アシュレイの第一手と、獣の女たちの包囲陣
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■読者様キャラ化企画、参加キャラ■
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アシュレイさん @AdVictoriamAsh
「命乞いをするなら今のうちだよ」
鈴芳の言葉にアシュレイは冷ややかに突き放した。
「あなたは盲目なのですね」
「なに?」
「自分が敵対している者の力量が見えていないと言っているのですよ」
そう告げると同時にアシュレイは一気に駆け出した。鈴芳目がけて一直線。緩やかに右下の方に下げていたレイピアを下から上へと振り上げる動きで鈴芳めがけて切りつけた。
鈴芳は両腕を自らの胸の前で交差させて、アシュレイが振るうレイピアを自らの武器である〝怪猫の爪〟で受け止めた。
その際の強力な斬撃に鈴芳はアシュレイの持つ武器の能力の一端を感じ取る。
「貴様の武器も身体強化系か!?」
アシュレイは冷酷に鈴芳を視界に捉えているだけで何も答えない。
「精術駆動! 狩りの狂走!」
その宣言と同時に鈴芳の動きもまた勢いを増した。精術武具の力で肉体が一気に活性化したのだ。より躍動的に。より野性的に、四肢で地面を駆りながらアシュレイに襲いかかる。
床を這うような低い姿勢から獣のような動きでアシュレイの胴体に襲い掛かろうとする。
だが、アシュレイはそれをやすやすと受け流す。彼もまた常人ばなれした加速された動きで、わずかに体軸を後方へとずらして鈴芳の動きを見切ったのだ。
「ちいいっ!」
立ち上がり、両手に握り締めた精術武具〝怪猫の爪〟を、拳闘での動きでアシュレイを殴りつけた。
しかしこれもまたアシュレイは涼しい顔で敵からの拳の動きをかわして見せた。体軸を後方にずらして拳打の動きを紙一重でかわし、レイピアの刃峰の根元近くで拳打を受け止める。さらにはレイピアを振り下ろす動きで鈴芳の拳を弾いて見せた。
「くそっ!」
その言葉に鈴芳の焦りが見え始めていた。その焦りを挑発するかのようにアシュレイは冷ややかに言い放った。
「肉体速度の活性率は〝15.3倍〟といったところでしょうか、まずまずの速度ですね」
そして今度はアシュレイの側から攻撃する。斬りつけるのではなくレイピアを〝突く〟動きで鈴芳を攻めていく。しかも、それまでよりも素早い動きでフェンシングのように突き攻撃を幾度も繰り返した。
「は、速い!」
鈴芳はアシュレイが保有する精術武具の能力は自分のものと同じ肉体機能の活性だと思っている。しかしながらわずかにその性能はアシュレイの物の方が上だという事を認めざるを得なかったのだ。
「おのれぇ! お前たち!」
鈴芳は周囲を取り囲み退路を塞いでいる残り9人の〝紅蜂〟たちに攻撃を命じた。
「襲え! 切り刻め!」
どんなに肉体機能の活性化で高速化を果たしたとしても複数同時の攻撃には対処は限界があるはずだ。
「これだけの数の刃、かわしきれまい!」
しかも襲いかかってくるのは素人ではない。黒鎖の精鋭女性部隊の紅蜂だ。その動きは素早く、しかも無駄がなかった。どう考えてもアシュレイにはこれをかわすための退路がないように見える。
「これぞ、輪獣の陣! 思い知れ!」
闇の世界に生きる彼らには、独特の戦闘ドクトリンがある。複数の人員で連携して、敵の退路を断ち、複数でなぶり殺すのだ。







