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第24話
奏が探るような眼で自分を見ていることは感じていたが、フレイには話せることが少なく、黙っているほかなかった。
リゼットは奏を反省させるために一芝居打つことにしたようだ。
フレイはリゼットに協力をしているが、詳しいことは知らされていない。
役割を交代したのだから騎士団にいるのだろう。そこで何をしているかは皆目見当もつかない。
フレイの役目は、奏がリゼットの邪魔をしないように足止めをすることだ。
少しでも元気になれば、リゼットを探しはじめるかもしれない。その懸念はフレイにもあった。
だから、こうして慣れない真似をしているという訳だ。
最初こそ慣れない仕事に手間取ったが、慣れてしまえばなかなか楽しい。案外自分には合っている。
フレイ自身は、一度怒りを吐き出したことで落ち着きを取り戻していた。
けれど、リゼットはまだ怒りが継続中のようだ。その後の報告はまだない。
どっちにしても、リゼットの怒りが収まるまではこのままなのだから、この状況を楽しむつもりだ。