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相正悟~杉山健二の冒険~  作者: 陶山雅司
8/9

田中対健二

 やっと家にたどり着いた健二が玄関のドアを開けると


 見慣れない革靴があった


 健二は急いで家の中に上がり、居間へのドアを開けた


 居間では田中がライアンの上に覆いかぶさっていた


 「誰か助けて」


 とライアンは叫んだ


 「何をしている」


 と健二は叫んだ




 田中は起き上がった


 「健二か」


 と言って健二に向き直った


 

 「田中キサマ」


 健二は叫んで田中に殴り掛かった


 田中はサッと身をかわし


 健二の腹を殴った


 「健二さん」


 とライアンは叫んだ


 健二は倒れた、が、田中を睨みながらまた起き上がった




 田中は今度は健二の顔面を殴った


 健二はまた倒れた




 「やめて」


 とライアンが田中の腰にしがみついた


 

 だが田中はその細い体からは想像も出来ないような力で


 ライアンを振りほどいた




 そして起き上がった健二をまた殴りつけた




 「ライアン、こんな弱いやつの方が私よりいいのか」


 と田中は言った


 「私は全てにおいてこいつより優れている」


 と田中は言った



 「あなたは邪悪よ」


 とライアンは言った


 「だが強い」


 と田中は言った


 「ライアン、お前はもう私の女だ、今からは全ての願いをかなえてやるぞ」


 「いやです」


 とライアンは言った




 健二はまた起き上がった


 ライアンがそばに駆け寄る


 「健二さん、あなた何処に行っていたの」


 とライアンが聞いた


 

 「こいつにつかまっていたんだ」


 と健二は言った


 「私が警察を呼びます」


 とライアンは言った




 「ライアンが私を呼んだんだ」


 と田中は言った



 「私はライアンに誘惑された」


 と田中は言った


 「田中が私を襲ったのよ」


 とライアンは言った


 「ライアンが私を誘惑するのを見た人間がいる」


 と田中は言った


 「俺を閉じ込めたことはどう説明するんだ」


 と健二は言った


 「健二が私のマンションに泊まりに来たんだ」


 と田中は言った


 「俺を殴ったことはどう説明するんだ」


 と健二は言った


 「正当防衛だよ」


 と田中は言った


 「そんなことなかったわ、私が見てたわ」


 とライアンは言った


 「10日前、田中のマンションに泊まらせてくださいと頼んだのは杉山健二だ、俺たちが見ていた」


 寺尾とモクが部屋に入ってきた


 「キサマら~」


 と健二は言った




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