18禁ではない相正悟
杉山あやの続きです
杉山健二は頭のいい男であった
色白で中肉中背、子供のころから勉強ばかりしていた
彼はいつもポロシャツとジ-ンズという姿で歩いていた
彼には大変美しい妻がいた
名はライアン、ハ-フでモデルをしていた
ライアンは色白で、北欧系の顔立ちをしていた
日本で育ったが、英語もペラペラだった
健二にはライアンとの間に
大変美しい娘もいた
名はあやと言った
あやは母譲りで美しく、また健二に似て頭がよかった
ある日、健二は変わった夢を見た
杉山健二は静かな道を一人で歩いていた
そこは団地の中なのに、道行く人は健二しかいなかった
健二は周囲を見ずに、道を突き進んだ
前方に水戸黄門のような恰好をした老人が見えてきた
健二は老人の前に行くと立ち止まった
老人は右手で、道のすぐ横の地面を指さした
と、そこから勢いよく水の柱が噴出した
「でもそれただの夢でしょ」
あやは言った
「そうだけど、試してみる価値はある」
と健二は言った
「今度、西谷と羽沢の間が鉄道で結ばれるから西谷は流行るよ」
と健二
「どうかな」
とあや
「あんまり、流行らない気がする」
「笹山に温泉がわいたら流行るよ」
と健二
「温泉って、どこでも出るものなの」
とあや
「何処でも出るらしいよ」
と健二
「会社の人に言ってみる」
と健二は言った
「真面目に聞いてくれるかな」
とあや
「お父さんは真面目だよ」
と健二
「本気で試してみるつもりだ」
「失敗したら大損なんじゃないの」
とあや
「だからライアンには内緒だ」
と健二
「ライアン、起きるの遅いね」
とあや
「昨日、結構飲んでたからな」
と健二
「ライアン、結構飲むよね」
とあや
「好きなんだよ」
と健二
「西谷周辺、もっと開発されるといいんだが」
と健二
「16号が通っているから無理なんじゃないかな」
とあや
「お父さんがやってみるよ」
と健二
「じゃあ行ってくる、ライアンに宜しく」
と言って健二は玄関のドアを開け外に出た
「行ってらっしゃい」
とあやは言った
あやはコ-ヒ-を一口飲んで、カップをテ-ブルの上に置いた
スマホを取り出し、スマイルアプリを開いた
そして、相正悟に対して
「お早うございます」
と打った
しばらくしてライアンが部屋に降りてきた
「おはようライアン」
とあやは言った
「おはようあや」
とライアン
「朝食作ってないけど」
とあや
「大丈夫よ」
とライアン
相正悟から「お早うございます」とメッセ-ジが来た
「部屋に行くね」とあやは言い、階段を登った
あやは自分の部屋に入ると机に座った
右手だけでスマホを持ち
相正悟に「これから西谷がはやると思いますか」
と打った
「分からないです」
と返事が来た
「流行るか、流行らないか、どっちだと思う」
とあやは打った
「流行ると思います」
と相正悟
「笹山団地に温泉が出ると思いますか」
とあやは打った
「面白い考えですね」
と相正悟
「温泉が出たらいいですね」
と相正悟
「温泉入りたいな」
とあや
「入るとお金持ちになる温泉っていうアイデアはどうですか」
と相正悟
「そんなの流行るかな」
とあや
「最近、僕には温泉に入るなんて心の余裕がないです」
と相正悟
「風呂も入らず、シャワ-です」
と相正悟
「入ればいいのに」
とあや
「なんか緊張していないと生きられない環境に長くいたのに、リラックスしていないと働けないのがくやしい気がします」
「今は安全じゃないですか」
とあや
「僕は安全でしょうか」
と相正悟
「老後、休めるお金もないですし」
相正悟は家で胸をさすった
肺に病気を持っているわけではなかったが
時々、覚えていない胸の傷が痛んだ
「相正悟さんって趣味は何ですか」
とあや
「ボクシング、将棋、囲碁、カラオケ、文を書いたり、FXをやるのも趣味です」
と相正悟
「FXって損しませんか」
とあや
「最悪、元手が無くなるだけです」
と相正悟
「プロボクサ-ってギャンブラ-じゃないですか」
と相正悟
「スポ-ツだと思います」
とあや
「すごい頑張ったんじゃないですか」
とあや
「はい、キツかったです昔は」
と相正悟
「最近友達が忙しくて遊べないです」
とあや
「遊びたいですか」
と相正悟
「遊びたい」
とあや
「僕は大人の遊びしかできなくなっちゃって」
と相正悟
「ご免なさい変なこと打って」
と相正悟
「大丈夫です」
とあや
「私だって子供じゃないよ」
とあや
「温泉行きますか」
と相正悟
「行きたいな」
とあや
「お願いします」
と相正悟
「まずは会ってから」
とあや
「もちろんです、いきなり温泉は冗談です」
と相正悟
「開いている曜日は」
とあや
「今日空いてます」
と相正悟
「10時西谷でどうですか」
とあや
「はい、じゃあ10時西谷でお願いします」
と相正悟は打った




