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新・旋風のルスト ―英傑令嬢の特級傭兵ライフと精鋭傭兵たちの国際精術戦線―  作者: 美風慶伍
第4話:北の街イベルタルにて(前編) ―ルスト、夜の女帝と再開する―
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食宴 ―Ⅰ― 主催挨拶と参加客紹介

━━━━━━━━━━━━━━━━━

■読者様キャラ化企画、参加キャラ■

━━━━━━━━━━━━━━━━━

シュウ・ヴェリタス 澁澤まことさん

アシュレイ アシュレイさん

――に加えて


ガフー・アモウ 天生諷さん

バナーラ・カラコルーモ 平凡なカラコルムさん

艮大門ゲン ダーメン daimonさん

颯蓬鬆サー パンソン もふもふ大好きさん

ゾン 我六ウォリィ 曽我 二十六さん

カーヴァ パトロ かばパパさん


以上、ご登場いただきました!

 水晶宮の邸宅の中を歩く。

 広い廊下を歩き、大きな扉の前に私たちはやってきた。

 前に立って私たちを導くのはアシュレイさんで、扉に近づくと入り口の左右に控えていた警護役が扉を開けてくれる。

 それを横目に私たちは扉の向こうへと歩いていく。


 数歩歩いて扉をくぐった少し先で再び立ち止まる。

 私たちを引率していたアシュレイが声高らかに大声で称えたのだ。


「食宴にご参加の皆様に申し上げる。当邸宅支配人シュウ・ヴェリタス様、並びに、昼食会主賓エルスト・ターナー様、ご到着になられました」


 朗々ととなえた声が辺りに響く。

 扉の向こうは祝宴場となっており、部屋の中央に巨大な丸テーブルが添えられていて、その上に見事な料理が山と並んでいた。


 部屋の中には7名ほどの人物が先に到着していて雑談をしながら主賓たる私たちが来るの待っていてくれていた。

 その顔ぶれは老いから若きまで実に多彩だ。彼らを眺めながら祝宴場の中へと私たちは歩いて行く。

 程よい距離で相対すると私とシュウさんは足を止める。先に声をかけたのはシュウさんだった。


「みんな、待たせたね。紹介するよ。この子がその昔〝プリシラ〟って呼ばれてた娘だよ」


 するとシュウさんは私の背中をそっと叩いてくれた。発言を促されたので私は自ら名乗った。


「失礼いたします。お招きにあずかりましたプリシラこと、エルスト・ターナーと申します。故あってその昔、シュウ様のもとで働かせていただいておりました。改めてよろしくお願い申し上げます」


 その後、私は頭を下げて会釈する。

 そこから先、参列者の皆さんをシュウさんが紹介してくれた。


「ここから先は私が紹介してやるよ。みんなこのイベルタルの街でそれぞれに重要な役目と仕事をしている人々だ。あんたが名前と顔を覚えていても損はないからね」


 そう言いながら私と彼らを交互に視線を投げかける。最初に指し示してくれたのは壮年のフェンデリオル人の男性だった。

 髪はダークブロンド、クラバットとルタンゴトコートと言う標準的な装いの人物だ。顔立ちにどことなくフィッサール系の東方的な印象がある。


「貿易商人にして文筆作家をしている〝ガフー・アモウ〟さん」


 紹介されて軽く会釈しつつ挨拶を名乗ってくれる。


「よろしく」

「よろしくお願いいたします」


 次いで30代の半ばくらいのフェンデリオル人だろう、ブロンドヘアの立派な体躯の紳士が佇んでいる。服装はジャケット姿にネッカチーフが目に鮮やかだった。


「貿易商人にして、イベルタルの商人ギルドの連合会会頭次役を勤めている〝バナーラ・カラコルーモ〟さん」


 落ち着いた佇まいの中にみなぎる自信が溢れるような人物だった。彼は自ら進み出て右手を差し出してきた。


「よろしく!」

「よろしくお願いいたします」


 差し出された右手に私も握手で返した。


 さらにその次、ルタンゴトコート姿だがその丸々としたシルエットからいかにもユーモラスそうな気配を漂わせているフェンデリオル人の中年男性がいる。やや薄くなりかけの髪はブラウンヘアで相性の良さそうなニコニコとした顔が印象的だった。


