうだ祐輔に水買ってきてと頼まれていたんだ。ねえ耕太、売店まで付き合ってよ。奈緒と勝利は、先に行っててくれる」

奈緒「分かった。勝利行くよ!」

勝利「何だよ、偉そうに」

奈緒の後をついて行った。


彩香と耕太は売店に向かって歩き出す。

彩香「耕太、辛いよね。」

耕太「まあしょうがないよ。分かってる事だから」

「それにしては、いつもと違う感じだけど?」

「まあな、中学の時は部活に奈緒が居なくて、気にならなかったんだけど、夏休みだと朝から晩まで一緒だから、気にしない様にしてても気になっちゃうんだよ」

「それは辛いね。」

「勝利の夢が叶った時に、もう一度奈緒に告白すると言ったんだけど、そこまで気持ちを抑えれるかな?ちょっと心が折れかかってる。」

「普通に考えれば、夢が叶う可能性はゼロでは無いにしろ、かなり低いわよ。」

「まあな。でもその夢は、勝利だけでは無くてウチの選手全員の夢だから、それはそれで頑張るしか無い。でも奈緒への想いがどんどん膨らんできて厳しいよ」

「こればっかりは私が出る幕が無いから、手伝えなくてごめんね」

「彩香は、今はそんな事考えて無いで、祐輔の事だけ考えないとダメだろ。俺は何とかなるよ。」

「でも、本当に辛くなったら教えてね。力になれるか分からないけど、話を聞くことぐらいは出来るから」

「あ〜、ありがとうな」


耕太は、自分の気持ちを分かってくれる幼馴染がいる事で、落ち着かない心のざわめきが徐々に平穏を取り戻していくのを感じた。


勝利と奈緒が先に行った303号室に彩香と耕太も到着した。


祐輔「耕太、ありがとうな」

「おう、ところで復帰はいつだって?」


「完全に直るのは半年後の骨に埋め込んだ金属を取り除いてかららしい。でも来年の夏には治りそうだよ」

「そんなに掛かるのかよ?大変だな」

「まあしょうがないよ。でも足は使えないけど、上半身を中心に鍛え直すつもりだよ。」

「じゃあ筋肉ムキムキになるかもな」


彩香「あんまりムキムキになるのは嫌だな。」

祐輔「ボディービルダーみたいにはならないから安心していいよ。」


そんなたわいもない会話が続き

勝利「でも元気そうで良かったよ。」


一瞬、祐輔の顔色が変わるが、すぐに元の顔色に戻り「まあな、今のうちに勝利もレベル上げておけよ」


「分かった」


そして面会は終わり、続いて莉乃の病院に向かった。


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