幻の4階
学校の怪談ものです!
短編のつもりなのでお暇な時に軽くどうぞ
―「神凪先輩知っていますか?こんな話
うちの学校の3つならんだ校舎の真ん中の校舎って3階建てじゃないですかぁ…
しかし実は幻の4階というのがあり、夕方5時に現れる階段を上りそこにたどり着くと×-A教室で学校に留まっている死者たちと共に授業を受けることが出来るのだとか」
黒くショーカットにした綺麗な髪と少しブカブカなブレザー型の制服の袖を揺らしながら後輩…大道寺 幸は私…高校2年の神凪 桜に話しかけてくる
正直毎日のようにこのような怪談を聞かされている
しかし、私はこの手の話に目がなく聞くとワクワクさせられてどのような不思議な話だろうと興味のままに確かめに探検しに行ってしまうのだ
酷い時など学校の裏山にあると言われる大きな横穴を、そこで切腹をしたという戦国武将の幽霊を見るために夜11時まで探し回り結局見つけられずに泣く泣く家に帰り両親に心配したと叱られたこともある
この後輩は恐らく毎回私をからかってデマを吹き込んで遊んでいるのだろうが、私は暇つぶしが出来るので少し奇妙だが利害が一致していると言ったところだ
「はいはいきたきた、死者と授業を受けられる…
しかもその後無事に帰ってこられるか分からないとなっちゃ、余計にワクワクしてくる
確かめなくてはね」
私は簡単にまた真偽を確かめるためにその情報に乗る
今までの話は全部嘘でも1個くらいは真実があるかもしれないというスタンスでいつも望んでいる
「神凪先輩ならきっと信じてくれると思っていましたよ
それでは、確かめたら結果教えてくださいね〜」
そう言うとまた少しブカブカ気味の制服の袖をゆらゆらと揺らしながら幸はどこかへ行ってしまった
「さて…本当に帰ってこられなくなった時のために遺書でも書いて自分用ロッカーに入れておきましょう
無事に帰って来れたり何も無かったらビリビリに破いて捨てるけれど」
私はそう決意すると時間を潰すために所属している美術部の部室へと向かう
そんな時だった
「あれ?神凪先輩、今日もまた探検っすか?」
少し低めで陽気な声が聞こえたと思えば面倒な後輩がまた1人
間島 健吾それが彼の名前だ
彼とは1歳差で中学生時代から同じ学校で、よくこうやって冷やかしに来たり意味もなく話しかけてきたりする
しかし、中学生時代の面影はもうあまりない
髪は茶髪に染めているし日に焼けて肌が褐色になっていて、身長も少し伸びて今は180くらいだろう
そして、今も昔も頭が少しばかり残念だ
…っと、彼の話は今は置いといて返答する
「そうよ、また幸から変な噂聞いてしまって
あなたも良ければ来る?」
するとすぐに返事が返ってきた
「いや、無理っす!俺怖いの大の苦手で!
あっ、でも興味はあるんでもし本当だったら話し聞かせてくださいね
後、なんかあったら呼んで貰えりゃ直ぐに助けに行くんで!
…ところでずっと思ってたんすけど、幸って誰です?」
私は同じ学年のはずなのに幸の事を知らないのかと少し不思議に思ったが、まぁこれだけ生徒がいれば仕方ないかと気にしないことにした
そして、私は心強いよありがとうと適当にお礼を言ってその場を去った
―5時、中央棟3階にて
「よし、この階探索したけど今日も何も無かったわね」
ワクワクした気持ちも少し落ち着き、残念ながらも生きて帰ってこれたという達成感とともに下に降りる階段へと向かう
すると
「…なにこれ、さっきまで無かったのに上へ行く階段が出現してる…」
そう、不気味ながらも夕日が反射した神秘的ですらある幻の4階への階段が目の前にあった
「…登ってみよう!」
少し恐怖はしたが好奇心が勝ってしまい、私は1歩また1歩と階段を登り出す
―そして、念願の4階へと到着…
「特に変わった様子はないわね…
強いて言うならば3階をそのまま複製した感じなのが気になるかしら」
辺りを見渡してみると、3階の廊下にもある本棚やその上の植木鉢、それに手洗い場などがそのままあった
そしてお目当ての
「これね、× -A教室…」
私はゆっくりと教室へ近づいていき、ドアを開けた
ガラッ
―「待ってましたよ、先輩」
そこに居たのは大道寺だった
それに
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