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新・旋風のルスト ―英傑令嬢の特級傭兵ライフと精鋭傭兵たちの国際精術戦線―  作者: 美風慶伍
第1話:特別幕:軍外郭特殊部隊イリーザ、強制制圧作戦
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傾注せよ、認識せよ、そして行動せよ

傾注(フォークス)!』


 私が、念話回線にむけて告げたその言葉と同時に、全員の意識が私の声へと集まるのを感じた。それに向けて私は告げる。


『作戦開始直前の最終確認を行います。聞き漏らしは命に関わるので注意するように』


 まずはここから始める。そして、説明本文に入る。


『これより軍外郭職業傭兵特殊部隊〝イリーザ〟と正規軍軍警察合同による、密輸組織〝闇夜のフクロウ〟の活動拠点の制圧行動を行います。まずは制圧目的です』


 説明は手短に、そしてわかりやすく段階を追って告げる。


『〝闇夜のフクロウ〟は我が国の重要軍事兵器である精術武具を海外へと密輸しています。その目的は投機対象ですが、最近になり分解解析へと目的が変化してきました。その密輸量もかなりの大規模であり、これ以上の看過はできません。この密輸の流れを断ち切り組織を壊滅させるのが今回の行動目的です』


 次にこの目的にともなう行動条件だ。


『それにともない、密輸の阻止と、組織の復活の可能性を完全に断つことが条件となります。アジト内からの物資の持ち出しは完全阻止が必要なのはもちろん、そのためならば制圧対象の殺害も承認します。組織の構成員には一切の情状酌量は不要です。たとえ未成年であったとしてもです』


 私の断言する口調に息を呑むのが伝わってくる。

 犯罪組織は制圧されたときのことを考えて、情状酌量を引き出すために未成年者や児童を巻き込んでいる場合もある。その犯罪要件の重要度にもよるが、組織犯罪への加担は未成年者であっても、厳罰に処されるのが私の国の鉄則だった。

 わたしはその理由を述べた。


『そもそも大前提として、精術武具は我が国フェンデリオルの軍事防衛上の最大の重要要素です。これまでにも海外流出の危険を全力で阻止してきました。だがここにきて、精術武具の密輸よりも、精術武具の構造解析に敵対存在の目的が移りつつあります。今回はその状況に則った上での制圧作戦となるわけです』


 私は最も重要な部分を述べた。


『収奪された密輸品を取り返して終わりではありません。たとえ部品だけでも、かけらだけでも、国外に不当に持ち出すことは万死に値する重罪だということを、密輸犯罪者に対して対外的にも知らしめる必要があります! これを果たしてこそ、これから先の治安維持が果たされることになるのです!』


 はっきり言おう。これは見せしめだ。だが時には世の中に必要な見せしめだ。

 そしてわたしは告げた。


『今回の案件はその〝試金石〟です! 失敗は許されません!』


 私の断言する口調を咎める者はいなかった。

 全員の同意を認識しながら行動手順の説明に移った。


『まず、狙撃班により制圧拠点周囲の警戒人員を排除します。次に、ルドルス準1級傭兵率いる正面制圧班により正面入口からの突入を敢行します。まずこれが第1段階』


 正面からの制圧行動、だがそれだけでは終わらない。


『ですが正面制圧は敵の動揺を引き出すためのオトリです。もう一つの実働部隊である裏側強行突入班が混乱する敵の本隊を突きます。こうして敵の反撃を封じた上で密輸対象となっている精術武具関連の物資をすべて押収します』


 そして別働となるもう二つの存在に指示を与えた。


『この他、街道監視の2班、狙撃班、この三つは制圧行動実行中も監視を怠らないでください。予想外の形で逃走ルートがすでに確保されている可能性を十分に考慮して適時判断してください』


 そして私は念を押すように言い含めた。


『第1目標は密輸物資の完全押収、第2目標は密輸実行犯の完全制圧です!』


 私はさらに言う。


『一昨年のワルアイユ動乱事件以降、我が国は不安定な状態が続いています。今ここで密輸事件の拡大を許せばさらなる治安不安が広がることになります』


 1年前、私の国には国防上の重大不安となる大事件が起きていた。それ以後、この国は休まることがなかった。


『これ以上国家と社会に不安を広げるわけにはいきません』


 私は皆の奮起を促すためにこう叫んだ。


『これは〝鉄槌〟です! 我々の国を守るための!』


 私は周囲を伺った。皆の表情は真剣であり、この作戦が意味するところを誰もが理解してくれてるのがよく伝わってくる。

 私は命じた。


『これより、軍外郭職業傭兵特殊部隊イリーザと正規軍軍警察合同による、密輸犯罪組織制圧作戦の実行に移行します!』


 今回の作戦は二つの異なる部署の合同任務だった。

 作戦行動の主体は、私エルスト・ターナーが率いる〝軍外郭特殊部隊イリーザ〟であり、正規軍の軍警察派遣部隊がその指揮下に入ることになる。

 作戦の実行は、私の名前と責任において進められることとなる。


『指定時刻23時45分(フタサンヨンゴー)時、狙撃班による周囲警戒役3名排除を合図に第1段階開始してください』


 私のその言葉に二人が声を返してきた。


『狙撃担当了解』

『正面制圧担当了解』


 私は彼らに明確に告げた。


『それでは、各員の奮起を期待します』


 今こそ賽は投げられたのだ。


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