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新・旋風のルスト ―英傑令嬢の特級傭兵ライフと精鋭傭兵たちの国際精術戦線―  作者: 美風慶伍
第1話:特別幕:軍外郭特殊部隊イリーザ、強制制圧作戦
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指揮官ルストの通達と作戦意義

 まずは正面突入班のドルスだ。


『正面突入、聞こえますか?』

『こちら、ドルス。聞こえる』

『正面突入部隊の〝掌握状況〟は?』


 掌握状況――

 すなわち、それぞれの部隊長が配属された部下を人心掌握して、いかに支配下に置いているかを判断するものだ。当然ながら部隊の掌握が失敗していれば、くだされた指令通りに動かない場合は考えられる。


 正面突入部隊には、私の部下の一人であるドルスが配置してある。かつては正規軍にて最前線部隊の大隊長まで勤めていたことのある男だ。彼ならこれくらいの人心掌握は手慣れたものだろう。

 その自信のほどが伝わってきた。


『ばっちりだ。いつでも動かせるぜ』

『了解です。最高の突入を期待します』


 次は狙撃班、狙撃を一手に引き受けるのは私の部下の一人でバルバロン1級傭兵だ。弓による狙撃ではかなう者はいないとまで言われる人物だ。今日のような任務にはうってつけだった。


『狙撃準備は?』

『いつでも行けます』

『不当に逃走するものがあれば、これを確実に仕留めてください』

『了解』

『よろしくお願いいたします』


 残りの顔ぶれは私と一緒に行動を共にしていることになる。

 さらに正面突入班から、ドルスの声が聞こえてきた。


『先ほど街道筋の監視班から報告のあった、組織のナンバー3の男は建物の中に入っていた。周囲警戒に3名ほどが残留している』

『了解しました。不安要素を排除します』


 そして私はさらに指示を出す。


『狙撃班、聞こえますか?』

『聞こえている』

『正面突入班の支援です。3名が倉庫施設周辺で警戒に当たっていますので、のちほど狙撃で排除してください』

『了解』


 本来であれば位置関係的にバロンからは見えない部分もある。だが、彼の場合はその心配は無用だった。

 私はその後の行動を組み立ててそれを全員に通達するべく、傍らに控えている通信師の女性に声をかけた。


「テラメノ通信師、全域通信をお願いします」

「事前に指定のあった連携伝達ですね?」

「はい、制圧対象にさとられないように注意してください」

「了解しました。準備します」


 私の国には人間の思念を送って意志や言葉を伝える念話というのが存在する。

 その念話を機械装置である〝念話装置〟を介して、正確に通信する技量を持った人を〝通信師〟と呼んでいる。

 れっきとした国家資格であり技術試験も存在する。


 彼女〝テラメノ・アンクリス〟は、かつては私と同じ元傭兵であり、通信師としては最高位の1級を取得している。1年半前にある事件で知り合い、それ以来、様々な任務に同行してもらっている。

 長い黒髪が特徴的で、ナイフを得意な獲物としている独特の鋭さの有る女性だ。


『こちら指揮官付属通信師、全域通達を開始します、各班念話中継伝達領域を慎重に指定してください』


 彼女のその宣言とともに、他の班の通信師が対応する。それぞれから準備完了の報が入ったのを確認したのか、テラメノが私に報告をしてくれた。


「ルスト隊長、通信いつでも行けます」

「ご苦労です。それではお願いします」

「了解、念話全域送信、開始します」


 そう告げてテラメノは肩から肩掛けカバンのように下げている通信装置を操作した。

 私の声を複数の通信師を中継して、今回の作戦に参加している全員に伝えようというのだ。


 本来であれば通信対象となる念話装置の固有番号を入力指定してから通信となるのだが彼女が用いているのは軍用だ。耐久性が高い上に、その都度通信固有番号を入力せずに、番号が刻まれた板状の設定キーを事前にセットしておく。これを操作することで高速に回線選択ができるのだ。

 彼女が私の声を、他の班の通信師に伝達、そしてその通信師の周囲に居る隊員たちに伝達する。


 準備が整ったことを認識して、私は声を発する。

 さぁ、いまこそ始めよう。

 悪しきを征する戦いを。


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