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新・旋風のルスト ―英傑令嬢の特級傭兵ライフと精鋭傭兵たちの国際精術戦線―  作者: 美風慶伍
第7話:仲間との絆 ―最悪の蹉跌と再起への道―
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イリーザ打ち合わせⅡ ―ケンツ博士への方針と『黒鷹』からの念話―

 そこにドルスがつぶやいた。


「当然だな。敵さんたちに人質を取られた状態で思い切った行動は取れなねえからな」

「その通りです。はっきり言ってしまえば現在の状況から言ってケンツ博士に対して同情的な価値観を持っている人間はほとんどいないでしょう。ですがその奥さんや娘さんとなれば別です。問題に関わりの薄い、罪の無い人間が人質に取られている。そういう状況が一番心理的に抵抗感が広がりやすいのです」


 カークさんが頷く。


「心得た。一刻も早く所在を突き止めよう」


 彼の言葉の後にパックさんやゴアズ・バロンさんもはっきりと頷いていた。


「よろしくお願いいたします。さて次にドルス・ダルム組ですがこちらはケンツ博士の現在位置把握をお願い致します」


 私の言葉にドルスが尋ねてきた。


「それは構わんが、ルスト隊長はどうするんだ?」

「私とプロアは、首都オルレアでもうひと押しケンツ博士についての調査活動を行います。それとイベルタルでの最終決戦に向けて準備しておきたいものもありますので」


 ダルム老が納得したように頷いている。


「なるほど、その間、ケンツ博士から目を離すな、ってわけだな?」

「はい、そういう事です。私たちは今後、以上の4つの組に分かれてそれぞれに行動することになります。行動中のそれぞれの連絡についてはシュウ女史の水晶宮にて連絡の仲介をしてくれるそうです。各自、こまめな定時連絡をお願い致します」


「了解!」


 私の指示に7人のメンバーは声を合わせて一斉に答えてくれた。私がその光景に安堵していた時だった。


「――――――!?」


 私の脳裏にシグナルが鳴った。これは〝念話装置の入感シグナル〟だ。


「ちょっと失礼」


 みんなに一言断って私は念話装置を取り出した。

 あの手のひらサイズのクリスタルプレート製の小型念話装置を取り出した。そこに表示されていた発信者番号は見知った番号だった。


「局長?」


 驚き戸惑いつつ念話装置を操作して接続を繋ぐ。そして私の脳裏に建物できたのはあのブリゲン局長の聞き慣れた声だった。


『ルスト、聞こえるか?』

『はい、こちらルスト。聞こえます』

『今何をしていた?』

『これからの行動の打ち合わせです。イリーザの全メンバーを加えて、ケンツ博士の保護目的での身柄拘束と、彼の妻子の発見と保護を発令いたしました』

『そうかそれなら都合がいいな』

『は?』


 意表をつかれて驚く私に曲調は言った。


『ルスト、お前〝中継〟はできるか?』

『はいできます。イリーザ全員ですね?』

『そうだ。複数並列中継になるが頼むぞ』

『了解です。それではみんなに繋ぎます』

『ああ』


 私はみんなの方を眺めながらこう告げた。


「みんな、今から中継するわね。ある人が私たちと話したがってるから」

「おいそれ一体誰だよ?」


 問いかけてくるドルスを軽くスルーしながら私は全員との間の念話中継を開始した。


――pulsendi(中継)――


 小型念話装置の画面を触れてコマンドを操作する。しかるのちに念話の一斉中継は始まった。


『極めて有能かつ、国家に対して揺るぎない忠誠心をもつ、イリーザ部隊員の諸君、改めて名乗らせてもらおう。フェンデリオル正規軍防諜部第1局局長を務めるブリゲン・ユウ・ミッタードルフだ』


 その名乗りに少なからずみんな驚いていた。


『な――、く、黒鷹?』

『ほう? 覚えていてくれてるか、ドルス。正規軍を辞めても兵器工廠の連中と色々やってるそうじゃないか』

『ご存知なのですか?』

『ああ、先だっての中規模組織の制圧作戦でお前さんがライフル小銃部隊を誕生させたということもな』

『そこまでご存知であれば光栄です』

『これからもよろしく頼むぞ』

『はっ!』


 そして次に声をかけたのが――


『ダルカーク』

『はっ!』

『相変わらず返事はいいな。声の感じからしてお前さんは昔と変わってないようだな』

『はい、この生き方しか知りません』

『それでいい。これからもルストを頼むぞ』

『はい、お任せください』


 ここでさらに全員に対して問いかける。


『積もる話はあるが、それはここから先の大きな問題を解決してからにしよう。さて、まず最初に諸君らに詫びねばならない。諸君たちの隊長を単独で任務を与えて行動させて、結果としてイリーザと言う部隊全体を混乱させてしまった。これは君たちの相互信頼の深さを読み誤った私のミスだ。本当にすまない』


 局長の詫びの言葉を聞いて皆がそれぞれに反応した。


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