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奪回行動・非常戦闘Ⅳ ―カークの雷とバロンの炎―

 4人と4人がぶつかり合ったのはほぼ同時。

 そして勝敗もほぼ同時に決まった。4人の男たちの命運と共に。


 ひとつ――

 雷神カークとぶつかり合ったのは太い二の腕を持つ筋肉質の巨漢だった。

 右腕の力だけを頼りに握りしめた牙剣〝カークスの腕〟を振りかぶり一気に振り下ろす。


「精術! 大紅蓮波!」


 刃峰から噴出させた高圧の炎、剣を振り下ろすその勢いを狩ってかえの衝撃波となって一直線に解き放った。

 その正面にカークが立ちはだかっている。対するカークはすでに自らの愛用の精術武具を準備を終えていた。


【銘:雷神の聖拳】

【系統:雷精系】

【形態:両手にはめる籠手型の精術武具で打撃系の白兵格闘戦闘を主体として用いる。雷撃機能を持ち打撃時の放電から、広範囲に対する同時放電攻撃など、多彩な攻撃手段を有する。使用者が高い格闘戦闘のスキルを持っていることが前提となる上級者向けの精術武具】


 拳闘の構えの姿勢ですでに廃用の精術武具の機能発動の準備は終えていた。雷撃の聖拳の内部に雷力を蓄積しておいたのだ。完全に迫りくる炎の斬撃波に一切怯まずにカークは軽く左の拳でジャブを繰り出す。


「ふっ!」


 左の拳を短いストロークで素早く繰り出す。雷神の聖拳のナックルブレードが炎の斬撃波に触れた時、内部に貯めてあった雷力が解き放たれ凄まじい放電と共に炎の斬撃波を打ち消してしまう。


――バァアアアン!――


 そしてさらに間髪おかずに右の渾身のストレートを全身の力を込めて前方へと繰り出す。精術発動の聖句とともに。


「精術! 雷拳弾!」


 聖句とともに右の拳から放たれたのは拳の形に形成された雷のかたまりだった。高圧の雷球となって虚空を裂き飛翔する。


「ひっ!」


 筋肉質の男が怯む間もなく高圧の雷球は襲いかかる。その前進を恐るべき壊すの雷力が襲いかかり全身を一気に焼け焦げさせて男は後ろのめりに倒れこんだ。

 一撃のもとに打ち倒されたその男は気絶したのか死亡したのか指一本動かせずに微動だにしなくなる。カークは敗者に対して一瞥もしなかった。


 ふたつ――

 一本道のバロンと相対したのは比較的痩せたシルエットの中背の男だった。片手用の牙剣を手首のスナップを効かせながら横8の字に大きく素早く振り回す。


――ブォンブォンブォンブォン――


 刃峰が空気を切る音が激しく響く。

 対するバロンの愛用の武器は近接戦には不向きと思われる弓形の武器だった。


【銘:ベンヌの双角】

【系統:雷精風精系】

【形態:500年以上前から伝わる非常に歴史の古い弓形の精術武具、雷精と風精の2つの属性に対する同時適正が必要となる使用者を非常に選ぶ精術武具。しかし適正を持ちベンヌの双角の力を余すところなく引き出すことができれば恐るべき高機能な武器となる】


 その右手にベンヌの双角を握りしめていたバロンだったが敵の武器の動きを慎重に見極めていた。

 そして奇しくも両者同時に精術を発動させたのだった。


【精術! 旋回火炎!】

【精術! 吐竜火息!】


 どちらもが遠くへと火炎放射をする技だった。炎に炎をぶつけ合うのであれば決着は容易にはつかないはずだった。しかし――


「ぐぁっ!?」


 悲鳴をあげたのは中背の男の方だった。

 バロンがベンヌの双角で放った紅蓮の炎の方が勢いも速度も密度も温度も全てが上だった。単に炎の渦をつくり上げただけでは古の武器の持つ力を上回ることができないのだ。

 それはまさに竜の吐く息、人間の存在を変える伝説の獣の力。ベンヌの双角の中心部分から噴き出した高密度の炎、それは火精だけでなく風精の力も加わっていたことが圧倒的な差が生まれた要因だった。

 全身を炎に包まれてのたうちまわるその男を尻目にバロンは言い放つ。


「精術武具の力を引き出すのはひたすら経験あるのみ」


 付け焼き刃で戦える世界ではないのだから。


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