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緊急招集Ⅴ ―ラコント、念話装置を調達する―

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■読者様キャラ化企画、参加キャラ■

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加純様【リサマイン・プレーツォ】

譚月 遊生季様【ラコント・ルーノ】


「失礼いたします。念話装置ブローカーのラコントと申します。ご希望の可搬式の小型念話装置を5機、お持ちしました」


 その彼女にプロアがねぎらいの言葉をかける。


「急な頼みになってすまないな。こう言うのはお前しか頼めないからな」

「大丈夫よ、こう言う〝裏の依頼〟は大抵が急を要する物だから。いつでも出せるようにストックしてあるのよ。一世代前のものだけど持ち運びには苦労しない大きさだし、耐久性もあるから落としてもまず大丈夫よ」


 そう言いながら革製のケースを開いて中の物を取り出す。そこから現れたのは軍用の念話装置だった。明らかに軍からの放出品だった。それをみてカークが驚く。


「これ、正規軍の正規仕様品じゃないか?」

「はい、余剰生産分を処分する際に、裏から手を回したんです。蛇の道は蛇、色々とツテがあるんで」


 あっさり言い切る言葉に絶句するカークにラコントは言った。


「あら? もしかしてこちら、軍人さん?」


 それをプロアが口添えする。


「元だ。なぁ、カークの旦那、悪いが状況が状況だ、他言無用でたのむぜ」

「あ、あぁ――」


 お硬いカークとしては軍の装備品がこうもあっさり流出している事に納得がいかないのだろう。だが、ラコントは説明する。


「裏社会で念話装置を非合法に流通させるには、軍の非正規放出品が都合が良いんです。丈夫だし何より〝分解不可能〟なんで」

「どういうことだ?」

「一般品は修理をする必要があるため、非合法運用すると国外に持ち出され分解解析される可能性が高まります。なにより複製の危険性がある。でも、軍用品は不当に分解すると必ず破損するように作られてます。万が一、国外に持ち出されても念話装置の仕組みが流出することはありませんから」

「そこまで考えているのか」

「えぇ、闇業者とはいえ、これでも最低限の道義はわきまえてるので」

「判った。不快な思いさせてすまない」

「いえ、お気になさらず」


 ラコントも自分の専門分野では様々な人間を相手にしていた。この程度の対処は慣れたものだった。

 

「取り扱いの説明をはじめてよろしいでしょうか?」


 ラコントの言葉に皆が頷いて、ドルスが答える。


「頼む」

「はい」


 そして、少し大きめの1台と、持ち運び可能な4台とに分けて説明を始めた。


「これはそもそも、複数の小隊規模の連携運用のためのモデルです。大型の据え置きが中隊指揮官の物で、小型が前線の各小隊に1つづづ分配されます。通信は必ず、親機の指揮官機と、小隊用の子機との間のみにて運用されます。そして重要なのが、小機に対しては、一般的な念話装置回線の個別番号が適用されないという事です」


 そこにゴアズが問いかける。


「つまり、外部回線と通信できるのは親機のみで、全体としては親機と子機とで1セットとなると言う事ですか?」

「そう言うことです。子機自体は不特定多数の他の念話装置と通信するわけではないので番号は限定なんです」

「なるほど」

「ご事情をお聞きして、仲間内での連絡専用であればこのタイプの方が都合がいいでしょうから。ただし、子機と子機の間では通信はできないので、その際は親機担当の方が仲介してください」

「わかりました」


 説明が終わって、運用方法も決まる。子機が1番がパック・ゴアズ組、2番がドルス・バロン組、3番がプロア・カーク組、4番がダルムという事になった。親機を運用するのは、中継担当となるリサが運用することとなる。念話装置を持つのは風精に適正のあるゴアズ、バロン、プロア、そしてリサと言う事になった。ダルム老は適正は不明だったがテストしてみたところ出来そうなのでそのまま預けることになる。

 最後にプロアがラコントにある事を求めた。


「ラコント、俺たちがここで念話装置を運用している事は他言無用で頼む」


 すこし神経質にすぎる要望だが、ラコントは軽くため息を付いた。


「当たり前じゃない。裏社会で商売するなら口の堅さは最低限の条件よ? 私が何年この商売やってると思ってるの?」


 そのやり取りをダルム老が感心したかのように告げた。


「商売をする上での〝仁義〟ってやつだな」

「えぇ、信用を失ったら命を失いかねないので」


 それもまた裏社会の真実だ。


「悪い、言い過ぎた」

「良いわよ別に。のっぴきならない事情があるのは分かるから。それと、なにか不具合や問題が起きたらいつでも言って、サポートするから」

「その時は頼む」

「ええ、それじゃ、私はこれで」


 そう告げると、再びマントコートを羽織り、顔を隠してラコントはその場から去っていった。

 そして、それぞれに割り振られた念話装置を手にして互いを見つめ合う。

 指揮を執るドルスが言う。


「準備はいいな? 何があってもルストを守り、問題の拡大を防ぐぞ!」


 その言葉に全員が無言で頷き合う。そして、ドルスが号令をかけた。


「行動開始!」

「了解!」


 そして号砲一発、彼らは一斉に行動を開始した。

 これから続く、長い夜の始まりだった。


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