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脱出
「なああんたたち」
健二は背の高い男と、太った男に呼び掛けた
「俺を出してくれ、金はいくらでも払う」
「俺たちは金では動かない」
と背の高い男が言った
「心配ない、全部面倒見てあげるから」
と太った男が言った
そこから数日、健二にとっては思い出したくもない日々が続いた
太った男はモクと言い、変態だった
背の高い男は寺尾と言い、強いらしかった
ある日健二はモクに対して
「今度は俺がお前の面倒を見てやるよ」
と持ち掛けた
今、牢に入っているのはモクの方だった
健二は自分のポロシャツとジ-パンを着た
だが問題はここからだ
寺尾が部屋に入ってきた
ソファ-の陰に過去れていた健二は
エレべ-タ-に向かってダッシュした
「あっ」
寺尾は焦ったがもう遅い
健二を乗せたエレべ-タ-のドアは閉まっていた
田中のマンションを出た健二は
走って坂を駆け下りた
とにかく早くマンションから逃げたかった