「イベルタル娼館・酒楼業連合協会会長をしてらっしゃる〝カーヴァ・パトロ〟さん」


 私はこの人には強い見覚えがあった。


「お久しぶりです!」


 向こうから陽気な声が返ってくる。


「カーヴァさん! お久しぶりです。いつぞやの騒動の時、以来ですね」

「はい、2年半前に花街を襲った梅毒騒動以来ですね。あの時は本当にお世話になりました。プリシラさん――、あ、いえ、今はエルストさんでしたか。改めてお礼を言わせていただきます」


 ある事件で私はこの街の花街の女性たちを救った。彼はそのことを未だに覚えているのだ。


 そしてさらにその隣、そこから3人ほど東方系の異国人の顔ぶれが続いた。

 まずは3人の中で一番年かさが上の30台半ばほどの人物。落ち着いた佇まいの中に研ぎ澄まされた鋭さのようなものを感じる。そんな人物だった。

 フィッサール領ではよく見られる漢服の平常服に身を包んでいる。道袍(ダォパオ)と呼ばれる道衣で宗教家や武術家などが好んで着る物だ。


「武術師範にして、東洋医学師をしてらっしゃる〝艮大門(ゲン ダーメン)〟先生」


 東方人の尊称としての〝先生〟と言う呼び方は、私たちが〝〇〇氏〟と尊敬を込めて呼ぶやり方に近い。決して職業の教師を意図しての呼び方ではない。

 彼は握った右手を左手で包む抱拳礼(ボウチェンリィ)で謝意を示してくれた。


「はじめまして。あなたと出逢えたご縁を天に感謝します」

「こちらこそ、お会いできて光栄です。これからもよしなに」


 丁寧な言い回しと、その落ち着き払った仕草は私の部隊の中の一人の人物を想起させた。


 その次の残る二人の東方人は、いずれも裾の長い丹精な漢服に身を包んでいる。濡れたような黒髪が印象的だった。

 二人とも年の頃は二十歳そこそこだろう。若いながらに一定の地位を築き上げている実力者の気配を醸し出していた。

 二人の中で歳の上の印象の方が先に紹介された。


「東方系民族の互助組織である『華人協会』の支部代表代行を勤めてらっしゃる〝曽 我六(ゾン ウォリィ)〟先生」


 民族互助組織の指導者的立場ということらしい。人を導く立場の人物ということでその佇まいは穏やかであり語り口も柔らかかった。


「お初にお目にかかります。(ゾン)と申します。お見知りおきを」

「よろしくお願いいたします」


 彼は、太めの筒状の両袖を向かい合わせにする漢服ではよく見られる仕草で挨拶の意思を示してくれている。


 曽さんと挨拶を交わした後、次に同じ東方人に向かう。

 服装は漢服だが、その印象が研ぎ澄まされた刀のようなクールな印象をはらんでいる。その気配からただの一般市民とは思えない剣呑さのようなものを感じずにはいられない。


「こちら、華人協会の易占師をしていらっしゃる〝颯 蓬鬆(サー パンソン)〟先生」


「よろしく」

「よろしくお願いいたします」


 穏やかな笑みで会釈をしてくる。私もそれに会釈で返す。一見して気持ちを開いてくれているように見えるが前の二人とは異なりその手で挨拶を示すようなことはしない。自らの心の内を明かしてはいないのだ。これは失礼ながら要注意人物と捉えるしかないだろう。


 そして最後に控えているのが、私を出迎えてくれたアシュレイさんだった。


「アシュレイの顔と身の上はもうわかってるわよね?」

「はい、しっかり覚えております」


 それで私は改めて挨拶をする。


「よろしくお願いいたします」

「こちらこそ」


 こうして7人の顔ぶれの紹介は終わった。


「それでは皆様、お席にお着きになられてください」


 アシュレイさんの声に導かれるようにしてそれぞれがそれぞれの指定された席へと座った。私は主催であるシュウさんの右隣と言う栄誉ある席順を頂いた。

 そして招待者の彼らを交えての昼食会が始まったのだった。


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